何をやってもセックスレスが改善しないと、精神的に辛いものです。
いっそのこと自分の心を諦める方向へ持って行ったほうが楽なのではと思うこともあるでしょう。
確かに、性欲が抑えきれないからセックスレスを改善したいというパターンであれば、加齢によって性欲の強さが変化する可能性もありますから、その時に諦めがつくかもしれません。
不倫や公認のセフレをつくることによって満足できることもあるでしょう。
しかし、「セックスは大切な愛情表現の手段なのだからレスは改善するべき」と考えている場合には、何年経っても諦めるのは難しいでしょう。
特にセックスレスを解消しようと努力している人というのは、こういった考えを持っていることが多いです。
残念ながら、このようなタイプの人がセックスレスの改善を諦める確実な方法は存在しません。
だからといって、これからもずっと悩み続けなければならないということではありません。
セックスレスの存在感を小さくすることで、平穏な心を取り戻すことはできます。
セックスレスが改善できなくても別の悩みを相談に来る方の特徴
セックスレスのカウンセリングを受けたからといって、必ず改善できるわけではありません。
一時的にセックスをするようになっても、再びレス状態になってしまうこともあります。
驚かれるかもしれませんが、改善できなかった後に、別の悩み相談で当方にいらっしゃる方も少なくありません。
私に相談してもセックスレスは改善しなかったという事実があるにも関わらず、別件の相談をしてくださるのです。
私の顔を見たら改善できなかったショックが再現されてしまいそうですが、そうはならないのです。
これは私が素晴らしい人間だからではありません。
相談にいらっしゃる方の心が変化しているからなのです。
改善しなかった後も、別の相談をされる方は、セックスレス問題の存在感が小さくなっているのです。
やれる改善策は全てやっている状態が大前提
どうすればセックスレス問題の存在感を小さくすることができるのでしょうか?
まず前提として、やれることは全てやったと納得できることが大切です。
セックスレスの解消方法は初期にやるべきことから、最終手段まで様々ですが、それらを全てやり切っている必要があります。
人生や人間関係における後悔についての調査は数えきれないほど行われています。
それらの回答に共通することは、やってしまった後悔より、やらなかった後悔のほうが大きいというものです。
例えばマンネリ解消のためにイメチェンをしたり、態度を変えてみたりしたとき、何の効果もないと惨めな気持ちになることもあります。
そして、「こんな気持ちになるならやらなければ良かった」と思うこともあります。
しかし、やれることをやっておかないと、数年後に「あの時やっておいたらセックスレスが改善したかもしれないのに…」と悔やむ可能性の方が高いです。
こういった後悔がないことが大前提です。
セックスレスに悩む人が陥る錯覚
さらに、セックスレス問題の存在感を小さくするために効果的な方法はカテゴリを見直すということです。
これによって問題の存在感を小さくするどころか、本当に諦められたという人もいます。
セックスを大切な愛情表現と考えている人にとって、レス状態は大問題です。
そのため、セックスがないことが自分の人生全体の質を低下させていると強く思ってしまいます。
つまり、実際以上にセックスレス問題を大きく捉えているのです。
しかし、夫婦というカテゴリで見たとき、セックスはその一部でしかありません。それ以外に相互理解のためのコミュニケーションなど大切なことはたくさんあります。
さらにいうなら、夫婦というものも人生というカテゴリで見たとき、その一部でしかありません。
人生というカテゴリの中には、他の家族や友達、仕事、趣味など他にもたくさんのカテゴリがあります。
セックスレス問題に囚われている人は、セックスが人生という大きなカテゴリの大部分であるかのように認識してしまっているのです。
そのため、パートナーがセックス以外のことで愛情表現をしていても、それに気づくことができないのです。
「相手は自分を大切に思っていない」と被害者意識が芽生えることもあります。
そして、セックスレスを改善しないと、人生が満たされないという錯覚に陥るのです。
他のことをしているときその瞬間に注意を向ける
人生という大きなカテゴリで見たとき、セックスはその一部分、という認識になることで、セックスレス問題の存在感を小さくすることができます。
それによって、セックスレスのイライラや辛さを感じにくくなります。
自分に無理やり言い聞かせなくとも、平穏な心でパートナーに接することができるのです。
