愛着障害(不安型・回避型)とセックスの問題

愛着とセックスの関係については昔から色々といわれているのですが、ここ最近さらに研究が増えている気がします。

このサイトでもいくつか紹介しています。

そしてセックスレスの原因が愛着の問題に起因することもあります。

セックレス状態だけどなぜ夫が拒否するのか分からないという場合、愛着の問題が隠れていることもあるのです。

なのでこの記事では愛着障害とセックスレスの関係について分かりやすくまとめたいと思います。

愛着とは何か?

愛着とは何かというと子供が養育者(多くは親)との間に形成する特別な絆です。英語でアタッチメントといわれることもあります。

安定した愛着が形成されることで子供は安心感を持ちます。それによって外の世界を冒険しようという気持ちも芽生えます。

怖い思いをしても戻れる安全な場所があると思えるからです。このような親の働きを「安全基地」と呼ぶこともあります。

また親との愛着によって、自分は愛されるべき存在であるという認識が持てますから、健全な自己肯定感も育まれます。

愛着は大人になった後の人間関係の型となるものです。

子供の愛着障害

親からの虐待やネグレクトによって安定した愛着が形成されないと、愛着障害となることがあります。

アメリカ精神医学会の『精神疾患の診断・統計マニュアル 第5版(DSM-5)』では愛着障害を以下の2つに分類しています。

  • 反応性愛着障害:養育者に甘えたり拒絶したりという両価的な行動、強い警戒心など
  • 脱抑制型対人交流障害:誰かれ構わずに甘える、無警戒など

上記以外にもそれぞれ様々な特徴があります。

両方に共通することは他者と適切な距離感でコミュニケーションができないということです。

これらの愛着障害は5歳までに症状が出るとされています。

大人になっても残る愛着の問題

さきほどの反応性愛着障害と脱抑制型対人交流障害は子供の愛着障害です。

大人になって誰かれ構わずに甘えるということはありませんが、不安定な愛着の影響は残ります。

それが配偶者や恋人との関係に及ぶこともあります。

愛着のスタイル

まず、愛着のスタイルと他者への考え方について簡単に説明すると以下のようになります。

  • 安定型:健全な関係が築きやすい
  • 不安型:依存したり、執着しがち
  • 回避型:親密になることを恐れる

(※不安型と回避型の両方の特性を持つ人もいます)

大人の愛着障害

不安型や回避型の傾向が強すぎると、大人になっても愛着障害の特徴が見られます。

大人の愛着障害については正式な医学用語ではありませんが、以下の分類があります。

  • 不安型愛着障害:拒絶や見捨てられることを恐れ相手にしがみつく
  • 回避型愛着障害:親密になることを恐れ自己を開示せず距離を置く

※回避型愛着障害と似た言葉に「回避依存症」というものがあります。こちらは回避型愛着障害にさらに、搾取や暴力といったネガティブな特徴が加わることがあります。この2つを同じものとして説明しているサイトもありますが対応法が異なる部分もありますので注意してください。

