セックスレスは破局の原因となりますが、それが解決されることが破局の原因となることもあります。
そして、それにはあなたのセックスに対する気持ちや態度も影響します。
あなたはセックスレスが解決してから行為に及ぶとき、どのような気持ちになっているでしょうか?
愛する人と結ばれたことによる喜びを感じていますか?
それとも不満が解消されたと感じていますか?
もし後者の場合は、レス状態を脱したとしても破局する可能性があります。
カップル関係に悪影響を及ぼす態度
セックスレスのカップルが、このままじゃダメだと、お互いに話し合いをして、解決したとします。
二人の問題にきちんと向き合うことができる素敵なカップルですね。これから先に新たな困難があっても、力を合わせて乗り越えていくことができるでしょう…
と言いたいところですが、本当にそうでしょうか?
あなたはセックスレスが解決できて絆が強まったと思うかもしれません。
パートナーが自分に向ける愛情も再燃としたと期待もするでしょう。
しかし、パートナーは我慢して嫌々にセックスしているかもしれません。嫌々でないにしても、あまり乗り気ではないかもしれません。
仮にそうであったとしても、あなたが喜びに満ちていれば、「愛する人を喜ばせることができた」と思えますから、悪影響は少ないです。むしろプラスの可能性もあります。
一方で、あなたが「するのが当たり前でしょ」という態度だと悪影響を及ぼします。
なぜならパートナーは「何とか不機嫌にさせずに済んだ」と思うだけで、前向きな感情を持つことはできないからです。自分を犠牲にしたというネガティブな感情だけが残ります。
相手のために自分を犠牲にしたとしても、どんな反応が返ってくるかによって、その影響は変わるのです。
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一ヵ月後に破局しているカップルの特徴
カップルの関係性について調べた、サンフランシスコ州立大学のエミリー・インペット教授らの調査があります。
この調査では交際中の男女153人を対象に、恋人との日々のやり取りや、そのときの感情について調べています。
恋人のために自分を犠牲にするようなことがあったかや、恋人に対して親密さや満足を感じたかということを、毎日、記録させたのです。
自分を犠牲にするというのは、やりたかったことを我慢することも、やりたくないことを行うことも含みます。
具体的には、恋人のために仕事や勉強の都合をつけたり、日常の雑務を行ったりすることです。もちろんカップルの会話や親密さに関することも含まれます。
これらの記録を分析したところ、まず恋人たちは2週間の調査期間の中で、約半数の日で自分を犠牲にする機会があることが分かりました。
そして、それがどのように影響するかは、動機によって変わりました。
相手の喜びのために自分を犠牲にする人は、幸福感や満足感が高かったのです。
それに対して、相手の機嫌を取るために自分を犠牲にする人は、幸福感や満足感が低く、対立が増えていると感じていることも分かりました。
さらに調査が終了してから一ヵ月が経過したとき、フォローアップのメールで関係のステータスを確認すると、相手の機嫌を取るために自分を犠牲にする人は破局している確率が高いことも判明しました。
これは付き合った当初の、気持ちや絆の強さとは関係ありませんでした。
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あなたとのセックスが苦役と認識される
セックスレス状態から脱したとき、どちらか一方はあまり乗り気でないというケースは珍しくありません。
それでも、相手が喜びや満足感を示していれば、自分の行動にポジティブな意味づけをすることができます。
しかし、セックスをすることで、ようやくマイナスがゼロに戻った、という態度を示されると、セックスが単なる苦役となってしまいます。
そして、これからも自分がこの苦役を続けなければ、良好な関係は維持できないと思います。
すると一緒にいること自体が、今後の人生に暗い影を落としているような感覚になるのです。
強引にセックスレスを解決した場合、再びセックスレスとなったときの解決は非常に難しくなります。
なぜなら人間の脳は「好きなことは我慢しながらやらない」と知っているからです。
我慢してやるということは、この相手とのセックスは好きではない苦痛なこと、という認識を強めてしまいます。
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心理的コストが関係への満足度を低下させる
セックスレスは解決したけれど、実は無理して応じているので辛いと相談に来る人も少なくありません。
長年にわたりセックスレスを放置するのも危険ですが、焦って強引に解決するのも危険なのです。
もし、今のあなたが形式的にセックスレスを解決しただけと感じているのなら、まずはセックスに対して示す態度をチェックしてみましょう。
あなたがポジティブな態度を示さないと、パートナーは「セックスしないと不機嫌になられてしまう…」と感じてしまいます。
そして、ネガティブな理由により自己犠牲を払うことになります。
すると倦怠感や息苦しさ、不安を感じるようになります。こういった心理的コストが関係への満足度を低下させ、破局へとつながってしまうのです。
参考文献:Impett EA, Gable SL, Peplau LA. Giving up and giving in: the costs and benefits of daily sacrifice in intimate relationships. J Pers Soc Psychol. 2005 Sep;89(3):327-44.