人間は優秀な子孫を残したいという本能を持っています。
そのために優秀な遺伝子を持つパートナーを見つけようとします。
女性が男性をパートナーとしてふさわしいかを判断する方法は様々です。
社会的地位が高いとかお金を持っているというのも、優秀な遺伝子を持っているからこそと判断することもあります。
また、見た目の良さから判断することもあります。
線対称な顔や、大きな骨格に惹かれるのは、無意識に遺伝子の優秀さを感じ取っているからなどといわれたりもします。(これらが優秀な遺伝子と相関するものかは不明ですが…)
また、些細なしぐさにも遺伝子の優秀さが現れるのではないかともいわれています。安定感のある動きや俊敏さは優秀な個体であることの証明です。
そしてこれらの特徴を持つ人というのは、体臭も良い匂いなんじゃないか?という研究があります。
リバプール大学のクレイグ・ロバーツ博士らの研究です。
男性の匂いを採取して女性に嗅がせる実験
この研究ではまず、20名の男性参加者からワキの匂いのサンプルを収集しました。
無香料の石鹸でシャワーを浴びた後、ワキの下にコットンのパッドを貼り付け就寝してもらい、翌日にそれを回収したのです。
そして、その匂いを10名の女性参加者に嗅がせ、魅力を評価させました。
さらに女性参加者は男性が休暇の過ごし方について話している動画を見て、その魅力を評価しました。
このときの動画の音声は消されています。声のトーンや話の内容が評価に影響を与えることを避け、動きだけを評価できるようにするためです。
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良い匂いの男性は動きが魅力的でエストステロンも多い
それぞれの評価を分析したところ強い相関があることが分かりました。
つまり良い匂いとされる男性は、動画の動きも魅力的と評価されたということです。
またこの研究では男性の手の「2D4D比」も測定しています。2D4D比とは人差指に対する薬指の長さの比率です。
薬指の長さはテストステロン値と相関していると言われていますから、2D4D比が小さいほどテストステロンが多いといわれています。
テストステロンは性欲や仕事のパフォーマンスにも影響するといわれています。実際に優秀なビジネスマンは2D4D比が小さいという調査結果もあります。
そして、今回の実験では良い匂いとされる男性ほど、2D4D比が小さいことも分かりました。
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香水をつけてないのにいい匂いの男性
ここまでの説明を分かりやすくまとめましょう。
まず過去の研究などから、優秀な遺伝子を持つ男性は動きが魅力的で、2D4D比も低い傾向にある可能性が高いといえます。
そして今回の研究ではこれらの特徴を持つ男性は良い匂いと評価されることが分かりました。
つまり、良い匂いの男性は優秀な遺伝子を持っている可能性が高いということです。
日常生活の中で、香水をつけてるわけでもないのに、なぜかいい匂いがする男性と遭遇することもあると思います。
このような男性は優秀な遺伝子の持ち主なのかもしれません。
夫や彼氏の体臭が好きなのは相性が良いから
また、別の説では遺伝子の優秀さではなく、相性の良さを匂いで判断しているという説もあります。
環境変化に対応できる多様性のある子孫をつくるためには、自分の遺伝子とはかけ離れた遺伝子を持つ相手を選ぶことが有効とされています。
そのため、そのような相手の匂いを心地良く感じさせるような機能が人間に備わっている可能性があるのです。
逆にいえば遺伝子が近い男性の匂いは臭いと感じるということです。娘が父親を臭いと感じる理由もこれで説明がつきます。
夫や彼氏の体臭が大好きという女性も少なくありませんが、それは遺伝子レベルで相性が良いということなのかもしれません。
ちなみにパートナーの匂いを心地良く感じている人は、会えないときでも、相手の匂いのついたシャツなどを枕元に置くと良いです。それによって安眠できることが実験で分かっています。
参考文献:Roberts SC, Kralevich A, Ferdenzi C, Saxton TK, Jones BC, DeBruine LM, Little AC, Havlicek J. (2011). Body odor quality predicts behavioral attractiveness in humans.