お互いに好き同士のカップルであってもセックスに対して「めんどくさい」という感覚が生じてしまうことがあります。
一緒にいる時間が長くなれば新鮮さが失われ興奮しにくくなりますからこれは仕方のないことです。
しかし、セックスは男女の大切なコミュニケーションです。性的満足度が高いカップルは関係満足度も高いことが分かっているのです。
ではセックスがめんどくさいと感じているときどうすれば良いのでしょうか?
それは「Communal Motivation」を強めることです。
「Communal Motivation(共同体動機)」とは何か
「Communal Motivation」とは適切な訳語が見当たらないのですが日本語でいうなら「共同体動機」です。
無条件にケアを提供したい、何かしてあげたいという気持ちのことです。
例えば彼氏や夫が病気になったときに、あなたが看病をしたとします。
このとき「ここで恩を売っておけばメリットがある」と考えていたら、それは共同体動機ではありません。
見返りを求めずに、大切な人が困っているから手助けしたいと、自然に生じるものが共同体動機です。
そして共同体動機の強い人はセックスをめんどくさいと感じにくいのです。
なぜなら自分に生じる手間よりも相手の利益に注目しやすいからです。
したくないときでも満足度が低下しない
トロント大学のリサ・デイらの研究チームが共同体動機とセックスについての調査を行っています。
この調査では18歳から58歳までの101組のカップルが21日間に渡り、オンラインサーベイに回答しました。
内容はその日のセックスしたい気分や、実際にしたかどうかなどです。またセックスをしたときの満足度についても回答しました。
これらの回答を分析したところ、共同体動機の強い人は自分がセックスしたい気分でなくとも、パートナーがしたいときに応じやすいことが分かりました。
また、共同体動機の弱い人は自分がしたくないときにすると満足度が低下しがちでしたが、共同体動機の強い人の場合はこういった影響はありませんでした。
どうすれば共同体動機が強くなるのか
どうすれば共同体動機が強くなるのでしょうか?
その方法はシンプルです。パートナーの性的ニーズを満たしてあげるには何ができるか考えれば良いのです。
恋人や夫婦になるということは、元から共同体動機を持っているのです。それを引き出せば良いということです。
さきほど紹介した研究では別のアンケート調査も行っています。
約450人の男女を2グループに分け、片方には、どのように相手の性的ニーズを満たそうとしているか考えてもらいました。
その後で両方のグループに、自分が乗り気ではないときにパートナーがセックスをしたがっていたら、それに応じようと思うか質問しました。
その結果、事前にどのように相手の性的ニーズを満たそうとしているか考えたグループのほうが、応じると答える割合が高かったのです。
共同体動機が引き出されたことが要因と考えられます。
パートナーがセックスをめんどくさいと考えている場合にも応用できる
このアンケートでは、乗り気じゃないときにセックスをした場合の満足度も予想してもらいました。
その結果、共同体動機が引き出された参加者は満足度が高くなると予想しました。
相手のためにしてあげられたと思えるからです。
これはあなたのパートナーがセックスをめんどくさいと考えているケースにも応用できます。
セックスをすることで、喜びや満足につながっていると認識させてあげれば、眠っている共同体動機が喚起されやすくなるのです。
また、共同体動機が強い人は性的な希望をオープンにし、相手のニーズを知っている傾向にあります。
セックスレスの話し合いは逆効果になりやすいですが、すでに話しているのであれば、性的ニーズを共有してみると良いかもしれません。
とはいえ「こういうプレイをしなければならないのか…」とプレッシャーを感じてしまうと余計にセックスがめんどくさくなりますから、そこは注意しましょう。
参考文献:Day, L. C., Muise, A., Joel, S., & Impett, E. A. (2015). To Do It or Not to Do It? How Communally Motivated People Navigate Sexual Interdependence Dilemmas.