AVなどで行われる前戯は男女ともに性器をガンガンに責めて刺激するパターンのものが多いです。
確かにそのような前戯でも気持ち良くなることは可能です。
しかし、性器を激しく愛撫しなくとも、皮膚にゆっくりと触れるだけで、パートナーに快感を与えることができます。
前戯のコツはゆっくりと体毛のある面を愛撫することです。
男性でも女性でもそのような触れられ方によって気持ちいいと感じる感覚受容器を持っているのです。
前戯で愛撫すべき性感帯はどこなのか?
そもそも、前戯をするとき、相手のどこに触れれば良いのでしょうか?
人間の性感帯を調べたアールト大学のラウリ・ヌメンマー博士らの研究があります。
この研究では約700人を対象に、セックス中にどこを触られると気持ち良く感じるか、人体図に書き入れてもらいました。
その結果、性感帯として挙げたのは以下の部位が挙げられました。
- 股間(性器)
- 胸
- 尻
- 腰
- 背中
- 太腿
- ふくらはぎ
上記以外にも、あらゆる部位が性感帯として機能することが分かりました。
人によって感じる場所は違いますし、気分が盛り上がることで感じるようになる場所もありますから、カップルでお互いのポイントを探すことが大切です。
よく言われることとしては、最後まで衣服を着ている場所ほど感じやすいということです。
長袖長ズボンのときに露出している部分よりも、半袖半ズボンで露出している部分の方が感じやすく、さらにパンツとブラのとき露出される部分はもっと感じやすいということです。最後に残るのは性器となります。
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前戯のコツは秒速3~5センチメートル
愛撫をするときのコツとして、触れるか触れないかの力加減でゆっくり動かすようにとアドバイスされることがあります。
秒速3~5センチメートルの速さが最も気持ちいいといわれることもあります。実はこのペースにはそれなりの科学的根拠があります。
心地良さを感じる感覚受容器(C-tactile afferent)
人間の皮膚の中でも体毛が生えているエリアには、軽く触れられたときに心地良さを感じる感覚受容器(C-tactile afferent)があるとされています。
ソフトタッチを気持ち良く感じる器官です。
この感覚受容器が気持ち良さを感じる速度が秒速3センチメートル程度とされているのです。
秒速3センチメートルで撫でたときの反応
実際にユニリーバの研究開発部門のグレッグ・K・エシック博士らの実験でも、これは証明されています。
この実験では人間の皮膚をブラシで撫でたときの脳の反応を計測しています。
それによると、秒速3センチで撫でたときが最も快感の反応を示しました。
(触れるかどうか微妙な力加減で触れるという方法が最も、ブラシで撫でられる感覚に近いといえるでしょう)
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興奮状態が長くなることで精液も増える
女性は挿入よりも前戯のほうが気持ちいいという人も多いです。
しっかりと愛撫されてからでないと濡れずに痛いという人もいます。
実は男性にとっても前戯は大切な役割を果たします。興奮が高まるだけではなく、興奮状態が長くなることで精嚢液の分泌が増え、精液を増やす効果もあります。
男性は精液を放出している時間に強い快感を覚えます。
前戯というと挿入の前準備のようなイメージを持ってしまいがちです。前戯も立派な性的コミュニケーションです。
それ自体を楽しむという意識を持つことで、セックスの満足度は高まるでしょう。
レスぎみのカップルは前戯が逆効果になることも
前戯をゆっくりと楽しむことの重要性を説明してきましたが注意すべきことがあります。
それはセックスレスだったり、行為そのものを面倒に感じているカップルは逆効果になる可能性があるということです。
特に男性は前戯に対して面倒なモノという意識を持っている人も少なくありません。
そこでゆったり時間を掛けようと提案されると余計にやりたくなくなってしまうことがあるのです。
レス解消のために、性感マッサージの本やDVDを見たら、あまりに面倒な手順が多すぎて嫌になってしまったという男性もいます。
参考文献
Nummenmaa, L., Suvilehto, J. T., Glerean, E., Santtila, P., & Hietanen, J. K. (2016). Topography of human erogenous zones.
Greg K. Essick, Anuj James and Francis P. McGlone. (1999). Psychophysical assessment of the affective components of non-painful touch.