セックスレス夫婦が距離を置くための「自己分化」の方法

自己分化

セックスレスを解消するために距離を置くことは効果的です。だからといって最初から別居したり会話を減らす必要はありません。

まずは「自己分化」の度合いを高めれば良いのです。

予測できる相手に興奮はしない

長年一緒にいても距離が近くなりすぎるとお互いの感情の境界が曖昧になることがあります。この状態になると相手の反応が予測できるので興奮が失われます。

反対に長年一緒にいても興奮が失われない夫婦というのは感情の境界がきちんとしていることが多いです。良い意味で他人としての距離感が残っているともいえます。

感情の境界と興奮度

完全に自分のものとなったと感じる相手よりも、適度な他人感がある相手のほうが性的興奮はしやすいものです。

だからといってドライな夫婦関係が良いということではありません。愛情や信頼関係を持ちながらも相手の感情に反応しすぎたり、巻き込まれないようにする必要があるということです。

そのためには「自己分化」の度合いを高めることが重要です。

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自己分化とは

「自己分化」とはアメリカの精神科医マレー・ボウウェン博士が提唱した概念です。

簡単にいうと感情と思考を区別する能力と(家族関係の中で)自己と他人を区別する能力です。自分のポジションを確立する力ともいえます。

たとえばパートナーの機嫌が悪いからといってその影響を受けて自分の感情までネガティブにならないということです。

この自己分化の度合いが高い人ほど慢性的な不安を感じにくく、生活の満足度も高いという研究もあります。

自己分化と性欲の関係

自己分化の度合いは性欲にも関連しています。

リスボン大学の研究者たちが自己分化のレベルを測定する「DSI-R」という質問票を使い438人を調査したところ、自己分化のレベルの高い人は性欲も高い傾向にあることが分かりました。

それだけではなく夫婦関係に対する満足度も高かったのです。

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予測できないほうがセックスレスになりにくい

自己分化の度合いが高い人はパートナーの感情に巻き込まれないので反応が予測しにくいともいえます。実はセックスレスの予防や解消においてはこの「予測できなさ」がポイントとなることがあります。

別の研究ですが夫婦間の性欲は「予測できなさ」の影響を受けることが分かっているのです。つまり相手がどういう反応をするか予測できない夫婦のほうがお互いに対する性欲が高まりやすいということです。

十分に自己分化されたパートナーは良い意味での「異質さ」や「独立性」を持っているといえます。それによって相手に退屈さや日常性を感じさせにくいため興奮が失われずにセックスレスにもなりにくいということです。

また、自分が自己分化することで、相手を見る目も変わりますから、パートナーとセックスする気になれないというときの改善にも有効なのです。

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自己分化を高める方法

自己分化を高めるには以下の4つのポイントを意識すると良いでしょう。

  • 反応しすぎない:他人が自分に対してどう思うかはあなたの問題ではなく相手の頭の中の問題ですから気にする必要はありません
  • 自分の立場を明確にする:自分がどうしたいのか?どう思うのかを明確にしましょう
  • 感情を切り分ける:伝えるべきことを伝えるのに相手の機嫌を気にしないようにしましょう
  • 相手と融合しすぎない:相手の機嫌に自分の機嫌を合わせる必要はありません

これら4つのポイントは自己分化のレベルを調べるための尺度(DSI)に沿ったものとなっています。このポイントを意識することで自己分化の度合いが高まります。

自己分化とは「他人は他人」と割り切ることではありません。感情の依存度合いを減らすことであり自分を受け入れることでもあります。

それによって夫婦は適度な距離を置くことができるのでセックスレスの解消につながる可能性があります。生活の満足度を高めるためにも「自己分化」を意識してみてください。

参考文献
・Predicting couple satisfaction: the role of differentiation of self, sexual desire and intimacy in heterosexual individuals.
・The Differentiation of Self Inventory.

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