レズビアンのカップルはセックスレスになりやすいという俗説があります。
そのためか、セックスの頻度が少し減っただけでも心配して相談に来る方もいます。
もしあなたが同じように心配しているなら、回数の罠に陥らないように注意してください。
それによってセックスが楽しめなくなり完全にレスになるリスクがあります。
「Lesbian Bed Death(レズビアンのベッドの死)」
異性同士・男性同士のカップルに比べ、女性同士のカップルはセックスの頻度が低いといわれています。
そしてそのままレスになる可能性も高いとも思われています。
英語圏ではこのような現象を表す「Lesbian Bed Death(レズビアンのベッドの死)」などというスラングまであります。
いつからこのスラングが広まったのかは不明ですが、1980年代に社会学者のジュディス・A・ハワードらが行った調査では、レズビアンカップルが他のカップルと比べ性交頻度が低く、交際2年目以降の低下率も高いという結果が出ています。
後年に行われたいくつかの調査でも同様の結果が出ています。
しかし、だからといってレズビアンカップルがセックスレスになりやすいということにはなりません。
当方に相談に来る方たちを見ても、同性カップルか異性カップルかはそれほど関係ないように思います。
☑︎なぜ女性同士のセックスの方が気持ちいい上にイキやすいのか?
セックスレスでないのになぜ相談に来るのか?
セックスの回数が減ったことで相談に来るレズビアンの方に「もっと回数を増やしたいですか?」と尋ねると「今のままでも良い」と答える方が多いです。
また「パートナーが増やしたがっているのですか?」と尋ねても「そんなこともなさそう…」と。(反対にパートナーが減らしたがっている様子も無さそうといいます)
完全なレス状態か極端に頻度が少ないレベルでない限りは、もっと増やしたいという方は少ないのです。
ではなぜ相談に来るかというと、頻度が減ったことでセックスレスになるのではないかと不安になっているからです。
回数が減ったのは愛情が冷めたからだという勘違いに陥っていしまっているのです。
確かに回数が減り、間隔が空くことでセックスレスになるのは異性カップルも同性カップルも同じです。
しかし、レズビアンのカップルの場合には、最適な回数に落ち着いただけというケースもあるのです。
レズビアンのカップルにおいて大切なのはセックスの「質」なのです。
セックスの回数が少なくとも満足度に差はない
チャップマン大学のデイビッド・フレデリック博士らが様々なカップルのセックスについて分析したデータがあります。
どれくらいの頻度でセックスをしているかや、満足しているか、どんなプレイをしているかを調べたのです。
それらの結果を見ると、確かにレズビアンカップルは異性カップルやゲイカップルに比べて1ヵ月あたりの性交頻度は低いことが分かっています。
しかし、オーガズムに達する割合や30分以上の時間を掛ける割合、口淫をする割合は、レズビアンカップルの方が高かったのです。
また行為中に「愛している」などの愛情表現のセリフを言う機会もレズビアンカップルの方が多くなっています。
そして、セックスに対する満足度には差がないことも分かりました。
つまり、回数が少なくとも、質の高いセックスが出来ているレズビアンカップルは満足しているということです。
レズビアンのカップルが本当にレスになってしまう危険
このサイトで何度も説明していますが、どんなに興奮していたカップルでも2年か3年もすれば落ち着いてしまうものです。
これは男女のカップルでも女性同士のカップルでも変わりません。
それでもセックスレスにならないためには、性的興奮以外の要因が必要となります。
それは愛情やセックスそのものから得られる満足度です。
あくまで経験に基づく個人的な意見ですが、こういったものへの欲求や感受性は女性の方が高いように思います。
つまり、一緒にいる時間が長くなっていく中でセックスの回数が減ったとしても、愛情深く質の高いセックスが出来ているのであれば、それが二人にとって最適な頻度である可能性があるということです。
「レズビアンのカップルはセックスレスになりやすい」という誤った信念を持っていると、少しでも回数が減ったとき不安になり、無理にでも回数を増やそうとしてしまうこともあるでしょう。
しかし、それが双方のプレッシャーになるとセックスの質が落ちますから、本当にレスになってしまう危険もあります。
セックスの頻度が減った時はレスに向かっているのか、最適な頻度に落ち着いたのかしっかりと見極めましょう。
<参考文献>
・Howard, J. A., Blumstein, P., & Schwartz, P. (1986). Sex, power, and influence tactics in intimate relationships. Journal of Personality and Social Psychology, 51(1), 102–109.
・Frederick, D.A., Gillespie, B.J., Lever, J. et al. Debunking Lesbian Bed Death: Using Coarsened Exact Matching to Compare Sexual Practices and Satisfaction of Lesbian and Heterosexual Women. Arch Sex Behav 50, 3601–3619 (2021).