インスタなどのSNSに露出度の高い自撮り写真を投稿している人は男女問わず世界中にいます。もちろん日本にもいます。
なぜ自分の画像を何百枚と世界中に向けて発信できるのでしょうか?
1つの理由はナルシストだからです。
自分は魅力的な存在であり他者から賞賛されなければならないと本気で思っているのです。逆に言えば注目されない状態に耐えられないのです。
ナルシストは冬のナイトクラブに露出度の高い服装で行っても寒さを感じにくいという調査もあります。
他人からどう見られているかを考えることで脳が忙しくなり、寒さを感じている暇がないからと言われたりもします。それくらいナルシストは他者からの注目を集めることに依存しているのです。
しかし、ナルシストを含むダークトライアドと呼ばれる特殊な性格傾向を持つ人は多く見積もっても全人口の3%程度しかいないと言われています。
それにしてはインスタにセクシーな画像を投稿している女性が多いように思います。
実は女性の場合、ナルシスト以外の理由も関係していることが研究で分かっています。その理由は何かというと所得格差です。
所得格差とセクシーな自撮り写真には相関がある
ニューサウスウェールズ大学の研究チームがInstagramとTwitter(現X)に投稿された女性の自撮り写真を収集しました。
そして、それらが投稿された都市の経済状況についてのデータを取得しました。
データを分析したところ、所得格差とセクシーな自撮り写真には有意な相関があることが分かりました。
経済的な不平等があるエリアに住む女性ほどセクシーな自撮り写真を投稿していたということです。
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女性ではなく男性の所得が関係している
なぜこのようなことが起こるのでしょう?
女性は貧乏になると肌を露出したくなるのでしょうか?
そうではありません。
女性が露出度の高い自撮りを投稿するのには、女性ではなく男性の所得格差が関係していると考えられます。
動物というのはオスの質にばらつきが出るとメスの性内競争行動が促進されるのです。
全ての男性が年収1,000万円であれば、その中の誰かとパートナーになれば良いと考えるので競争する気は起きません。
しかし、年収300万円の男性もいれば、1億円の男性もいる環境では誰とパートナーになるかによって、自分と将来の子供の生活が大きく変わりますから競争心が芽生えるのです。
そして他の女性より優位に立つ手段のひとつが色気のアピールということです。
所得格差の大きいエリアでは無意識にこのような心理が生じるためSNSに自撮りを投稿する女性が増えるということです。
ファッションや美容サロンへの支出も増える
この調査ではエリアごとのファッションや美容サロンへの支出についてのデータも取得していますが、所得格差の大きいところほどそれらの支出額も大きいことが分かっています。
外見を良くすることは競争を有利に進めるために有効な戦略ですから、こういったところにも男性の経済格差を認識したことで、より良い相手を求める心理が出ているといえます。
景気が悪くなると、より良いオスを求める心理が強まり、そのために外見を良くしようと女性が化粧品にお金を掛けるようになることがあります。
このような現象を「リップスティック効果」といいますが、これと同じようなことが起こっているといえます。
他人の自撮り投稿にイラつく理由
自撮りを投稿している女性の中には、他人の自撮り投稿を見るとなぜかイラついてしまうという人もいるかもしれません。このようなタイプは危ないです。
イラついてしまう理由は「自分以外のメスが注目を集めようとして許せない」という心理です。
福建師範大学のレイ・チェンらの研究によると自分を性的対象化(性の対象物として認識)している人ほどこう考える傾向が強いことが分かっています。
性的対象化はセックスの質とは負の相関があります。セックスを楽しめなかったり、セックスに対して罪悪感を持ってしまったりするのです。
また、色気のなくなった自分には価値がないという考えにも陥りがちです。
それによって抑うつ状態や摂食障害、美容整形への依存に繋がるリスクもありますから注意しましょう。
<参考文献>
・Khandis R. Blake, Brock Bastian, et al. (2018). Income inequality not gender inequality positively covaries with female sexualization on social media.
・Lei Cheng, Xijing Wang, Jingyu Zhang. (2023). She is seeking attention: Women’s self-objectification and hostility toward peer selfies.