「なぜセックスをするのか?」という動機が満足度に影響を与える

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セックスの満足度は結婚生活の質や幸福感に密接に関連していることが知られています。

夫婦関係が順調であっても、性的な部分での満足度が低いと、感情のバランスが崩れてしまうことがあります。

性的満足度が低下すると離婚のリスクが高まることも過去の調査で判明しています。

性的満足度に影響を与える要因については二人の関係やストレス、機能的問題など様々な要因が挙げられます。

そんな中で見落とされがちなのが「動機」です。

実は「なぜセックスをするのか?」という性的動機が性的満足度に影響を与え、さらにそこには男女差があることが研究で分かっているのです。

なぜセックスをするのか? 6つのカテゴリ

なぜセックスをするのか?という動機として、一般的に「性欲」や「快楽」が考えられがちですが、実際にはそれだけではありません。

私たちがセックスをする理由には様々で、その背景には心理的な欲求や社会的な要因も関わっています。

例えばある人は「パートナーとの愛を深めたい」という純粋な感情から性行為を行うことがあります。

また、別の人は「自己評価を高めたい」「ストレスを解消したい」という理由で性行為に及ぶかもしれません。

これらの動機は、その人の性格や現在の生活状況、さらにはパートナーとの関係性によっても変化するものです。

研究によると性的動機には以下のような主要なカテゴリがあることが分かっています。

  1. 愛/コミットメント: パートナーに対する愛情や絆を強化する動機。関係を強化し感情的な繋がりを深めることが目的。
  2. 自己評価: 自己肯定感を高めたり、自信を持つための動機。自分に価値があると感じたい、他者からの評価を得たいという心理が背景にある。
  3. 快楽: 純粋に身体的な快感を求めるための動機。
  4. 経験追求: 新しい体験や刺激を求める動機。冒険心や好奇心から来るもの。
  5. 表現: 自分の感情や愛情を表現するための動機。言葉では伝えきれない感情を身体的な接触を通じて表現。
  6. 資源の獲得: 物質的・社会的な利益を得るための動機。お金や地位、その他の利益を得るために性的行為を行う。

このように、性的動機は非常に多様であり、それぞれが性的満足度に異なる影響を与えるのです。

性的動機と満足度の男女差

テキサス大学のカイル・スティーブンソン博士らが、500人以上の男女を対象に、「なぜセックスをするのか」という動機が性的満足度にどう影響するか調べたデータがあります。

このデータでは、いくつかの性的動機が男女共通で性的満足度に強く関連していることが確認されましたが、性別によってその影響の強さや関連する動機の種類には明確な違いがあることが明らかになりました。

男性の性的動機と満足度

「愛/コミットメント動機」でセックスする男性は満足度が高い

まず、男性に関しては「愛/コミットメント動機」が性的満足度に強く影響していることがわかりました。

具体的には男性がパートナーとの愛情やコミットメントを深めるためにセックスを行う場合、その行為は高い満足感を伴います。

このことは男性にとってセックスが単なる肉体的な行為ではなく、感情的な結びつきを強化する重要な手段であることを示唆しています。

「自己評価動機」は男性の自信喪失につながりやすい

次に、「自己評価動機」に関する結果です。

自己評価を高めるためにセックスを行う男性は、その行為が期待通りの結果を生まない場合に強いフラストレーションを感じやすく、性的満足度が低下する傾向が見られました。

自己評価を動機とする場合、期待と実際のセックスとの間にギャップが生じ、それが埋められない場合、満足感を得ることができず、時には自信喪失やネガティブな感情を引き起こす可能性があるのです。

「資源の取得動機」は男性の満足度を著しく低下させる

さらに、「資源の取得動機」も男性の性的満足度に負の影響を与えることが確認されました。

これは物質的な利益や地位を得るためにセックスを行うものであり、主に取引的な意味合いを持つ状況で見られます。

このような動機でセックスを行うと、性行為そのものが満足感をもたらす手段ではなく、別の目的を達成するための手段に過ぎなくなり、満足度が著しく低下するのです。

女性の性的動機と満足度

「愛/コミットメント動機」でセックスする女性の満足度も高い

一方、女性に関しては、男性よりもさらに多くの動機が性的満足度に影響を与えていることが明らかになりました。

「愛/コミットメント動機」は女性においても強く満足度と関連しており、パートナーとの感情的な絆を深めることが、女性の性的満足度を高める主要な要因となっていることが示されています。

しかし、女性の場合はこれに加えて他の感情的・心理的な要因が重要な役割を果たしている点が特徴的です。

「快楽動機」は女性の体と心を満たす

特に「快楽動機」は女性にとって性的満足度を高める重要な要因であることが確認されました。

女性がセックスを快楽のために行うと身体的な快感だけでなく、感情的な満足感も高まる傾向が見られました。

快楽を求める動機は、セックスを積極的でポジティブなものとして捉える姿勢を強化し、それが全体的な満足度の向上に繋がるのです。

「表現動機」が女性に深いつながりを感じさせる

また「表現動機」も女性の性的満足度に強く関連していることが分かりました。

セックスを通じて自分の感情や愛情を表現することは、女性にとって非常に満足感の高い行為となります。

特に言葉では伝えきれない感情や思いを身体的な接触を通じて表現することで、女性はより深い繋がりを感じ、性的満足度が向上するのです。

「経験追求動機」が女性に興奮と充足感をもたらす

さらに、「経験追求動機」も女性において性的満足度と関連していることが確認されました。

新しい体験や刺激を求めることで、セックスがより興奮や充足感を伴うものとなり、それが全体的な満足度を高める結果に繋がります。

この動機は、セックスを新たな発見や自己成長の手段として捉えることで、性的活動に対する興味や関心を維持しやすくし、長期的な関係においても満足感を保つのにも役立ちます。

お互いのニーズを尊重することが不可欠

パートナーとの関係を満ち足りたものにするためには、行為に関する部分だけでなく、そこに至る動機や理由を理解し、お互いのニーズを尊重することが不可欠です。

さらに、性的満足度に影響を与える要素として、ストレスや生活習慣が大きな役割を果たすことも忘れてはなりません。

現代の忙しい生活の中で、仕事や家事、その他の責任が増えると心身ともに疲労し、性的欲求や満足度に影響を与えることがあります。

パートナーと共に健康的な生活習慣を心がけ、ストレスを適切に管理することで、性的満足度をさらに向上させることができるでしょう。

性的満足度は二人の関係を強化し、日常の幸福感を高めるための重要な要素です。

セックスがただの行為にとどまらず、愛や絆をさらに強固にする手段となるよう、お互いにとって最良の方法を見つけてください。

参考文献:Stephenson KR, Ahrold TK, Meston CM. (2011). The association between sexual motives and sexual satisfaction: gender differences and categorical comparisons.

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