「彼氏(夫)を嫉妬させたい」は危険。他の男の存在を匂わせると逆効果になる

男女間の嫉妬は、情熱や性欲を高めてくれることがあります。

特に男性は、「妻(彼女)が他の相手と関係を持ったかもしれない」と感じると、興奮することがあります。

なぜなら、他の男性の子孫を知らずに育てさせられるリスクにつながるからです。

そのため、「早く他の男の精子を掻き出さなければ」と思い性欲が高まる、というのが進化心理学でよくいわれる仮説です。

この仮説が本当かどうかは分かりませんが、他の異性の存在が興奮を高めてくれるケースは多いです。

このサイトでも度々、説明していますが、セックスレスの究極の解消法は「寝取られ」だと思っています。

☑︎寝取られ願望を持つ夫の心理!NTRはレスの解消に有効なのか?

とはいえ、中には嫉妬が興奮につながらなかったり、そもそも嫉妬をしないという人もいます。

あなたの夫や彼氏がこのタイプだと、物足りなさを感じたり、「愛されていないのでは?」と不安になることもあるでしょう。

しかし、だからといって「ちょっと他の男と仲良くして、彼氏を嫉妬させたやろう」などと考えてはいけません。

そんなことをすると、効果がないどころか、恋愛感情や性的興奮が下がってしまうことさえあります。

パートナーが他の異性にナンパされたらどう感じるのか?

パートナーが第三者からナンパされたり、言い寄られたりしたとき、人はどう感じるのかを検証した、ライヒマン大学などの研究があります。

この研究では、交際中の男女を対象に、次の3つの異なる実験が行われました。

全体の参加者は約450人ですが、全ての実験の参加者は異なります。

1.性的な妄想に与える影響を調べる実験

最初の実験では、参加者に「パートナーが他人から言い寄られている場面」を想像してもらいました。

この際、パートナーはその相手に好意的な反応を返してはいないという設定です。

その後、パートナーとの性的空想を思い浮かべてもらい、その内容を文章で自由に記述してもらいました。

この空想の中身を専門家が分析し、どれだけパートナーへの欲望や関心が現れているか測定しました。

2.VRゴーグルを用いた実験

次の実験では、より臨場感のある状況を再現するため、VR(仮想現実)技術を用いました。

参加者はゴーグルを装着し、バーのような場面に没入しました。

そこには、パートナーの写真から形成されたアバターが登場し、異性のアバターから軽いナンパをされるシーンが再生されました。

その後に、参加者が恋人に対してどれくらい性的欲求を感じているか、どれくらい尽くしたいと感じているか、などが測定されました。

3.過去の実体験を振り返る実験

最後の実験では、より現実に近い感情を引き出すため、参加者に「実際に自分のパートナーが他人から言い寄られたことのあるエピソード」を思い出してもらいました。

そして、その記憶を詳細に書いてもらい、そのときに抱いた感情や、その後の行動について報告してもらいました。

他の異性の存在がパートナーに対する性的欲求を低下させる

結果はどうだったのでしょうか。

すべての実験において共通していたのは、パートナーが他人から好意を寄せられる場面を目撃した人は、その直後に性的欲求が低下する傾向がある、ということでした。

「他の人からもモテるんだなぁ」とポジティブに評価することはなかった、ということです。

さらに、その欲求の低下は、相手に尽くそうという意欲(たとえば、プレゼントを贈ったり、相手のために何かをしたいと思う気持ち)を弱めることもわかりました。

心を傷つけないようにするための防衛反応

なぜパートナーが他の異性に言い寄られると、性欲や気持ちが冷めてしまうのでしょうか?

それは傷つかないようにするための、防衛的なメカニズムが働くからです。

人間は自分の心の安全を守るために、愛着対象(この場合は恋人)との距離を調整しようとします。

このような心理的反応を「リスク・レギュレーション・モデル(Risk regulation model)」と呼びます。

恋人が他人から狙われているところに直面したとき、私たちは無意識のうちにその状況を「関係への脅威」として受け止めます。

具体的には、「他の異性に奪われるかもしれない」「他に魅力的な人が現れたら、気持ちが移ってしまうのではないか」といった不安や警戒心が働くのです。

こうした感情が生じると、「傷つかないために、あまり深入りしないようにしよう」となってしまいます。

その結果、パートナーへの情熱や性的欲求を無意識に抑えようとするということです。

それでも寝取られの効果はある

恋人候補を選ぶ段階、つまりまだ付き合っていない段階では、モテる人のほうが高く評価される傾向にあることが、複数の実験で分かっています。

これは「配偶者選択の模倣」といって、既に他の人から評価されている相手を選ぶことで、脳のリソースを節約しようという、メカニズムではないかとされています。

しかし、既に恋人や夫婦の関係になっている場合には、今回の実験のように、他の異性からの評価は逆効果となることもあるということです。

とはいえ、他の研究では、やはり第三者の存在が性的興奮を高めてくれるという結果のものもあります。

少なくとも当方にレスの相談に来ている女性の夫や彼氏は、他の異性から高評価されている妻や彼女を見て、興奮が甦る人のほうが多い気はします。

怒りも湧きますが同時に性的興奮も高まるのです。

愛情を高めるためでも、レスを解消させるためでも、彼氏や夫がどういうタイプなのかをきちんと見極めてから行動することが大切です。

参考文献:Gurit E. Birnbaum, Doron Friedman, Kobi Zholtack, Naama Gilad, Noa Bergman, Dan Pollak & Harry T. Reis (2024): When Your Partner is Being Flirted With: The Impact of Unsolicited Attention on Perceived Partner Desirability and Mate Retention Efforts.