ポルノ依存症とは?中毒的なAV視聴を克服する方法

今回はポルノ依存症とは何か、本当にそんなものが存在するのか、どうすれば克服できるのか?について解説します。

ポルノ依存症とは

ポルノ依存症とは社会生活に支障が出るほどにAVやインターネットのエロ動画に熱中している状態のことです。

「ポルノグラフィー依存症」や「ポルノ中毒」などといわれることもあります。

ポルノ依存症になると次のような悪影響が出るとされています。

  • 普通のセックスでは興奮しなくなる
  • 興奮できるレベルが上がってしまい、より強い性的刺激を求める
  • 自慰以外ではED(勃起不全)になる/濡れにくくなる
  • 抑うつ気分や不安が高まる

あなたはポルノ依存症か?

当カウンセリングルームに相談に来る人が「ポルノ依存症かもしれない」と言うこともあります。これは男女関係なくあります。

しかし、よくよく話を聞いてみると勘違いであることの方が多いです。

毎日オナニーしても変ではない

暇さえあればAVを見たくなるとか、エロ動画サイトを漁っていたら1時間以上も経過していたなどは誰でもあることです。

これはTikTokやインスタグラムを延々と見続けてしまうのと同じようなものでしょう。

インターネットのコンテンツというのは、視聴者が見続けることを止められないように工夫して設計されているのですから、ダラダラと見てしまうのは当然なのです。

また、毎日オナニーしたくなるというのもおかしなことではありません。

依存症によくある特徴に該当するか?

一般に依存症という場合に次のような特徴が見られることが多いです。

  • 食事や睡眠よりも優先してしまい生活に支障が出る
  • 止めると身体や精神に禁断症状が出る
  • それをするために嘘をついて学校や仕事を休む
  • それをしなければという強迫観念がある

自分はポルノ依存症だと思っている人に上記の特徴があるということはほとんどありませんでした。

あなたがAVを見るために会社をズル休みすることがあるのならポルノ依存症でしょうが、そうでなく常にエロいことを考えてしまうというくらいであればそこまで心配する必要はない気がします。

「ポルノ依存症」という病気は存在しない

そもそもポルノ依存症という言葉は正式な医学用語ではありません。

「依存症」と呼べるほどのものなのか?という議論さえあります。

治療が必要な依存症というのは、世界保健機関の「ICD(国際疾病分類第)」や、アメリカ精神医学会の「DSM(精神疾患の診断・統計マニュアル)」に掲載されたものを示すことが多いです。

ですが現在のところポルノ依存症はこれらの診断基準のマニュアルに掲載されていません。

今後の研究によってエビデンスが揃えば掲載される可能性はあるでしょうが、現状ではポルノ依存症の存在を否定するような研究結果も出ています。

(とはいえ疑義のある「ゲーム障害」も掲載されましたのでポルノ依存症も載る可能性は低くはないでしょう)

脳の反応を調べた研究

依存症の人の脳内には特殊な報酬回路が出来上がっています。対象となる刺激を受けると脳の特定部位が活性化し、快楽物質が放出されるなどして快感へとつながるのです。

これはアルコール依存症のような物質への依存も、ギャンブル依存症のようなプロセスへの依存でも同様です。

ではポルノ依存症の脳でも特別な反応が見られるのでしょうか?

UCLAのニコール・プラウセ博士の実験によりポルノに依存していると認識している人間の脳がどのような反応を見せるのか判明しています。

この実験では性的な刺激(ポルノコンテンツ)と、性的でない刺激を与え、それぞれの脳の活動電位を計測しました。

その結果、性的刺激を与えられたときのほうが、低い後期陽性電位(※1)が見られることが分かりました。

これはアルコールやギャンブルなどの依存症を持つ人の脳とは逆の反応といえます。

(※1 刺激を与えられたときに陽性方向へ生じる脳電位。感情や動機付けに関連するとされる)

参考文献:Nicole Prausea, Vaughn R. Steele, et al. (2015). Modulation of late positive potentials by sexual images in problem users and controls inconsistent with “porn addiction”

AV視聴を中断しても禁断症状は出ない

また、依存症というのはその物質や行為を断つと、抑うつや不安、不眠といった禁断症状が現れるといわれています。

しかし、ノッティンガム・トレント大学のデイビッド・フェルナンデス博士らの研究では頻繁にAVを視聴している人間が、7日間の視聴禁止をされても、禁断症状は出ませんでした。

これらの研究からいえることは「ポルノ依存症」と呼ぶには、依存症にあるべき基準が不足しているのではないかということです。

参考文献:David P. Fernandez, Daria J. Kuss, et al. (2023). Efects of a 7‑Day Pornography Abstinence Period on Withdrawal‑Related Symptoms in Regular Pornography Users: A Randomized Controlled Study.

ポルノ依存症を克服する方法

ポルノ依存症と呼ぶべきかどうか疑問が残るとはいえ、AVに執着しているという人もいるでしょう。

中毒といえるほどにAVを見ていると摂食障害やパートナーとの関係に悪影響が出るという研究も存在します。

問題のあるポルノ使用を克服するにはどうすれば良いのでしょうか?

ポルノ依存症の治療法

明確な定義も診断基準もないので当然ではありますが、ポルノ依存症の標準的な治療法というものはありません。

依存症というのはその元となる物質や行為を断つことが基本とされますから、ポルノを断つのが良いとされることもあります。

また運動やアートなどの趣味が推奨されることもあります。

他には心理療法の一つである認知行動療法が効果的などといわれることもあります。

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性的満足度と人間関係の見直し

上記以外で試してほしいこととしては、自分の性的満足度と人間関係を見直すことです。

というのもセックスに満足していなかったり、恋人や友人との人間関係に不満を抱えていることが、問題のあるポルノ使用に関連しているという研究も多くあるからです。

実際に相談に来る人の話を聞いていても、生まれつきの特性によって中毒的にAVを見ている人はほとんどおらず、何らかの外因によることが多いのです。

ストレスや不安のはけ口としてAVを使用し、それが常態化しているだけという可能性があるのです。

また、実際にAVを見る頻度と関係なく、自分はポルノ依存症だと認識すること自体が人間関係や恋愛への不安を高めることも分かっています。

まずはAVばかり見てしまうのはなぜなのかという原因を探ってみましょう。

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