イカない女性の心理的な要因。オーガズムは体だけの問題ではない

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オーガズムは身体的な反応ですから、開発されていなかったり、何らかの機能障害があるとイカないことがあります。

しかし、そういった器質的な要因がないにも関わらずイカない女性もいます。

ときどきイクことはあるけれど、ほとんどイカないで終わるという女性も珍しくありません。

これには心理的な要因が関係している可能性が高いです。

心と体は密接に関係していますから、健康体であっても、プレッシャーや不安があるとイケないこともあるのです。

今回はイカない女性が持つ心理的な要因について解説します。

なぜあなたはイカないのですか?

エトヴェシュ・ロラーンド大学のクリスティーナ・ヘヴェシらの研究チームが、女性がパートナーとのセックス中にイカない理由について調査しています。

この調査では、1843人の女性(平均年齢28.8歳)を対象にセックスに対するアンケートを行っています。具体的には下記の項目について回答をしてもらっています。

  • 基本的な個人情報と生活習慣:年齢、教育レベル、医学的リスク、性別アイデンティティ、パートナーシップの状況、全体的および性的な関係満足度など。
  • 性的反応に関する質問:過去12ヶ月間の性的活動、性的欲求、性的興奮、潤滑状態、セックス中の痛み、オーガズムの応答性や時間、イカないことに対する苦痛のレベル、パートナーの苦痛の認識など。
  • オーガズム困難の理由:イカない原因と考えられる18の理由から選択。

イキにくい女性は44.1%

回答者の44.1%がパートナーとの性行為中に半分以上の頻度でイクのが難しいと感じていることが分かりました。

これらの女性のうち、64%がその困難に対して中程度から高いレベルの苦痛を感じています。

イケないことの苦痛に関しては他の研究でも調査されていますが、そちらも、おおよそ6割程度ですので、イクことはセックスにおける重要な要素といえるでしょう。

イカない主な理由

イカない理由の中で、最も大きなものを一つだけ選択した場合、回答は以下の通りとなりました。

  • セックスに完全に集中できないこと(14.1%)
  • 時間やプライバシーの不足(12.2%)
  • 一般的なストレスや不安(12.0%)
  • 十分な興奮が得られないこと(11.8%)
  • 自分の外見に対する自信のなさ(9.6%)

もちろん、イカない理由は一つではありません。複数選択の場合は以下の通りとなります。

  • セックスに完全に集中できないこと(44.6%)
  • 時間やプライバシーの不足(32.2%)
  • 一般的なストレスや不安(37.2%)
  • 十分な興奮が得られないこと(42.9%)
  • 自分の外見に対する自信のなさ(29.0%)

他の理由として、セックスへの興味の欠如、パートナーとの行為を楽しいと感じないこと、相手側の興味や楽しみの欠如、個人的な信念や罪悪感、薬物や医療上の問題などもありますが、これらの理由を挙げていた人は割合としてはそれほど多くはなく、どれも10%未満の女性しか挙げていませんでした。

詳細な解説

イカない理由として多くの女性が挙げた理由についてもう少し詳細に解説します。

セックスに完全に集中できない

セックスに十分な注意を向けられないと感じる女性は、行為に集中しようとしても、日常生活の問題や雑念が頭の中を占め、パートナーとのセックスに没頭できない状況に陥ることが多いです。

このような状況では、身体的な刺激や感覚に集中することが難しく、イクことができない原因となっています。

たとえば、仕事や家事の負担、人間関係のトラブルなどが頭を離れず、セックスそのものに意識を向けられなくなることがよくあります。

十分な興奮が得られないこと

多くの女性が性的な興奮を得ることができず、それがオーガズムに達するのを妨げる要因になっていると報告しています。

この場合、興奮を得るための適切な前戯が不足していることや、性的なシチュエーションが自分に合っていないことが原因として挙げられます。

性的な刺激や感情的なつながりが不十分だと興奮が高まらず、イクための十分な準備が整わないのです。

一般的なストレスや不安

生活の中で抱える多様なストレスがセックスの場面に悪影響を与えることが多く報告されています。

仕事や家庭生活、経済的な問題、健康に関する不安などが日常生活でストレス要因となり、これがセックスの際にも影響を与えるのです。

ストレスはリラクゼーションを阻害します。すると性的な興奮を得ることが難しくなるため、オーガズムに至ることが困難になります。

時間やプライバシーの不足

忙しい日常の中でセックスに十分な時間を割けなかったり、プライバシーが確保できなかったりすることが大きな障害となるとされています。

例えば、子供がいる家庭では、セックスに集中するための静かな環境や十分な時間を確保するのが難しい場合があります。

こうした状況では気が散りやすいため、イクのも難しくなります。

自分の外見に対する自信のなさ

自分の外見に対するイメージの問題がオーガズムの困難さに大きく関与していることも示されています。

多くの女性が自分の身体に対する自信を持てていません。特に体型や肌の状態、年齢に関連する変化に対して強い不安を感じています。

このような自己イメージの悪化は、性的な自信を損ない、セックスに対する不安感を高めてしまいます。

これにより、「相手は幻滅していないだろうか?」などの心配が浮かぶことで、性的な感覚に集中することができず、イケなくなります。

身体と心の相互作用

ここまで見てきたように、イクためには、身体的な感覚だけではなく、心理的な要因との相互作用が重要なのです。

最近の研究では、オーガズムに達するためにはセックスを楽しむ気持ちが必要なことも分かっています。

また、過去のトラウマやネガティブな性体験がオーガズムの困難さに繋がるケースもあり、こうした心理的側面に対処することが性的満足を得るために不可欠であることも強調されています。

したがって、身体的な健康だけでなく、心のケアも大切にしながら、パートナーとの関係を深めることが、充実した性的体験を得るための鍵となるでしょう。

参考文献:Hevesi K, Gergely Hevesi B, Kolba TN, Rowland DL. (2020). Self-reported reasons for having difficulty reaching orgasm during partnered sex: relation to orgasmic pleasure.

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