愛着スタイルと恋愛

あくまで私の個人的な感覚ですが、恋愛関係においては不安型は女性に多く、回避型は男性に多いように思います。

特に回避傾向のある夫や彼氏と連絡がつなかくなったり、急に心を閉ざされてしまったという女性からの相談が多いです。

そのような態度を見せながらも一緒にいるときは甘えてくるなど不安型の特徴も併せ持つ男性もいます。

実は回避型の愛着スタイルを持つ人も、潜在意識では見捨てられることを恐れていることがあるのです。

そして見捨てられたときの苦しみを味わうくらいなら、最初から親密にならないという選択をすることもあります。

愛着とセックスレスの問題

愛着の問題と「性」について調べた研究も数多くなされています。

愛着障害とまでいかなくとも、不安や回避の傾向があることで、セックスに対する執着や拒否が起こることもあります。

愛着の問題がセックスレスの原因となっていることもあります。

愛着と「性」について分かっていることをいくつか紹介します。

不安定な愛着を持つ人はセックスの満足度が低い

まず大きな問題として不安定な愛着を持つ人はセックスの満足度が低いことが分かっています。

その理由は愛情や性欲、楽しみのためではなく、不安を鎮めるため、相手に嫌われないためにというネガティブな動機によってセックスをしているからです。

そしてこのような動機によってセックスをしているとネガティブな感情が生じやすくなることも分かっています。

40代夫婦のセックスレス」の記事でも説明しましたが、相手の機嫌を悪くしないためにセックスをしていると満足度も下がります。

またパートナーを失わないために、自分が望まなくてもセクスティング(Hな画像やテキストを送り合うプレイ)を受け入れがちということも分かっています。

セックス時に機能的な障害が起こりやすい

セックス時に勃起しにくくなったり、濡れにくくなったりという、機能的な障害も起こりやすくなります。これは年齢に関係なく20代でも起こります。

不安型はセックスによって求められているという感覚を得たがります。回避型はそもそも性的な覚醒をしにくいといわれています。

そして双方ともに「相手は満足しているだろうか?」ということを気にします。

つまり性的興奮や愛情によってセックスを行っていないため、体も反応しにくくなるということです。

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不安定な愛着を持つ女性はセックス中に体型を気にしてしまう

不安定な愛着を持つ女性はセックス中に「相手からスタイルが悪いと思われていないだろうか?」という不安を持ちやすくなります。

見捨てられることへの不安が性的な接触時にも表面化し、ボディイメージへのネガティブな自意識が強まってしまうのです。

またこのタイプの女性はAVを見たときに、そこに出演する女性と自分の体型を比べて自信を失いやすい傾向もあります。

回避型の男性は勝利してもテストステロンが増えない

男性はスポーツなどで勝利したとき、それを意識するとテストステロンが増えることが実験から分かっています。

それによって性欲が高まりセックスしたいという気持ちにもなりやすくなります。

しかし、回避型の男性の場合は勝利してもテストステロンは上昇しないという実験結果があります。

報酬や社会的評価に固執しないため、勝ち負けにこだわらないことが原因と考えられます。

回避傾向を持つ夫に悩む妻というパターンが多い

ここで紹介した以外にも愛着の問題が性的な問題につながることを示す研究は数多くあります。

また、セックスレスの相談やカウンセリングをしている中でも、その原因が愛着の問題にあることは少なくありません。

特に多いのが回避傾向を持つ夫(彼氏)に悩む妻(彼女)というパターンです。

セックスレスの問題に限ったことではありませんが、回避型や回避依存症の克服法についてのデータというのは非常に少なく、確立された方法は今のところないといえます。

そんな中でもよく言われるのは、安全基地を確保して心の安定をはかるということです。安全基地は信頼できる人との関係に限らず、趣味等でも良いとされています。

また、回避傾向のある人はパートナーから感謝されたという感覚を持つことで、さらに献身的な行いを増やしやすくなることも分かっています。

追い詰め過ぎずに、感謝と安心感を与えてあげることが大切です。

<参考文献>
・Audrey-Ann Lefebvre, Ariane Audet, et al. (2021). A contemporary exploration of the relationship between attachment and sexual satisfaction: the role of technology-mediated sexual interaction.
・Ateret Gewirtz-Meydan, Kimberly J. Mitchell, et al. (2021). Attachment insecurities and body image self-consciousness among women: The mediating role of pornography use.
・Caroline Dugal, Audrey Brassard, et al. (2022). Romantic Attachment, Sex Motives and Sexual Difficulties in Emerging Adults: The Role of Childhood Interpersonal Victimization.
・Willem J. Verbeke1, Frank Belschak, et al. (2018). Exploring the Effect of Attachment Styles and Winning or Losing a Status Contest on Testosterone Levels.
・Kristina M. Schrage, Bonnie M. Le, et al. (2022). Feeling Appreciated Predicts Prosocial Motivation in Avoidantly Attached Individuals.

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