男女が求めるセックスは違っていることが多いです。
長年一緒にいる夫婦やカップルでもお互いに対して「分かってないなぁ…」と感じることはあります。
自分の要望を伝えたはずなのに的外れなことをされていることもあります。
このようなすれ違いを解消するには、男女の性愛に対する記憶の差を知ると良いです。
セックスに求めるものの男女差を理解しているのにすれ違う
あくまでも傾向ですが、女性は愛のあるセックスをしたがり、男性はエロのあるセックスをしたがります。
女性は愛情のある言葉や優しいタッチによって、気分が盛り上がってくるという人が多いです。
それに対して、男性はAV的なエロさによって性的興奮が生じやすいという人が多いです。
こういった男女差については、本やネットで散々いわれていますから、多くの人が認識しているはずです。
女性は「男性はこういうセックスが好き」ということを理解していますし、男性も同様です。
それにも関わらず夫婦や恋人同士のセックスはすれ違うことが多いです。
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性愛に対する記憶の差が原因
お互いの喜ぶことを分かっていても、満足させることができないのはなぜでしょう?
それは細かい部分で足りていないからです。
例えば、女性は夫がセクシーな下着に興奮するということを理解していても、それがどのような下着かということまでは気づいていなかったりします。
そして、男性は妻が言葉での愛情表現で満たされると分かっていても、何を言えば良いかまでは気づいていなかったりするのです。
このようなすれ違いが起こる理由の一つは、性愛に対する男女の記憶の差にあります。
そしてこの記憶の差も、男女がセックスに求めるものの違いに起因しているのです。
性愛の記憶力に関する面白い実験
テキサス大学のシンディ・メストン博士らが行った、性愛の記憶力に関する面白い実験があります。
この実験には77人の男女が参加し、まず、性的な内容を含むストーリーを読まされました。
ストーリーは種類に応じて、以下の以下の5つのカテゴリーに分類される文が含まれています。
- 愛/感情的な絆(例:彼が「愛してる?」と尋ね彼女が「もちろん」と答えた)
- ロマンティック/暗示的(例:2人で準備した食事を共にし、ロマンティックな夜だった)
- 視覚/近接(例: 彼は彼女の服が体の曲線にフィットしている様子を愛おしく見つめた)
- エロティック/露骨(例:クリトリスを撫で膣に指を入れると、彼女が濡れているのに気づいた)
- 中立的(例:彼女はステレオの方へ歩き音楽を選んで再生した)
ストーリーを読んだ後で、できる限り正確にストーリーを再現するよう求められました。具体的には、ストーリーの文章を思い出して書くよう指示されました。
また、内容に関する10問の選択式の問題にも答えました。
【結果】男性はエロを記憶、女性は愛を記憶
回答を採点したところ、記憶内容に男女差があることが分かりました。
男性は「エロティック/露骨」カテゴリに分類される内容をよく覚えており、より多く文章として再現しました。
一方で女性は「愛/感情的な絆」カテゴリに分類される内容をよく覚えていました。文章での再現だけではなく、選択問題においてもこのカテゴリで男性よりも正答率が高くなっていました。
つまり、男性はエロいことをよく覚えており、女性は愛情的なことをよく覚えているということです。
【原因】なぜ男女差が生まれるのか?
なぜこのような男女差が生じたのでしょうか?
それは重視するものが違うからです。
男性はエロさを重視するため、それに関する情報に注目しよりよく覚えていたのです。
そして女性は愛情を重視するため、それに関する情報に注目しよりよく覚えていたということです。
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【補足】性的欲求が高いと愛情に関することを覚えにくい
今回の実験では性的欲求についても聞き取っていますが、性的欲求が高い人ほど、「愛/感情的な絆」カテゴリの内容に対する内容をよく覚えていないことが分かりました。
これは高い性欲を持つ人はエロに注目しようとするため、愛情を表現している箇所に焦点を合わせることが妨げられやすいことが原因と考えられます。
つまり、エロを重視する人はエロに注目するだけではなく、それ以外のことへの関心や記憶も低下しやすいということです。
「愛してる」と「好き」は違う
ここまでの説明によって、あなたが希望を伝えているのに、パートナーがその通りにしてくれない理由が理解できたかと思います。
自分が大事だと思っていない事柄に関しては忘れてしまっている可能性があるということです。
「愛してる」と言ってほしいと伝えても、セックスにエロを求めている人は、「愛情表現すれば良いってことね」と記憶して「好き」としか言わないということです。
こういった細かい差が性的満足度に与える影響は決して小さくはありません。
愛のあるセックスとエロいセックスのために
当然ですが、愛のあるセックスを重視する男性もいれば、エロいセックスを重視する女性もいます。
大切なことは自分のパートナーが本当に求めていることは何かを知ることです。
パートナーが求めているものを詳細かつ具体的に理解しているか、もう一度振り返ってみましょう。
相手の求めているものが分からないのは、性愛に関する記憶の差によって、自分が重視していないものを見落としているからかもしれません。
また、自分の希望を伝える際にも、きちんと相手が理解し、記憶できるように伝えることが大切です。
言葉で伝えたとしても、重視していないことは忘れてしまうかもしれないのですから。
参考文献:McCall KM, Rellini AH, Seal BN, Meston CM. (2007). Sex differences in memory for sexually-relevant information.