しかし、カテゴリの見直しは、意識的に行うのが難しいこともあります。
そんなとき、どうすれば良いかというと、セックスレス問題を小さくしようとするよりも、他のことに注力することです。
というと、「趣味で気分を紛らわせろ」というありきたりなアドバイスのように聞こえてしまいますが、それとは違います。
趣味でも友達とのお喋りでも何でも良いのですが、大切なことは「その瞬間に注意を向ける」ことです。
パートナーとの会話に注意を向けると愛されていると実感できる
セックスレスの悩みが大きくなりすぎると、他の楽しいことをしていても、あまり気分が乗らないことがあります。
これは今その瞬間に注意を向けていないということです。そのため、余計に他のことの存在を大きくすることができないのです。
ただでさえ人間は過去や未来にばかり注意を向けて、今に注意を向けません。そのせいで「今」が失われるのです。
それを繰り返すことで人生がどんどん無益に流されてゆきます。
今この瞬間に注意を向けることを「マインドフルネス」な状態と呼びますが、この状態になるとそのとき体験していることの価値を大きくすることができます。
森の中を散歩するときも、ただ歩くのではなく、花や葉っぱの細部に注意を向けながら歩くことで、精神のバランスが整い、満足感も高まることが研究でも判明しています。
パートナーとの会話においても、その瞬間に注意を向けることで、そのコミュニケーションの価値は高まり、愛されているという実感を持ちやすくなるのです。
セックス以外にも心を満たすものはたくさんあります。それらを軽く流してしまうことなく、注意深く見つめることが肝要なのです。
セックスレスの改善を諦めようとする必要はない
セックスレスが改善しなかった後も私のところに相談にいらっしゃる方たちは、ここまで説明したことが出来ているように思います。
だからといって、完全に諦めている人は少ないです。
セックスレスが改善すればそれは良いことだけれど、改善しなくとも人生に後悔を残すことはないという状態の人の方が多いです。
例えるなら学生時代に希望していたけれど叶わなかった海外留学のようなものです。
生活の心配がないくらいにお金と時間の余裕ができれば、留学したいと思うかもしれませんが、それが絶対に叶えたい希望というわけではないですね。それと同じです。
無理にセックスレスの改善を諦めようとする必要はありません。考えないようにしようとする必要もありません。
人間はそのことを考えないようにすればするほど、そのことが頭から離れなくなってしまうのです。このような現象を心理学で「皮肉過程理論」といいます。
ですから、セックスレスのことを考えないようにと努力するよりも、他のことをしているとき、その瞬間に注意を向けるよう努力したほうが良いのです。
注意を向けるためのテクニックは瞑想
注意を向けるのが苦手な人は習慣的に瞑想を取り入れると良いです。自分の呼吸や肌感覚に注意を向けながら瞑想をすることで、他のことでも今この瞬間に注意を向けやすくなります。
ちなみに性欲が落ちた女性にはマインドフルネス瞑想が効果的ということも分かっていますので、余計にムラムラしてしまうのでは?と心配する人もいるでしょう。
しかしこれは性欲を高めるというより、低下した性欲を改善するということですから急にムラムラしてしまうということもないでしょう。
また、AVの見過ぎはマインドフルネス瞑想で改善できることも分かっています。
ですから瞑想が性欲の最適なバランスに整えてくれると考えるのが良いかもしれません。
自分にとって最も幸せな選択は何か
セックスレス改善のために出来ることを全て行い、カテゴリの見直しを行い、セックス以外の存在感が大きくなっても、悩みが小さくならない人もいます。
セックスは大切な愛情表現という価値観が強い人はそうでしょう。これは全くおかしなことではありませんし、気にする必要もありません。
何を大切にするかという価値観はそう簡単に変わるものではないのです。
よく「インドに行って価値観が変わった」という人がいますが、それくらいで変わるようなものは価値観とは言いません。
どうやってもセックスレスは改善できなそうだけれど、悩みも小さくはならなそう…、というのであれば、他の選択肢を選んでも良いのです。
特に子供が欲しいと思っている人は離婚を検討したほうが良いこともあります。(参考:妊活に協力的じゃない夫と離婚するべきか?)
セックスレス状態が長引いたとき、諦めるかどうかという視点ではなく、自分にとって最も幸せな選択は何かという視点で考えましょう。