夫が誘ってくれない理由についてネット上には色々と書かれています。
このサイトでもセックスレスの夫の心理を解説しているのですがネガティブな内容が多いです。
そういった情報を見るにつけ暗い気持ちになる女性もいるでしょう。
そこで今回は夫が誘ってこないことについて少しだけポジティブな理由を進化心理学の実験から紹介したいと思います。
あなたの夫が該当するとは限りませんが、知識の一つとして知っておくと夫婦の性の問題について考えるときに役立つ内容となっています。
求めてこないどころか妻から誘うと驚く夫
あなたが夫と付き合い始めたばかりのころはあなたのことを強く求めていました。
そしてそれにあなたが激しく呼応することに疑問を持ちませんでした。
しかし付き合いが長くなるにつれて夫から求めてくることは減り、あなたから求めると「そんなにしたいの?」と驚いた反応をするようになっている……。こんな状態の夫婦は少なくありません。
なぜこのようなことが起こるのでしょうか?
それは性的なバイアスが変化しているからかもしれません。
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性的過大知覚バイアスと性的過少知覚バイアス
異性のセックスに対する欲求を過大に評価する偏見を性的過大知覚バイアス(以下過大バイアス)といいます。
簡単にいうと「あの子はセックスしたいと思ってるに違いない」と勘違いする傾向です。
これとは反対に異性のセックスに対する欲求を過少に評価することを性的過少知覚バイアス(以下過少バイアス)といいます。
「きっと、したいとは思っていないだろうな」と勘違いする傾向です。
子孫を残すチャンスを逃さないために男は勘違いする
男性はセックスのチャンスを逃したくないと思っています。そのため「相手はセックスしたいはず」と考えるほうが積極的になれるので子孫繁栄に有利です。
一方、女性は妊娠させられてから捨てられるリスクを負いたくないと思っています。そのため「相手はセックスしたくないはず」と考え消極的でいるほうが安全です。
つまり過大バイアスは男性に多く、過少バイアスは女性に多いということです。
このことは複数の実験によっても証明されています。
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妻はそれほどセックスをしたくないはず
ではなぜ夫から誘ってこないどころか妻から誘ったときに驚いてしまうことさえあるのでしょうか?
男性に過大バイアスが起こりやすいのであれば、妻の性欲を実際よりも高く見積もるはずですから驚くことはないはずです。
実は時間の経過や二人の関係性の変化により男性も過少バイアスが強くなる可能性があるのです。
そのため「妻はそれほどセックスをしたくないはず」という思い込みを持ってしまうので夫からは誘わないですし、誘われたときに驚いてしまうということです。
男性は長く一緒にいると過少バイアスが強くなる
男性に過大バイアスが多いという実験結果があると説明しましたが、これらの実験はほとんどが初対面同士の男女に会話をさせたり、見知らぬ異性のビデオを見せて判断させるという形式で行われたものが多いのです。
一方でトロント大学などが結婚や同棲しているカップルも対象として行った実験では、夫は妻の性欲を実際よりも低く評価していることが分かっています。
この実験では101組のカップルに21日間にわたり「自分の性欲の強さはどれくらいか?」「相手の性欲の強さはどれくらいと思うか?」ということを記録してもらいました。
すると男性は女性の性欲を正しく予測できずに実際よりも低いと思い込んでいる傾向があったのです。
女性にも多少この傾向は見られましたが男性ほど強くはありませんでした。
つまり男性は出会ったばかりの時期は過大バイアスが出やすいですが、長く一緒にいると過少バイアスが出やすくなるということです。
夫は拒絶されることを恐れている
そもそもなぜ長くいると過少バイアスを持ってしまうのでしょうか?
さきほどのトロント大学の実験では自分と相手の性欲の評価以外に「パートナーに拒絶されたくないという思いはどれくらいか?」ということも記録してもらっています。
すべての記録を分析したところパートナーに拒絶されたくないという思いが強い日ほど過少バイアスが出やすいことが判明しました。
なぜこのようなことになるかというと拒絶されて傷つくことを避けようとするからと考えられます。
そのために「妻はそれほどしたくないはずだから誘うのはやめよう」と思うことで行動を抑制するのです。
夫から誘わないのは妻とのセックスに飽きたからではない
夫から誘われないと悲しくなりますし、自分から誘ったときに「そんなにしたいの?」と言われると蔑まれたような気持ちになるかもしれません。
しかし夫は本当に驚いてそう言っているだけの可能性もあるのです。
それに男性も気分によってセックスへの渇望は変化しますから、断られたとしてもタイミングが合わなかっただけの可能性もあります。
夫から誘ってこないからといってあなたとのセックスに飽きたからとは限らないということです。
本当はセックスしたいと思っているのに、あなたの素振りがしたそうに見えないために誘いにくくなっているかもしれないのです。
実際に夫をその気にさせるには妻から求められていることを認識させると良いという研究もあります。
あなた自身の反応をぜひ変えてあげましょう。
参考文献:Amy Muise, Sarah C E Stanton, et al. (2016). Not in the Mood? Men Under- (Not Over-) Perceive Their Partner’s Sexual Desire in Established Intimate Relationships.