お互いに興奮しなくなってしまったという夫婦や恋人同士はSMプレイを実践してみてはいかがでしょうか?
SMプレイは他の性行為のようなセクシャルな認識ではなく、スポーツや芸術などの趣味的な認識によって行える可能性があります。
つまりムラムラしていなくても、テニスや映画鑑賞と同じような感覚で楽しむことができるのです。
一般にオススメされているのはソフトSM
マンネリ打破やセックスレスの解消のためにSMプレイがおすすめされることがあります。
目隠しや、軽めの拘束、言葉責めなどにより、普段と違った刺激を得られれば興奮が甦ることもあります。
しかし、これらはあくまでもセックスというメインの行為に載せるトッピングのようなものです。ソフトSMと呼ばれることもありますが、性欲によって動機づけられるものです。
そのため、パートナーに対して既に欲情しなくなってしまっている状態では、そもそも行為に及ぼうとさえ思いません。
そこでどうすれば良いかというと、ソフトSMではない本格的なSMプレイをするのです。
性的興奮がなくともSMプレイはできる
性行為には標準的なセックス以外にも、屋外プレイや乱交など様々なジャンルが存在します。
これらは基本的に「Hなことがしたい」という性欲によって行われることが多いです。男女ともにオーガズムに達するという最終目標を持っています。
しかし、これらのジャンルと異なり、SMプレイは必ずしも性的な興味からのみ動機づけられているわけではないのです。
スポーツなどのレクリエーション的な活動をするときと似た動機によって行われることもあるのです。
このことはポジティブセクシュアリティ研究所のDJ.ウィリアムズ博士らの研究からも分かっています。
つまり、欲情しない相手とサッカーやカラオケが出来るのと同じように、SMプレイを行えることもあるということです。
他者に性的に惹かれにくいアセクシャル(無性愛者)の中には、SMをパートナーとの感情的なつながりを築くのに役立てている人もいます。
これもSMプレイに必ずしも相手に対する性的興奮が必要でないことの証左かもしれません。
【関連記事】セックスはスポーツだとどの種目と同じ運動強度なのか
どんなプレイが良いか?
日本ではSMと呼ばれていますが、海外では嗜虐的なプレイの総称としてBDSM(Bndage, Dominance and submission, SadoMasochism)と呼ばれることが多いです。
これらのプレイには様々なものがあり、どれに惹かれるかは個人差があります。
当カウンセリングルームの相談者でも、完全なレス状態だったけれどSMプレイだけは出来たという人は少なくありません。
参考になるか分かりませんが緊縛姿に芸術性を感じるという人が意外と多い気がします。
一つ縛り方を覚えると、さらに新しい縛り方を試したくなるので必然的にプレイ機会が増えたという夫婦もいます。
低温ロウソクを垂らされて何度も絶叫すると爽快感を覚えるという人もいます。
支配(命令)する側と、される側を演じるロールプレイがストレス解消法になるという人もいます。(演技っぽさに笑い堪えられなくなってダメという人もいますが…)
これらに限らずSMの動画や本が数多く出ていますから、それらを参考にパートナーと相談して試すプレイを決めれば良いと思います。
またSMグッズを売っているお店を二人で見に行くだけでも好奇心が刺激されます。Amazonを一緒に見るのも良いでしょう。
ハードルが高いという人はSMを主題とした映画などから入ることをおすすめします。
SMを実践している人は20%
そもそもパートナーにSMなんて提案できないという人もいると思います。変態と思われたらどうしようと心配になるかもしれません。
しかしSMは決して特殊な性癖ではありません。
成人の40~70%がSMを空想しており、20%は実践しているというキングスカレッジ・ロンドンのアシュリー・ブラウン博士らの分析データもあります。
SMクラブで働いていた女性から聞いたことがあるのですが、常連客には社長や医師のような社会的ステータスのある人も少なくなかったそうです。
麻布に「アルファイン」という有名なSMホテルがあるのですが、行ったことがあるという社長さんが私の周りにもけっこういます。
ですから仮にあなたがSM好きだったとしてもおかしなことではありません。パートナーも明かしていないだけで興味を持っている可能性はあるのです。
セックスに移行できる確率
性的興奮によらなくともSMプレイならできる可能性があると説明してきました。
しかし、レクリエーション感覚でプレイをしただけでは性的なことにつながらないから意味がないと思うかもしれません。
確かにそうなのですが、レクリエーション感覚で開始したとしても、そのままセックスに移行できる確率は高まります。
なぜなら人間は一度始めると作業興奮が生じるので、追加の作業が苦にならないからです。
勉強でも一度、参考書を開いてしまえばそのまま継続できるという感覚は多くの人が理解できると思いますが、これと同じです。
後は挿入するだけという段階までくればマンネリした相手とのセックスもそれほど面倒ではないのです。
また「セックスがマンネリしたら「自己拡張」で解消しよう」の中でも説明しましたが、新たな体験により自己拡張をすると興奮が甦ることも研究から判明しています。
SMプレイも自己拡張をもたらす一つの体験になり得ますから、そういった意味でもメリットがあるといえるでしょう。
【参考文献】
・DJ. Williams, Emily E. Prior, Thea Alvarado, Jeremy N. Thomas, M. Candace Christensen, Is Bondage and Discipline, Dominance and Submission, and Sadomasochism Recreational Leisure? A Descriptive Exploratory Investigation, The Journal of Sexual Medicine, Volume 13, Issue 7, July 2016, Pages 1091–1094
・Ashley Brown, Edward D. Barker & Qazi Rahman (2020) A Systematic Scoping Review of the Prevalence, Etiological, Psychological, and Interpersonal Factors Associated with BDSM, The Journal of Sex Research, 57:6, 781-811