産後のセックスレスの原因は赤ちゃんの様子を見ること?

出産は夫婦の生活リズムと性行為に大きな影響を与えます。

特に睡眠のサイクルが変化することで心と体の双方に影響が出るとセックスレスへとつながることもあります。

産後のセックスレスと睡眠についての研究を紹介します。

産後のセックスレスの原因は疲労が一番多い

産後は不安の増加や性的関心・満足度の大幅な低下が起こることが複数の調査で判明しています。

産後6~8週間は多くの夫婦がセックスを控えゼロになることもあります。

時間の経過によってセックスの頻度は回復していきますが、産後1年が過ぎても出産前の頻度までは戻らない夫婦が多いこともダルハウジー大学等の調査で分かっています。

出産がセックスレスへとつながる要因はホルモンバランスの変化、産後の抑うつ感、育児の忙しさやプレッシャーなど複数あります。

中でも「疲労」は産後の夫婦がセックスレスとなる大きな原因の一つとされています。

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疲労につながる産後の睡眠サイクル

産後に疲労が溜まる原因は育児という仕事が増えることに加え、睡眠の質が下がることも挙げられます。

大人と乳児では睡眠サイクルが大きく異なりますから産後はそのサイクルが夫婦ともに劇的に変化します。

そしてそのことがセックスレスへとつながる可能性が指摘されています。

産後7~8週間でセックスを再開する夫婦が多い

フリンダース大学が産後18ヶ月以下の乳児を持つ親897人を対象に睡眠とセックスについての調査を行いました。

セックスの頻度や満足度、夫婦の睡眠だけではなく、乳児の睡眠サイクルも特殊なカメラで計測しました。

この調査によると産後のセックスの頻度の平均は月に3.8回でした。もちろん0回の夫婦もいますし20回以上の夫婦もいました。

産後の3ヵ月は特に少なく、そこから少しずつ回復していくという傾向が見られました。しかし産後6ヶ月以降は時間の経過によるセックスの頻度の増加は見られませんでした。

出産からセックスを再開するまでの期間として最も多かったのは7~8週間でした。全体の約3割がこのタイミングでセックスを再開していると答えています。

産後セックスレスの原因は断続的な睡眠?

この調査によってセックスレスと関連する一つの要因が浮かび上がってきました。

それは「赤ちゃんの様子を見る回数」です。

同じ部屋で寝ているかどうかや、赤ちゃんの睡眠の質、月齢よりも、親が一晩でどれくらい赤ちゃんの様子を確認するかのほうがセックスの頻度に関係していたのです。

一晩で4回以上の頻度で赤ちゃんの様子を確認する親はセックスの頻度が著しく低くなることが分かりました。

断続的な睡眠が疲労と否定的感情を増加させることでセックスをしたいという気分を減少させるこが原因ではないかと考えられます。

他の研究では睡眠時間が短くなると性欲が増加するという結果も、低下するという結果もあります。

しかし睡眠不足によって疲労の蓄積と否定的感情が発生すれば性欲とは関係なく、行為としてのセックスをしたいという気持ちを低下させる可能性は高いと考えられます。

夫婦関係に満足している人ほどセックスの頻度が高い

断続的な睡眠がセックスレスにつながっているからといって赤ちゃんの様子を見る回数を減らすのは難しいものです。

様子を見る頻度を減らすことが不安を増幅させ別の否定的感情をもたらす可能性さえあります。

そもそもセックスの回数が減る要因は赤ちゃんの様子を見ることではなく、そのために睡眠が断続的になり疲労とネガティブな気分が高まることなのです。

ですからそういった悪影響を減らす工夫をすることで産後セックスレスの改善につなげることを考えたほうが良いでしょう。

昼寝をしたり、日常のタスクを効率化することはできないでしょうか?

また今回の調査では夫婦関係に満足している人ほどセックスの頻度が高いことも分かっています。

お互いを思いやる気持ちを持つこともセックスレスの改善には必要ということです。

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(参考文献)
・Samantha J Dawson, Marie-Pier Vaillancourt-Morel, Marianne Pierce, Natalie O Rosen. (2020). Biopsychosocial predictors of trajectories of postpartum sexual function in first-time mothers.
・Michal Kahn,Natalie Barnett &Michael Gradisar. (2022). Let’s Talk about Sleep Baby: Sexual Activity Postpartum and Its Links with Room Sharing, Parent Sleep, and Objectively Measured Infant Sleep and Parent Nighttime Crib Visits.

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