男女平等の国では「男は仕事、女は家庭」という価値観が恋愛に影響しなくなるのか?

「男は仕事、女は家庭」というのは古い考え方です。

しかし若い人でも恋愛パートナーの選好において無意識にこの価値観に縛られているケースは多いです。

女性は仕事ができて収入の高い男性を求めますし、男性は家事スキルの高い女性を求めます。

人類が原始的な生活をしていた頃のことを考えてみましょう。

女性よりも男性のほうが肉体的な強さがあります。また素早く動く対象物を認識する能力は男性の方が高いともいわれます。

ですから狩りは男性がしたほうが有利です。

それに対し、女性は固定された対象物を記憶したり、色の違いを見分ける能力が優れているといわれます。

果実のなっている木の場所を覚えていたり、食べられる植物を見分けることが得意です。

ですからそれらを持ち帰り加工するのは女性がした方が有利です。

男女それぞれが得意なことをするのは生存戦略としての有効な選択です。

「男は仕事、女は家庭」という価値観はこういった原始の頃の生存戦略から来ているといえます。

しかし、今の時代は男性も家事をして、女性も仕事をしていますから、男女が逆になろうと、男女で家事と仕事をしても問題ありません。

それでも相手選びの基準に男女差があるのはジェンダーバイアスの影響を受けているせいなのでしょうか?

仮に男女平等が進んでいる国であれば、このような男女差は少ないのでしょうか?あったとしてもその差は小さくなるのでしょうか?

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「男は仕事、女は顔」だった

これを調べる方法があります。

国ごとの男女平等の進み具合と、そこの国民の異性の好みを調べれば良いのです。

それを調べたのがグラスゴー大学の研究チームです。

36ヵ国の3,260人を対象に、恋愛パートナーを選ぶとき、収入、家事スキル、外見などのうち何を重視するか聞き取りました。

まず、全体のデータを見ると男性は外見を重視し、女性は収入を重視することが分かりました。家事スキルを求める度合いに男女差はありませんでした。

では男女平等の進んでいる国だけを見れば、選好の男女差はなくなっているのでしょうか?

これに関しては国連開発計画の「ジェンダー不平等指数」と「ジェンダー開発指数」による男女平等の進み具合と比較して分析しています。

それによると、男女平等の進んでいる国では収入に対する選好の差が小さいというデータがいくつか見られました。

しかしこれは地理的に近く共通の起源を持つ他国の影響によって統計的独立性が失われていることで出たデータと考えられます。(いわゆるゴルトン問題による偽陽性)

統計処理によってこれらの影響を調整すると男女平等の進んだ国も遅れている国も男女差は存在したままです。女性は収入を求め男性は外見を求めるという結果になります。

過去の研究では男女平等が進んだ国ではパートナー選好の男女差が小さいという結果のものもありますが、これもゴルトン問題による偽陽性の可能性が高いと考えられます。

恋愛と性に関しては男女差はあるものと考えて対策した方が良い

レスのカウンセリングでは男女の違いに着目したアドバイスをすることがあります。

しかし、なかなか納得していただけないこともあります。

男女平等の時代に何を言ってるの?という反応されてしまうことも多いです。

しかし少なくとも恋愛と性に関しては男女差はあるものと考えて対策した方が良いでしょう。

男女平等が進んでも男女の選好の差は中々変わらなそうです。

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参考文献:Zhang L, Lee AJ, DeBruine LM, Jones BC. Are Sex Differences in Preferences for Physical Attractiveness and Good Earning Capacity in Potential Mates Smaller in Countries With Greater Gender Equality? Evol Psychol. 2019 Apr-Jun;17(2).

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