セックスで女は愛を求め、男は興奮を求めるなどといわれることがあります。
それがプレイにも表れているかもしれません。フェティシズムを具現化しようとするのは大抵男性からです。
男性はアブノーマルで危険な行為を望み、女性は抱きしめたりキスしたりといった愛情を確かめられるような行為を望むようにみえます。
男性向けのAVは様々な変態的なプレイが多いのに対し、女性向けのものはドラマ性があり、プレイもゆったりと優しいものが多いことからもこれは明らかなようです。
とはいえ男性も意外とノーマルなセックスを求めることがあります。
そしてそれを利用することでレスになりにくい性生活を送れるかもしれません。
セックスで愛を感じたい女&セックスで興奮したい男
女性が愛を感じられるセックスを求めるのには進化的な理由があります。
もし、愛してくれない男性とセックスをして妊娠してしまったら、産まれてくる子供と自分を養う人がいなくなってしまいます。
なので性欲が治まった後でも自分を見捨てないという証拠として愛を求めるのです。
性的に奔放な女性でない限りは安定した関係のパートナーとのセックスのほうが満足度が高まるという研究もあります。
一方で男性は愛よりも性的興奮を求めます。
男性が妊娠することはありませんからセックスのリスクは低いのです。そしてより多くの女性との間に子孫を残したいと思いますから、愛なんてなくともムラムラした気分になりやすいです。
新奇性を求める傾向もありますから、いつも同じパターンではなく様々なプレイを求めるのです。マンネリ解消にイメチェンが有効なのもこういった理由です。
AVのジャンルが数えきれないほどあるのも、男性が色々なプレイを求めることの証左でしょう。
男女別の理想のセックス
とはいえ、男性はセックスに全くもって愛を求めないのでしょうか?
アブノーマルな行為で興奮さえできれば満足なのでしょうか?
男性と女性がどんなセックスをしたいと思っているのかを調べた、インディアナ大学のデビー・ハーベニック博士らの調査があります。
この調査では2,000人以上の男女を対象に、性行動や理想とするセックスについて聞き取っています。
セックスにおける理想的な行為については50個以上の内容を検討してもらっています。
女性がしたいセックス
その中でまず、女性がしたいと思っているセックスの上位は以下の通りです。
- 膣内挿入(69.9%)
- 抱きしめる(62.8%)
- キスをする(49.3%)
- 甘いセリフを言う(46.6%)
- セックス前のマッサージ(45.9%)
- 優しいセックス(45.4%)
- オーラルセックスを受ける(43.3%)
- ロマンチックな映画を見る(41.9%)
- セクシーな下着を着る(41.2%)
- セックスを増やす(40.4%)
セックスなので膣内挿入を最もしたいと考える人が多いのは当然ですが、次いで、抱きしめるとキスが入っています。
カッコ内の数字はその行為が「とても理想的」と答えた割合ですが、「まあまあ理想的」と答えた人の割合も合計すると、約9割が抱きしめることとキスすることを理想としています。
これらの行為は性欲よりも愛情によって行われると感じやすいものといえます。
男性がしたいセックス
次に男性がしたいと思っているセックスは以下の通りです。
- 膣内挿入(72.8%)
- オーラルセックスを受ける(60.5%)
- セックスを増やす(58.2%)
- 相手が脱ぐのを見る(46.0%)
- キスをする(42.7%)
- 優しいセックス(42.2%)
- 抱きしめる(41.9%)
- オーラルセックスをする(41.3%)
- 一緒にジャグジーやスチームルームに入る(36.7%)
- 家の中の違う場所でする(38.2%)
意外なことに、男性もキスや抱きしめることを求めていることが判明しました。
「とても理想的」だけではなく「まあまあ理想的」と答えた人も合わせると、8割から9割がキスしたり抱きしめたりしたいと思っています。
大人のオモチャや目隠し、縛り、露出といった他の候補と比べると、男性もノーマルな行為を理想としている傾向が見て取れます。
求められているという感覚がセックスをより良くする
あなたが彼氏や夫とセックスをするとき、男性は興奮さえできれば良いと思っているように見えるかもしれません。
こっそりマニアックなAVを見ていることなどを知ってしまったときはその思いがより強くなるでしょう。
しかし男性の多くは抱きしめたり、キスしたりといった愛情を感じられるような行為もしたいと思っているのです。
下側になっている女性が顔を持ち上げてキスをしてくるのが好きという男性はけっこう多い気がします。
妻から求められていると感じることで夫はその気になるという研究もあります。
オーガズムに拘らないセックスを始めておくとレスの予防になる
今回の調査結果は過去に行われた他の調査と比べると、膣内挿入を理想的とする人の割合が少し低いです。
これは対象者の年齢が18歳から91歳(平均年齢47.1歳)と幅広いことが原因と考えられます。
加齢により、勃起能力の低下や、膣の潤滑具合の低下による痛みが生じ、挿入が困難になっている人も一定数いるからです。
こういった要因がレスの原因となってしまうこともあります。
しかし、今のうちから裸で抱き合ったり、キスしたりするだけのオーガズムに拘らない最高のセックスを始めておけばそれらのリスクを低減できます。
男性に「セックス=常に激しく腰を振って疲れるもの」という認識を持たせないことで、セックス開始のハードルを低い状態に保つことができるのです。
したいセックスを言い合えるカップルは性的満足度が高い
今回の調査は男性がマニアックなプレイを求めていないことを証明するものではありません。
「目隠し」や「露出」といったように項目を細分化したことで、それぞれの評価がバラけた可能性があります。
「マニアックなプレイ」とまとめた項目になっていたら高い割合になっていたでしょう。
とはいえ世間がイメージしている以上に男性はノーマルな行為も求めていることが分かりました。
マンネリしているカップルはもう一度、セックスについての要望を伝えあってみてはいかがでしょうか?
どんなセックスがしたいかについてのコミュニケーションをしているカップルのほうが性的満足度が高いことも分かっています。
参考文献:Herbenick D, Bowling J, Fu T-C(Jane), Dodge B, Guerra-Reyes L, Sanders S (2017) Sexual diversity in the United States: Results from a nationally representative probability sample of adult women and men. PLoS ONE 12(7):e0181198.