セックスはカップル間の親密さを深める大切なコミュニケーションです。しかし、多くの人がセックスに対して不安を感じています。
セックスレスの相談に来られる方からもよく聞きます。
実はセックスに対する不安は自分だけの問題に留まらず、二人の関係そのものに悪影響を及ぼすことがあります。
セックスが楽しみや喜びではなく、プレッシャーやストレスの原因になってしまうと、パートナーとの関係もギクシャクしてしまうからです。
そこで今回はセックスに対する不安がどのように生じ、カップルにどんな影響を与えるのか解説したいと思います。
また、不安を感じた場合にパートナーに相談するべきか、それとも自分の心に秘めて波風を立てないようにするべきかといった点にも触れたいと思います。
セックスに対する不安
セックスに対する不安は男女問わず抱える問題ですが、その内容や原因は性別によって異なることがあります。
男性が抱える不安
男性は主にパフォーマンスに関する不安を抱えがちです。
具体的には勃起の維持や早漏の恐れなど身体的な事柄に関する不安が挙げられます。
行為中に「パートナーを身体的に満足させることができているだろうか」という不安が頭を過ったりします。
このような不安は実際の性機能に悪影響を及ぼし、不安を増幅させるという悪循環を引き起こすこともあります。
女性が抱える不安
女性が抱えるセックスの不安は「自己評価」と「パートナーの期待」に関連するものが多いです。
自分の身体的な魅力やセックスにおける相手の興奮度に対する不安が強い傾向があります。
例えば、「自分の体は魅力的でないのでは?」とか「元カノと比較されているのではないか?」といった不安を持つことがあります。
また、パートナーを満足させられていないという罪悪感や、自分自身が十分に興奮できていないことに対する自己嫌悪がさらに不安を増幅させることがあります。
セックスの不安がもたらす関係への悪影響
ニューブランズウィック大学のアマンダ・ボカイらの調査によると、セックスに対する不安が、性的満足度や関係の質、セルフイメージに悪影響を及ぼすことが分かっています。
セックスに対する不安が高まると性的満足度が低下し、パートナーとの親密性が薄れていくのです。
例えば男性が勃起の維持に不安を感じ、そのプレッシャーから十分なセックスが出来ないと、女性にとってもストレスの原因となります。
また、女性が自分の身体的魅力に不安を感じ、セックス中に楽しめない場合、それが男性にも伝わりますから二人の関係に緊張感が生まれることがあります。
こういったことが繰り返されるとセックスが義務感やプレッシャーと結びついてしまいます。
そしてセックスそのものが回避されるようになるのです。
セックスが減ることで、二人の間に距離感が生まれ、不満やフラストレーションが増大しやすくなります。これにより衝突が増え、関係の質が低下する可能性が高くなってしまうのです。
不安は話さないほうが良いのか?
セックスに対する不安を抱えている人の中には、それを我慢したり、セックスの機会をさり気なく減らそうとしている人もいるかもしれません。
このような対応は短期的には問題を回避できるでしょうが、長期的には深刻な悪影響を及ぼすことが多いです
まず、不安を隠すことによってパートナーはその不安を理解することができませんから誤解や疑念が生まれます。
例えば、セックス中に不安を感じているにもかかわらず、それを隠して無理に行為を続けるとそれが表情や反応に出ます。
するとパートナーは「自分に問題があるのではないか」と思ってしまうこともあります。これにより、パートナーまで不安を感じ、セックスの質が低下して二人の関係に悪影響が及ぶのです。
また、さり気なくセックスの回数を減らそうとする態度が相手にバレてしまうこともあります。それにより相手は拒絶されていると感じ、心の距離が生まれる可能性があります。
こういったことが繰り返されると、二人の絆が失われ関係全体の質が低下してしまいます。
また、セックスを避ける行動が習慣化すると、セックスに対する恐怖心や面倒臭さがさらに強まり、最終的にはセックスレスに陥る可能性もあります。
このように、セックスに対する不安を隠したり、行為を避けたりすることは問題を先送りにするだけであり、長期的にはより大きな問題を引き起こす可能性が高いのです。
セックスの不安話し合うことのメリット
セックスに対する不安を解消するためにはパートナーとのオープンな対話が最も効果的です。
まず、不安を打ち明けることでパートナーは「自分が信頼されている」と感じますから絆が深まります。
また、セックスに対する不安が原因でパートナーとの関係がギクシャクしている場合、そのことを率直に話せばパートナーの誤解がなくなり、協力しながら解決策を見つけることができます。
さらに、話し合いによってセックスに対する新しい視点やアプローチが生まれることがあります。
例えば、性的パフォーマンスに不安を感じている場合にそれを共有することで、負担なく二人で楽しむための新しい方法を見つけることができるかもしれません。
これによりセックスに対するプレッシャーが軽減され、よりリラックスした環境で楽しむことができるようになります。
話し合いは二人の関係をより深く、より強固にするための重要なステップなのです。
セックスに対する不安を乗り越えるためには、パートナーとのオープンで誠実なコミュニケーションが不可欠であり、それが二人の絆を強化し関係全体を改善する鍵となるのです。
※ただし、セックスレスの話し合いは無駄どころか逆効果ですから気をつけてください。あくまで行為がある関係での話し合いが大切ということです。
参考文献:Amanda Bockaj, Megan D. Muise, Charlene F. Belu, Natalie O. Rosen & Lucia F. O’Sullivan (07 Jun 2024): Under Pressure: Men’s and Women’s Sexual Performance Anxiety in the Sexual Interactions of Adult Couples.