SNSを断つと自己肯定感が向上。1週間で得られるメンタルヘルスの効果

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ソーシャルメディア(SNS)は私たちの生活の一部となっています。

スマホやパソコンを開けば、いつでも誰かとつながり、最新の情報や友人の近況をチェックすることができます。

しかし、この便利なツールが私たちのメンタルヘルスに悪影響を及ぼすことがあります。

近年、SNSの利用が若い人、特に女性の自己肯定感やボディイメージに悪影響を与えることが、いくつかの研究で示されているのです。

中でもInstagramやTikTokといった外見に関するコンテンツが多いプラットフォームでは、理想的な美しさの基準と自分を比較してしまいがちです。

これが、自分自身に対するボディイメージの低下や自己肯定感の低下を招く原因となっているのです。

逆にいえばSNSを断つことで、こういったマイナスの影響を減らすことができるともいえます。

今回はSNSが女性のメンタルに与える影響と、SNSを断つことの効果について解説したいと思います。

特にボディイメージの低下は性的満足度やセックスに対する欲望の低下にもつながりますから、このサイトの主題であるセックスレスにも関連する内容といえます。

SNSの悪影響:理想と現実のギャップが生むプレッシャー

SNSは人々が自己表現を行い、他者とコミュニケーションを取るための便利なツールです。

しかし、SNS上にあるのはそのほとんどが、加工された画像やキラキラしたライフスタイルです。

これらの投稿を見ていると自分がその理想とかけ離れていることを痛感し、自己評価が下がることがあります。

例えば、Instagramには自称も含め多くの「インフルエンサー」が完璧なスタイルや煌びやかな日常の写真を投稿しています。

これらの投稿に「いいね」を押したり、コメントをしたりする行為自体はコミュニケーションの一環として楽しめるものです。

しかし、その一方で他者との比較がもたらす負の側面も無視できません。特に若い女性にとっては、これらの理想化された画像は自分の外見や生活に対する不満を助長し自己肯定感を低下させる要因となるのです。

1週間のSNS断ちがもたらす効果:カナダの研究結果

このような背景を受けて、カナダのヨーク大学の研究チームは、SNSを1週間休止することが若い女性の自己肯定感やボディイメージにどのような影響を与えるかを調査しました。

この研究には18歳から24歳の女子大学生66人が参加し、彼女たちはランダムに2つのグループに分けられました。

一方のグループはInstagramやFacebook、TikTokなどのSNSを1週間休止するように指示されました。

もう一方のグループは通常通りのSNS利用を続けるように指示されました。

参加者はスマートフォンの使用状況を追跡するアプリをダウンロードし、研究者がSNSの利用時間を確認することで、SNS断ちが確実に行われているかを確認しました。

SNS休止の具体的な効果:自己肯定感とボディイメージの改善

研究の結果、SNSを1週間休止したグループは、休止しなかったグループに比べて、全体的な自己肯定感が顕著に向上したことが明らかになりました。

自己肯定感は、能力的な自尊心、社会的な自尊心、外見的な自尊心という3つの側面から測定されましたが、すべての領域で休止グループのスコアが高くなっていました。

具体的には、SNSを休止した参加者は、自分の能力に対する自信が高まり、他者からの評価に対する不安が減少し、自分の外見に対する満足度が向上したのです。

これらの効果は、「痩身理想の内在化」が高い参加者、すなわち痩せた体型に対する理想を強く持っている女性においてより顕著に現れました。

痩身理想の内在化(Thin-ideal internalization)とは?

ここで「痩身理想の内在化」という言葉について少し詳しく説明しましょう。

これは社会的および文化的な影響を受けて、痩せた体型を理想的なものとして受け入れる心理的な過程を指します。

特に女性はメディアや広告、SNSなどを通じて痩せた体型が美の基準であるとされるメッセージを日常的に受け取っています。

このようなメッセージが繰り返し伝えられることで、痩せることが価値あることだと信じ込むようになり、自分自身の体に対する不満が高まるのです。

今回の研究では、痩身理想の内在化が高い女性ほど、SNS休止によるボディイメージの改善効果が大きいことが示されました。

これはSNSを休止することで、痩せた体型に対する理想を強化するコンテンツに触れる機会が減り、その結果として自分の体に対する満足度が向上したためと考えられます。

「上向きの社会的比較」

SNSを休止することで、理想化された他人の画像や動画と自分を比較する機会が減少します。

これにより、ボディイメージや自己肯定感に悪影響を及ぼす「上向きの社会的比較」のサイクルが中断されると考えられます。

上向きの社会的比較とは、自分よりも上の立場にいる相手との比べることです。

この比較が繰り返されると、自己評価が低下し、最終的にはメンタルヘルスに悪影響を及ぼすことになります。

SNSを断つことで上向きの社会的比較を減らすことができます。

また、SNSを利用しないことで、屋外での活動や運動、友人との直接的なコミュニケーションなど、他のポジティブな行動に時間を費やすことができ、これがメンタルヘルスの向上につながる可能性があります。

研究では、自然の中で過ごすことや身体を動かすことがボディイメージを改善し、自己肯定感を高める効果があることが示されています。

SNSとの適切な距離を保つ方法

今回の研究結果はSNSを完全にやめる必要はないものの、定期的に休止することがメンタルヘルスにとって有益であることを示唆しています。

とはいえ生活の一部となっているSNSを断つのは難しいものです。そんなときは以下の方法を試してみると良いかもしれません。

  • 通知をオフにする: SNSアプリの通知をオフにしてスマホからの誘惑を減らしましょう。
  • 他のアクティビティを計画する: 読書、運動、趣味の時間を増やすことでSNSの代わりになる充実した時間を過ごしましょう。
  • 友人や家族に伝える: SNS休止の理由を周囲の人に伝えてサポートを得ることでモチベーションを保つことができます。
  • 成果を記録する: SNSの休止期間中に感じた変化や自己肯定感の向上を記録することで自己の成長を実感しましょう。

また、SNSを再開した後も、利用時間を制限する、特定の時間帯はSNSを使わないようにするなど、健康的なSNS利用習慣を続けることでメンタルヘルスを維持することができます。

SNS断ちが時間の使い方や生活習慣の改善にもつながる

SNSを休止することはメンタルヘルスだけでなく、時間の使い方や生活習慣の改善にもつながる可能性があります。

例えば、SNSに費やしていた時間を家族や友人との直接的な交流に充てることで、人間関係が深まり、孤独感が軽減されるかもしれません。

また、デジタルデトックスの一環として、自然の中で過ごす時間を増やすことで、心身のリフレッシュ効果を得ることも期待できます。

SNSとのバランスを見直すことで、より健康的で充実した生活を手に入れるための第一歩を踏み出してみましょう。

参考文献:Olivia E. Smith, Jennifer S. Mills, Lindsay Samson, Out of the loop: Taking a one-week break from social media leads to better self-esteem and body image among young women, Body Image, Volume 49, 2024.

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