旦那がハゲでもエロくない理由!テストステロンだけでは性欲は強くならない

セックスレスの相談を受けていると「旦那がハゲなのに性欲が強くないんですけど」と女性から言われることがあります。

世間でよくいわれる「ハゲはエロい」を信じているのでこのような疑問を持つようです。

ハゲがエロいと言われるのは性欲を高めるテストステロンの多さと髪の毛の薄さには関係があるとされているからです。

そもそもハゲかどうかに関わらずテストステロンが多いと性欲は本当に強くなるのでしょうか?

テストステロン値と性欲を調べる

過去に行われたいくつかの研究では性欲が強いと認識している人のテストステロン値は高いという結果があります。

しかし2019年に発表されたゲッティンゲン大学のジュリア・スターン博士らの研究ではテストステロンだけでは性欲の強さを説明できない可能性が出てきました。

この研究ではまず61人の若い成人男性の唾液を採取しテストステロン値を測定しました。

そして性欲の強さとソシオセクシャリティについて回答してもらいました。

ソシオセクシャリティとは「愛情のない相手と性的関係を結ぶ傾向」のことです。

要するに好きじゃなくてもセックスできる度合いということです。これが高い人は浮気相手とのセックスでも満足感を得やすいともいわれています。

テストステロンが性欲に関係しているのであれば、この値が高い人は「性欲が強くソシオセクシャリティも高い」という結果になるはずです。

しかし結果はそうなりませんでした。テストステロンの量と性欲には相関がなかったのです。

テストステロンの邪魔をするストレスホルモン

なぜテストステロンの量と性欲には関係がなかったのでしょうか?

その理由はコルチゾールにあるかもしれません。

コルチゾールとは副腎皮質ホルモンの一種でストレスを受けたときにも分泌量が上がります。

コルチゾールとテストステロンは互いの優位性を失わせるのではないかという仮説があります(デュアルホルモン仮説)

ストレスが溜まると性欲がなくなることがありますがそれはコルチゾールがテストステロンの邪魔をしているからかもしれないのです。

実験の結果を詳しく分析するとテストステロン値が高くコルチゾール値が低い男性はソシオセクシャリティが高い傾向にあるということが分かりました。

つまり好きじゃない相手ともセックスしたい欲望が強いということです。

コルチゾールの値が低ければテストステロンの邪魔をしないためこのようなことが起こっているのではないかと考えられます。

社会的地位にも関係する

テストステロンは性欲だけではなくリーダーシップや競争力にも影響を与えます。

戦いに強い人は情事も好きであるという意味のことわざに「英雄色を好む」というものがありますがまさにそのことを表しています。

実験でもテストステロンと社会的地位には相関があるということが分かっています。

その場合も「コルチゾールの値が低ければ」という条件がつきます。

テストステロンが性欲や競争力に影響を与えるにはコルチゾールとの関係も考慮しなければならないということです。

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テストステロンとハゲの関係

最後にテストステロンとハゲがどう関係するのかを説明しておきます。

体内でテストステロンが5αリダクターゼという酵素と結びつくとジヒドロテストステロンに変化します。

このジヒドロテストステロンが毛根への栄養の供給を止め、髪がだんだんとやせ細りやがては生えなくなるのです。

これが冒頭でも書いた「ハゲは性欲が強い」説の根拠とされています。

去勢された男にハゲはいない

ジェームズ・B・ハミルトンという医師が少年時代に去勢された21人の男性が老年になったときを追跡調査したところ、同世代と比べて髪の毛がフサフサだったということを確認しています。

去勢されるとテストステロンをはじめとする男性ホルモンの分泌がほとんどされなくなりますからその影響ではないかということです。

もっと昔では「医学の祖」と言われるヒポクラテスも去勢された男にハゲはいないことに気づいていたといわれています。

だからといって「ウチの旦那は性欲少な目だからハゲないのね」と考えてはいけません。

そもそもハゲは遺伝的な要因が強いとされています。テストステロンの量に関係なくハゲる人はハゲるのです。

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旦那に「このハゲー」と言ってはいけない

仮にあなたの旦那さんがハゲていたり髪が薄くなっていても「このハゲー」とか言うのはやめましょう。

妻からハゲをいじられてストレスが溜まると大変です。

ストレスによってコルチゾールの分泌が増えてしまうとテストステロンが多かったとしても性欲を落としてしまうかもしれないのです。

男性も体型にコンプレックスを抱えている人は多いのです。体型を貶されてボディイメージが下がるとセックスしたい気持ちが下がることも分かっていますから注意してください。

参考文献
・Julia Stern,et al(2019) Men’s sociosexuality: No clear relationships between steroid hormones & self-reported sexual desire or sociosexual orientation; greater desire for casual sex only with relatively low average cortisol.
・Mehta PH, Josephs RA(2010) Testosterone and cortisol jointly regulate dominance: evidence for a dual-hormone hypothesis.

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