「性欲の強さ」と「性格」の関係を調べた研究結果

セックスレスの相談を受けていると、相談者のパートナーの性格の話になることも多いです。

たとえば、「夫がこういう性格だから性欲が弱いんですかね?」と妻側から聞かれたりもします。

実は心理学の世界には「性欲の強さと性格には関連がある」という研究結果がいくつかあります。

ということで今回は、その中の一つを分かりやすく紹介したいと思います。

もし、あなたのパートナーが性欲の弱い性格に該当していたら、サポートする際の参考にしてみてください。

性格テストと性欲の測定

紹介するのはテヘラン大学などのチームによる研究です。

この研究では、140名の既婚男女(平均年齢35歳)を対象に、性格と性欲の関係を検証しています。

具体的には『NEO-FFI』という性格テストと、『HISD』という性欲の強度を測定するテストを実施しました。

どちらも心理学研究でよく用いられる、有名なアンケート型のテストです。

前者は、「自分のペースを大事にしたい」「人と話すのが好きである」などの項目があります。

後者は「セックスを強く望む」「性的な妄想をしただけで興奮する」などの項目があります。

参加者の回答を統計的に分析したところ、性欲と性欲の強さ(弱さ)には相関があることが分かりました。

性欲が強い人の性格

まず、外向的な人ほど、性欲が強い傾向にあることが分かりました。

外向的な人というのは一言でいうなら、他者との交流によってエネルギーを得るタイプです。

具体的には以下のような特徴を持ちます。

  • 社交的:他者との交流を好み、人付き合いを楽しむ。初対面でも積極的に話しかけたり、多くの人と関係を築こうとする。
  • 活動的でエネルギッシュ:外部からの刺激に敏感で、活発に行動する。新しい体験にも前向き。
  • ポジティブな感情を感じやすい:喜びや楽しさ、愛情などのポジティブな感情を日常的に強く感じやすい。明るく快活。
  • 刺激を求める:日常に変化や新鮮さを求め、退屈を避ける。

なぜ外向的な人の性欲は強いのか?

外向的な人ほど性欲が強い傾向にある理由はいくつかあります。

まず、外向的な人はポジティブな感情を重視するため、喜びや快楽を引き起こす物事に対して敏感です。

性的な行為は快感や興奮といったポジティブな感情を引き起こすものですから、そういった刺激を受けたときに、脳が活性化しやすく、それが性欲につながると考えられます。

また、人とのつながりを求める傾向も強いため、身体的にも精神的にも親密になれるセックスへの欲求も高まりやすいといえます。

さらに、刺激的な体験を求める外向的な人は、性行為もその一環と捉えやすいことも影響している可能性があります。

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性欲が弱い人の性格

一方で性欲の弱い性格も明らかになりました。それは神経症傾向の高いタイプです。

神経症傾向とは、不安や怒り、抑うつ、自己否定、といったネガティブな感情を持ちやすい傾向のことで、以下のような特徴を持っています。

  • 不安を感じやすい:日常の出来事に対して過剰に心配したり、将来への不確実性に敏感。
  • 感情が安定しにくい:気分が不安定で、ちょっとしたことで落ち込んだりイライラしやすい。
  • ストレスに弱い:困難な状況への耐性が低く、ストレスを感じやすい。
  • 自分に厳しい:自己批判的で、物事がうまくいかなかったときに自分を責めがち。
  • 他人に敏感に反応する:他人からの評価や拒否に強く反応し、対人不安を感じやすい。

なぜ神経症傾向が高い人ほど性欲が弱いのか?

神経症傾向が高い人ほど性的欲求が低くなりやすい理由は、心理的なストレスや感情の不安定さが、性欲の自然な発現を妨げてしまうためと考えられます。

ネガティブ感情の持ちやすさは、性的欲求を自然に感じるために必要な心理的な余裕やリラックスを阻害します。

たとえば、不安を抱えがちな人は、将来や対人関係のことで頭がいっぱいになり、性的なことに意識を向けにくくなるということです。

また、自分自身に対する否定的な感情が強いと、「自分には性的魅力がないのではないか」「拒絶されるのではないか」といった不安が生じ、性的活動に前向きになれません。その結果、性欲そのものが弱まってしまうのです。

神経症傾向の高い人は、過去の失敗や不快な経験を繰り返し想起してしまう特徴も持っています。

たとえば、過去の性行為で失敗したことがあると、性的なシチュエーションになる度にその体験を思い出してしまうのです。そして、性的な行為そのものを避けたくなる心理が働きます。このような回避傾向も、欲求を下げる要因となります。

つまり、神経症傾向が高い人は、感情の不安定さやストレスへの過敏さ、自己否定的な思考によって、性的欲求を感じにくいということです。

このような傾向は決して珍しいことではなく、人間の心理と身体の自然な反応であるといえます。

性欲の弱いパートナーにどう接するか?

性格による性欲の強さの違いは、生物的な本能というよりも、思考や行動スタイルの影響と考えられます。

別の見方をすれば、性格からくるネガティブな思考を減らすことができれば、性欲に対する悪影響を減らせる可能性があるということです。

ここまで説明したように、神経症傾向が高い人は不安や自己否定を抱えやすく、そうした心理的要因が性的欲求の低下に関係しています。

したがって、パートナーができることは、まず心理的な安心感を提供することです。

具体的には、相手を否定せず、感情に寄り添いながら、「受け入れられている」という感覚を与えることです。

また、神経症傾向の高い人は、「相手を満足させられないのではないか」といった不安を抱えていることもあります。

こうした不安を減らすには、「抱き合うだけでも愛情や満足感を得ることができる」と少しずつでも伝えていくことが効果的です。

「性」に対する脅迫観念が減ることで、性的欲求を高めるための準備が整います。

男女ともに性欲は、環境や関係の影響を受けるものですから、プレッシャーを減らし、リラックスできる関係を築きましょう。

参考文献:Mirnader Miri, Mohammad AliBesharat, et al. (2011). The Relationship between Dimensions of Personality and Sexual Desire in Females and Males.

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