性欲に気持ち悪さを感じてしまうと相談にくる女性もいます。
彼氏や旦那の性欲が強すぎることがダメという人もいれば、自分の中に性欲が湧き出ることさえダメという人もいます。
これらは妻側の拒否によるセックスレスの原因となります。
性欲を気持ち悪いと感じる理由とその対処法について考えてみましょう。
男の性欲を気持ち悪いと感じる理由
性欲が気持ち悪いと感じる程度には個人差があります。
好きな人とのセックスは好きだけれどムンムンしまくった態度を見せられるのが嫌という人もいれば、セックスだけでなくキスやハグなど身体的接触の全てが嫌という人もいます。
このように女性が男性の性欲を気持ち悪いと感じるのには以下の理由が考えられます。
妊娠・出産によるホルモンの変化
それまでは何とも思っていなかったのに妊娠したり子供を産んでから性的なことを気持ち悪いと感じる女性もいます。
夫とスキンシップさえしたくないと思ってしまい、ボディタッチされた瞬間に怒りの沸点に達してしまうと悩む女性もいます。
これは妊娠や出産によってホルモンのバランスが変化したからと考えられます。
性欲が発生する理由の一つは子孫を残すためですがその目的を達成したことで性欲が低下しているのです。
女性側がそのような状態のときに男性の性欲は高いままだとその差が気持ち悪さにつなるのです。
親からの影響
親が性的なことに関する嫌悪感を強く持っておりその価値観を子供に押し付けることがあります。
婚前交渉を禁止するだけではなく性器は汚いもの、セックスは汚らわしいことという刷り込みがされることで性に関するあらゆることを気持ち悪いと感じてしまうのです。
また自分の中で性欲が芽生えると罪悪感を抱いてしまうこともあります。性的思考や興味を無理に抑え続けたことでやがて気持ち悪いという感覚に変化しているのです。
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ロストバージン(処女喪失)時のトラウマ
ロストバージン時の感覚がその後のセックスに対する満足度に影響を与えるという研究があります。
つまり初体験で痛みを感じたり、期待していたほどのものでなかったりするとそのダメージが残り続けるのです。それによりセックスが嫌いになることもあります。
初めて生で見た勃起した性器のグロテスクさがトラウマになることもあります。
そしてその嫌な体験を避けるために無意識に性欲を気持ち悪く感じるようになっているのです。
まじめな男性のギャップ
男性の下半身は別人格といわれます。社会的地位も高く普段の言動が上品な男性でも影で性犯罪をしていたという話は珍しくありません。
むしろ性欲に関連するテストステロンは仕事やスポーツのパフォーマンスとも相関がありますからエリートほど変態かもしれません。
昼間は真面目な顔をして人格者のように振舞うパートナーが夜になると変態的なアプローチで迫ってくるとそのギャップに気持ち悪さを感じることもあるのです。
そして一度「キモい」と思うとその感覚がずっと残るのです。
パートナーの行為による嫌悪感
自分の知らないところでこっそり自慰行為(オナニー)していたことを知ってから相手がムラムラしているのを見ただけで気持ち悪く感じるという女性もいます。
また彼氏や旦那がAVを見ていたり、tiktokでセクシー女優の動画を見ていたのを知って気持ち悪くなったという女性もいます。
パートナーの行為が気持ち悪さを誘発するパターンは意外と多いです。
彼氏や旦那がエッチのときにバイブなどの大人のオモチャを使いたがることで自分もそれを楽しんでいる様子を見せなければというプレッシャーが嫌悪感になることもあります。
性欲の対象とされることへの嫌悪感
セックスも大切な愛情表現の一つですから素敵なシチュエーションでないと興奮しないという女性は多いです。
それとは反対に男性はムラムラしたらいつでもどこでもできるという人も少なくありません。それどころか性欲を抑えられないという人もいます。
そのため妻や彼女が乗り気でないときでも求めてくるのです。
このような流れでセックスをすると女性は性欲処理のために使われたような心理状態になり男性に対して嫌悪感を持ちます。
そして「これからも大切にしてくれないだろう」という落胆が気持ち悪さへとつながるのです。
気持ち悪いという感覚は脳からの「ストップ」という指令
進化心理学などでは人間が気持ち悪さを感じるのはリスクを回避するためと考えられています。
寝室が汚いとレスの原因になるという記事でも書きましたが病原菌がありそうな場所に近づかないために脳が気持ち悪さを感じるのです。
性欲を気持ち悪く感じるのも何らかのリスクを感じている可能性があります。
たとえば彼氏や旦那が不潔だったりシャワーを浴びずにセックスするタイプだと脳がリスクと感じて嫌悪感を抱かせるのです。
また女性にとってのリスクには妊娠や出産をした後に男性が逃げることも含まれます。
なので性欲の強い男性を見ると「他の女にも発情する可能性が高い」と警戒心を持ちます。
すると脳が「この男は自分を捨てて他の女と交尾するリスクが高いからセックスはやめておけ!」と判断して気持ち悪いという感情を芽生えさせスットプをかけるということです。(あくまで進化論的な仮説ですが…)
何に気持ち悪さを感じているのか?
