ステルシングする人の心理、なぜ勝手にコンドームを外すのか?

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相手の同意なくセックス中に勝手にコンドームを外して挿入する行為を「ステルシング(stealthing)」といいます。

常軌を逸した行動ですが、このようなことをする人間は何を考え、どのような性格を持っているのでしょうか?

ステルシングとは

ステルシングとはコンドームの着用を前提としてセックスを行う認識を共有しているにも関わらず、事前もしくは途中でこっそりとコンドームを外したり、破いたりする行為のことです。

性感染症や望まない妊娠のリスクが高い行為であり、国よっては性暴力の一形態として犯罪化されています。

コンドーム使用の約束を反故にした場合は性交の同意が無効になる(オーストラリア首都特別地域)といった規定を設けているところもあります。

ステルシングは珍しいことではなく、18歳から24歳の大学生を対象とした調査では約19%がその被害に遭ったと報告しています。

また、ステルシングをする側の男性に対する調査では、約10%が相手の同意なくコンドームを外したり破損させた経験があると回答しています。

コンドームの使用に抵抗を持つ人の特徴

コンドームの使用は女性側だけではなく、男性側にも性病予防や予期せず父親になるリスクを低減させるなどのメリットがあります。

しかし、約3分の1の人がコンドームの使用に抵抗を持っているという調査などもあります。

このような人たちの特徴としては、性的刺激を追求したがる、衝動性が高い、女性に対する敵意を持っているといった特徴があることが分かっています。

このような特徴を持つ人はステルシングをする可能性も高いと考えられます。

ヤバい性格(ダークトライアド)との共通点

少し話題が逸れますが、世の中にはヤバい性格の人たちが存在します。あなたの周りにも、羞恥心や罪悪感を持っていないのでは?と思うような人がいると思います。

心理学ではこのような性格を持つ人は「ダークトライアド(3つの邪悪な性格)」として以下のように類型化されています。

  • サイコパス(共感力が欠如している。高い衝動性を持つ)
  • ナルシシスト(異常な承認欲求と自分は特別だという権利意識を持つ)
  • マキャベリスト(自分の利益のために相手を操作する。道徳心が欠如)

括弧内は代表的な特徴です。ここで挙げた以外にもダークトライアドは様々な特徴を持っています。

例えば刺激やリスクの追求、女性に対する敵意などを持つダークトライドも存在します。

先ほど説明したコンドームの使用に抵抗を持つ人の特徴と重なっている部分が多いのです。

ダークトライアドはステルシングをする可能性が高い

つまり、ダークトライドの性格傾向を持つ人ほど、ステルシングをする可能性が高いと考えられます。

実際にサンシャイン・コースト大学の調査によってもそれが判明しています。

この調査では約200人を対象に、性格テストとコンドーム使用に対する抵抗感を調べています。

また、パートナーに内緒でコンドームを外したり破いてセックスをするというシチュエーション(ステルシング)をどう感じるか?そのようなことをした経験はあるか?ということも調べました。

その結果、ダークトライアド傾向とコンドームへの抵抗感は、ステルシングに対する性的興奮やその経験と有意に相関していました。

つまりダークトライアドはステルシングをする可能性が高いということです。

特にサイコパスがステルシングをしやすい

ダークトライアドの中でもサイコパスが最もステルシングをする可能性が高いことが分かっています。

これはサイコパスの持つ衝動性や、短期的な利益への欲望が影響していると考えられます。

次にステルシングをする可能性が高かったのは、ナルシシストでした。自分は特別な存在なので何をしても許されるという権利意識や支配欲が関係しているといえます。

上記の2つと比べると、マキャベリストはステルシングの可能性がやや低いです。

その理由はマキャベリストはダークトライアドの中では、自分を客観視する能力がまだマシなことが挙げられます。

つまり、長期的に相手を操作して搾取しようとした場合に、ステルシングという社会的に望ましくない行為をすることがマイナスになると判断できるからしないということです。

逆にいえば、サイコパスやナルシシストの中には、ステルシングが反社会的な行為であり、被害者の権利と自尊心を侵害する行為だということに気づいていない人間がいる可能性もあるということです。

ダークトライアドはステルシングに限らず、その他の性犯罪を行う可能性も高いとされています。

日常のコミュニケーションにおいて「この人ヤバいかも…」と感じる相手は、性的な部分においてもヤバい可能性が高いので気をつけましょう。

参考文献:Timothy S. P. Cousinsa, Andrew Allena and Jonathan Masonb. (2023). Investigating the relationship between non-consensual condomremoval and the dark triad of personality.