休日でもほとんど別行動という夫婦もいると思います。
これ自体は決して悪いことではありません。適度な距離感は夫婦によって違いますからお互いが寂しさを感じないなら問題ないでしょう。
しかしそのような別行動によって成長や刺激を感じていると危険かもしれません。
お互いの愛情が冷め離婚につながってしまう可能性もあります。
夫婦で刺激的なことをすると恋愛感情が高まる
「セックスがマンネリしたら「自己拡張」で解消しよう」でも紹介しましたが、夫婦で一緒に刺激的な活動をするとお互いに対する興奮や情熱が高まることが知られています。
新しいことに一緒に挑戦し経験や物事の見方を拡げることで人間が本来持っている「自己を拡張したい」という欲求が満たされ、それが相手への恋愛感情や興奮につながるからと考えられています。
愛情が冷めた夫婦は共通の趣味を持ちましょうなどとアドバイスされるのもこういった効果を狙ってのものです。
自己拡張がなされることでポジティブな気分や自己効力感、幸福感が高まるという研究もあります。
別行動でも良いのでは?
自己拡張そのものに夫婦間の愛情や興奮を高める効果があるのなら、それぞれが別々に自己拡張できるような体験をしても良いように思われます。
実際に別行動による自己拡張であってもパートナーへの感情を高める効果は期待できます。
しかし気をつけなければならないことがあります。
それは別行動による自己拡張が習慣化すると愛情は冷めるということです。
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300組以上の夫婦を対象にした研究
夫婦が仕事や趣味などで別々に自己拡張をしたときお互いに対する愛情はプラスになるかマイナスになるかを調べた研究があります。
ダラム大学のキャスリーン・カースウェル博士たちの研究チームが300組以上の夫婦を対象に行ったものです。
この調査では夫婦に日記をつけてもらい、単独で自己拡張をする機会があったかとパートナーに対する感情を記録しました。
自己拡張をする機会とは具体的にいうと物事の見方が変わるような体験やワクワクする体験、自分はどういう人間なのかという感覚が得られた体験のことです。
別行動による自己拡張が習慣化すると冷める
これらの記録を分析したところ単独でも自己拡張したと感じた日はパートナーに対する愛情が高まりやすいことが分かりました。
これはやりがいのある刺激的な体験からのポジティブな感情が夫婦関係に持ち込まれたことでロマンチックな情熱の高まりに寄与したからといえるでしょう。
しかし、単独で自己拡張する機会が多い人の場合はパートナーに対する愛情が低くなることが分かりました。
つまり一時的に自己拡張するような機会は愛情を高めますが、それが習慣になっていると愛情を低下させるということです。
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関係外の経験にリソースを割きたい?
なぜ別行動から得られる自己拡張が習慣化すると愛情が低下するのか明確な理由は分かりません。
考えられる理由としては関係外の経験の方が夫婦間の経験より刺激的だと感じてしまうことが挙げられます。
人間が割けるリソースには限界がありますからそれが夫婦の外に向いてしまうということです。
また趣味や仕事などでそれらの経験をしたことに対してパートナーから否定的な態度を取られることが愛情の低下につながる可能性もあります。
恋人や配偶者が自己拡張していくことで自分が取り残されたように感じてしまい、相手の仕事や趣味を否定しまうというのは不安定な愛着を持つ人にも見られる傾向です。
夫婦の趣味や体験を共有する
夫婦が別行動によって自己拡張することが習慣化している場合にはどうすれば良いのでしょうか?
同じ趣味を持つことなどが出来れば良いですが必ずしも夫婦の好みが合うとも限りません。無理に合わせるとどちらかにストレスが溜まり逆効果になります。
そういう場合にはお互いの趣味について共有できる機会を設けると良いかもしれません。
それぞれが体験したことを話したり、写真を見せたりして知見をシェアすることで、別行動のデメリットを相殺できる可能性があります。
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参考文献:Kathleen L. Carswell, Amy Muise, et al. (2021). Growing desire or growing apart? Consequences of personal self-expansion for romantic passion.