いつも性欲に気持ち悪さを感じるわけではなく時々どうしようもなく気持ち悪くなってしまうことがあるという人もいます。
そういう人は嫌悪感を抱く対象が特定できていない可能性がありますからそれを知るためのヒントとなる研究を紹介しましょう。
テキサス大学のコートニー・L・クロスビー博士らのグループが性的嫌悪感について調べた研究があります。
嫌悪感を持つプレイや性癖
この研究で225人から何に性的嫌悪感を抱くのかということを聞き取ったところ2,000個以上が挙げられました。
その中でも多くの人が挙げたもの50個についてまとめると主に以下のようなものがありました。
- タブー(未成年者との行為や近親相姦)
- オーラルセックス
- 乱交(複数でのプレイ)
- 不衛生(不潔・体臭・口臭)
- BDSM(縛る・叩く)
もしあなたのパートナーがこれらの性的嗜好を持っておりそれを匂わせたり、実際に乱暴なセックスを行ったりすることが嫌悪感を生み出しているのかもしれません。
特殊な性癖を見せられることで気持ち悪さを感じてしまうのは珍しいことではありません。
パートナーのムラムラした雰囲気をみると自動的に変態的な行為が連想されてしまうのです。
環境や所属コミュニティの文化からの影響
性欲に気持ち悪さを感じてしまうのは生まれつきのことと考えがちです。実際にそういったパターンもあります。
しかし体験や育った環境、所属しているコミュニティの文化から影響を受けていることも多いのです。
実は今回の研究では性的嫌悪感と政治的信念や宗教観との関連も調べていました。
すると特定の宗教を信じているかどうかと同性間のセックスに嫌悪感を抱きやすいかには相関があることが判明したのです。
宗教の中には同性愛を禁じているものもありますからそういった教えの影響が性的嫌悪感に影響したということです。
宗教に限らず性とは無関係の何らかの価値観が気持ち悪さを誘発している可能性もあるのです。
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気持ち悪さへの対処法
性欲を気持ち悪いと感じてしまうことにどう対処すれば良いのでしょうか?
対象が明確になっている場合の対処法
まず自分が嫌悪感を抱く対象が明確になっているのであればそれを取り除くことです。
嫌悪感の原因となっている物事を減らすことで性欲と気持ち悪さの結びつきを減らせる可能性があります。
彼氏や旦那の不潔さが嫌であれば行為の前にシャワーを浴びさせましょう。
また性欲処理や特殊な性癖を満たすためのセックスについても改善を求めるべきです。
変態的なプレイであっても愛があれば受け入れてくれると勘違いしている男性もいますから、伝えないと気づかないままです。
対象が明確になっていない場合の対処法
ここまで見てきたように何らかの刷り込みや価値観が嫌悪感につながっていることもよくあります。
そしてそのことに自分で気づけていない可能性もあります。
そういった場合には自分の育った環境や過去の性的体験を振り返ることで原因が判明するかもしれません。
苦手なものというのはその原因が分かるだけで改善することもあります。
自分がなぜ性欲を気持ち悪いと思うのか?ということを深く突き詰めていくことで「毎回気持ち悪いと思う必要はない」ということに気づけることもあります。
パートナーとマッサージを合ったり、イメージトレーニングから始めることで性的なマインドが変化することもあります。
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性嫌悪症
性欲を気持ち悪いと感じるレベルは人それぞれ違います。
twitterやinstagramなどのSNSで性的な画像が流れてくるだけで気持ち悪いという人もいれば性器をモチーフとした芸術作品を見ただけでも気持ち悪いという人もいます。
自分の中で性欲が出てくること自体も嫌悪感を抱いてしまうこともあります。
また性行為全般に不快感を持ってしまう性嫌悪症や心身ともに性的興奮をしなくなる性的興奮障害などもあります。
あまりに嫌悪感が強い場合にはこれらの障害も疑ってみましょう。
参考文献:Courtney L. Crosby, Patrick K. Durkee, et al. (2020). Six dimensions of sexual disgust.