オナ禁の効果の科学的根拠とされる論文は撤回されていた!メンタルにも悪影響

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オナ禁について11月中に書いておきたかったのですが、12月になってしまいました。

日本ではそんなことないのですが英語圏では11月がオナ禁の期間として有名なのです。

といっても宗教的な理由等ではなく、ネット上で拡まったチャレンジ企画のようなものです。

X(旧ツイッター)やReddit上では「No Nut November(NNN)」と呼ばれています。(Nutは睾丸のスラング)

要するに射精やオーガズムをすることなく1ヶ月間ガマンしようというものです。2010年前後から始まったようです。

日本でもオナ禁が一部の人間に熱狂的に支持されています。

しかし、残念なことにオナ禁の科学的根拠とされていた例の論文は撤回されています。

それどころかメンタルに悪影響を及ぼすことが分かっています。

オナ禁の効果とされるもの

オナ禁について知らない人もいると思いますので簡単に説明すると、長期に渡りオナニーをしないことで次のようなメリットを得ようとする活動です。

  • 肌質や髪質が良くなる
  • ポジティブな気持ちになれる
  • 異性にモテる
  • 筋肉がつきやすくなる

上記以外にもオナ禁によって様々なメリットがあると信じられており、「運」も良くなると言い出す人までいます。

人生も好転すると信じている人もいます。

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オナ禁の科学的根拠とされる論文

オナ禁によって男性ホルモンのテストステロンが増えることが、上記の効果が発生する主な要因とされています。

そしてその科学的根拠とされているのが、杭州師範大学のジャン・ミンの実験です。

この実験では21歳から45歳までの男性28人を禁欲するグループとしないグループに分け、それぞれのテストステロン値を調べました。

すると禁欲したグループの男性は6日目までは大きな変化はありませんでしたが、7日目にテストステロン値が有意に上昇したのです。

これがオナ禁の科学的根拠として頻繁に引用される研究です。

データの提供を拒否し論文を撤回

しかし、この実験はかなり怪しいものです。

この実験が論文として発表されたのは2002年です。そして著者らはなぜか2003年にも同じ内容の論文を発表しました。同じ内容の論文を発表するのはタブーです。

しかも2020年にこの実験結果を再現したいと考えたUCLAの心理学者で統計学者のニコール・プラウス博士が、著者にデータの提供を依頼したところ、拒否したのです。

公開された研究論文のデータを他の研究者が再現のために求めるのは一般的な慣行です。公開した側からしてもエビデンスの強さの証明になりますから、特許や非公開情報の流出につながらない限りは応じるでしょう。

しかし、1年以上に渡るやり取りを続けても最終的にはデータを提供しなかったのです。

そしてついには、この論文を撤回したのです。

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オナ禁によるテストステロンのスパイクを再現した研究はナシ

撤回したのは2003年に発表した方の論文です。その撤回理由は同じ内容が既に発表されているからというものでした。

つまり2002年の論文は撤回されてはいません。ですから実験内容が嘘とは言い切れません。

しかし、この実験結果が発表されてから20年以上が経過していますが、禁欲によってテストステロンのスパイクが起こることを再現した実験はおそらくありません。

ニコール・プラウス博士も指摘していましたが、統計処理の誤りによってテストステロンが上昇したという結果が導き出されてしまった可能性が高いと思います。

おそらく、外れ値の処理にミスがあり、サンプル数が少なかったためにそれが全体に大きく影響してしまったのではないかと思われます。

ポルノが悪影響というレベルの高いエビデンスはない

オナ禁を信奉する人の中にはポルノ依存症の克服に役立つという人もいます。

海外のコミュニティではポルノを見ること自体が精神に悪影響を及ぼすという共通認識もあるようです。

日本でもオナニーをしないだけではなく、AVの視聴もしないという謎ルールを自分に課してオナ禁している人達もいるようです。

しかし、ポルノ依存症は医学的に認められたものではありませんし、ポルノの視聴そのものが直接的に悪影響を及ぼすというエビデンスレベルの高い研究はありません。

確かにポルノを見ることで悪影響が出るという研究はあります。しかしそれはポルノを見るのは道徳的、宗教的に良くないという思い込みを持っている人にのみ該当するのです。

つまりポルノは良いものという認識でみる限りにおいては悪影響が出る可能性は非常に低いのです。

オナ禁のリスク

オナ禁についてはそのリスクも指摘されています。

先程のニコール・プラウス博士らの最近の研究では、オナ禁の失敗によって、羞恥心や無価値感、希死念慮を抱くリスクがあることが分かっています。

さらにオナ禁のコミュニティ内では、女性蔑視、LGBT差別、他人を傷つけるような投稿が多く、それらに参加している人ほど勃起不全、うつ病、不安、性に対する否定的感情が強いことも分かっています。

それが因果関係なのか相関関係なのかは不明ですが、オナ禁のコミュニティには心身ともに不安定な人が多いといえそうです。

オナ禁している本人たちも危険性を認識している

ちなみに英語圏ではオナ禁のことを「No Fap」と言ったりします。イクときに「Fap」と叫ぶことが由来のようです。その名前のコミュニティなどもあります。

そしてそれらのコミュニティの中にはオナ禁の効果について科学的根拠のないことを指摘した場合には訴えると書かれているものもあります。

また注意書きには希死念慮が生じた場合には直ちに専門家に相談するようにという文言もあります。

本人達が最もオナ禁の危険性を認識しているのかもしれません。

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<参考文献>
・Ming Jiang. (2002). Periodic changes in serum testosterone levels after ejaculation in men.
A research on the relationship between ejaculation and serum testosterone level in men.
・【Retracted】 Ming Jiang, Jiang Xin, Qiang Zou, Jin-Wen Shen. (2003). A research on the relationship between ejaculation and serum testosterone level in men.
・Nicole Prause, James Binnie, et al. (2023). Iatrogenic effects of Reboot/NoFap on public health: A preregistered survey study.