バイブレーターなどの大人のオモチャは女性にとって有益なだけではありません。
セックスの時に使うと男性の満足度も高まり、さらにはお互いに対する興奮を維持できるのです。バイブレーターの使用と性機能の相関もあります。
大人のオモチャを性的快楽を求めるためだけに使っていてはもったいないです。
大人のオモチャが女性にもたらすメリット
大人のオモチャは女性の自慰行為に快楽をもたらすものですが、性機能との相関関係も判明しています。
インディアナ大学のデブラ・ハーベニック博士らが18歳~68歳までの約2,000人の女性を対象に行った調査があります。
この調査によるとバイブレーターを使用している女性のほうが、性的欲求や興奮が高いだけではなく、膣の潤滑などの性機能も高い傾向にあることが分かっています。
また、バイブレーターを使用している女性は過去1年に婦人科検診を受けている確率が高いことも分かりました。
これはバイブレーターの使用に慣れている人は、自分の生殖器を見たり触れたりすることに慣れているため、性的な健康増進のための行動をしやすくなることが原因ではないかとされています。
セックスでイケなくなる?
大人のオモチャに慣れ過ぎてしまうとセックスでイケなくなってしまうと心配する人もいるかもしれません。
確かにそのリスクもゼロではありませんが、よほど強烈な刺激を与えるものを使ったり、特殊な方法で自慰をしない限りはそういった心配はないといえます。
アメリカのセックスカウンセラーの中には、イクという感覚が分からない女性に大人のオモチャを使って練習するようにアドバイスする人もいます。
今回の調査でもバイブレーターを使っている人のほうがオーガズムに達しやすいことも判明しています。
【関連記事】イカせてくれない男の特徴!「聖母・娼婦二分法」を支持する
大人のオモチャをセックス中に使うと男性も満足する
さきほどのデブラ・ハーベニック博士らは今回の調査とは別で、男性にも同様の調査を行っています。
こちらは18歳から60歳までの約1,000人の男性が対象となっています。
セックス中か自慰行為中かを問わず、何らかの形でバイブレーターを使用したことのある男性は約半数いました。
なぜセックスでバイブレーターを使うのかという理由を確認していますが、最も多かった答えは「セックスに刺激をもたらすため」というものでした。
他にパートナーのオーガズムのため、パートナーに頼まれたからといった理由がありました。
そして、バイブレーターを使用している男性のほうが性欲が高く、セックスに満足しており、イキやすいということも分かっています。
なぜセックスでバイブレーターを使うことで男性も満足するのかというと、刺激的な体験になることや、女性が感じている姿を見られるといった理由が考えられます。
また、女性を自分の力でイカせなければというプレッシャーから解放されることもセックスの満足度を高めることにつながると思われます。
自分の力で女性をイカせたいという男性の歪んだ価値観
自慰のときだけではなく、セックスのときも大人のオモチャを使ったほうが良いのですが、意外と男性が使いたがらないことがあります。
さきほどの調査結果と矛盾するようですが、男性は自分の力で女性をイカせたいという思いが強いのです。女性をイカせてこそ男だという、有害な男らしさに毒されているのです。
男性が自分の力で女性をイカせたがっていることは、フロリダ大学のミラン・C・セイボリーらの実験でも分かっています。
この実験では男性参加者たちに、パートナーをイカせたところを想像させました。このとき以下の3つのシチュエーションに割り当てられました。。
- 手や口でイカせる
- 男性器の挿入でイカせる
- バイブレーターでイカせる
これらを想像した後で、自分自身の男らしさや性的自尊心についての質問に回答しました。
その結果、手や口、男性器といった自分の体によってイカせるシチュエーションを想像したグループの男性のほうが、自分のことを男らしく感じ、性的自尊心も高く評価することが分かりました。
自分の力でイカせることが出来たと感じられたことが要因です。
夫や彼氏はあなたがオーガズムに達したかどうかを非常に気にすることがあるかもしれません。「イッた?」と何度も確認することもあるでしょう。
これはあなたを気持ち良くさせたい思いだけでなく、自分の男としての価値を確認したいという思いもあるということです。
【関連記事】オーガズムに達するためにはセックスを楽しむ気持ちが必要
大人のオモチャで感じるのも楽しいプレイと認識することが大事
やはりセックス中は大人のオモチャで気持ち良くならないほうが良いの?と思うかもしれませんが、そんなことはありません。
さきほども説明した通り、男性が「自分の体で女性をイカせてこそ」という歪んだ価値観を捨て去ることが大事なのです。
男性がイカせなければと焦るほどに、女性も「イカなくちゃ」とプレッシャーを感じてしまいます。プレッシャーはオーガズムの大敵ですから余計にイケなくなるのです。
誤った価値観を捨て去り、大人のオモチャで感じるのも楽しいプレイと認識することが大事なのです。
大人のオモチャをセックス時に使用することが自己拡張体験になる
大人のオモチャに限らず、セックスに新たなアイテムを取り入れることで、お互いに対する興奮を高める効果も期待できます。
なぜなら自己を拡張する新たな体験になるからです。
「セックスがマンネリしたら「自己拡張」で解消しよう」でも説明しましたが、人間は自分の幅が拡がるような体験をしたとき、それをさせてくれた相手に興奮するのです。
色々な大人のオモチャを試すことでお互いの自己を拡張させることが、より良いセックスへとつながります。
調査によっても違いますが、日本人女性が大人のオモチャを使用したことのある女性の割合は5~6割と言われています。
今回紹介したアメリカの調査では52.5%が使用経験ありでした。
それほど珍しいことではありませんから、興味のある人はチャレンジしてみましょう。
【関連記事】膣の奥まで挿入する男性は女性の浮気を疑っている?
<参考文献>
・Debra Herbenick, Michael Reece, et al. (2009). Prevalence and characteristics of vibrator use by women in the United States: results from a nationally representative study
・Michael Reece, Debra Herbenick, et al. (2009). Prevalence and characteristics of vibrator use by men in the United States.
・Milan C Savoury, Elizabeth A Mahar, Laurie B Mintz. (2022). Feelings of Masculinity and Accomplishment in Response to Penetrative versus Non-Penetrative Orgasms.