ポジティブな感情が女性の性欲に与える効果

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女性の性機能とメンタルの関係については長らく心理学や精神医学の分野で注目されてきました。

しかし、その多くはうつ病や不安障害などの臨床的な気分障害と性機能障害の関連に焦点を当てたものです。

日常的に抱く感情が女性の性機能や性欲にどのような影響を与えるのかについての研究は意外と少ないものです。

とはいえ、相談に来る女性の話を聞いていると、精神疾患によってというよりかは、パートナーとの関係や日常の出来事によって抱く気分が「性」に影響しているという内容のほうが多いです。

そこで、今回は女性が日常的に持つ感情と性機能の関係に関する研究を紹介したいと思います。

具体的にはポジティブな感情が女性の性にどんな影響を与えるのか?ということです。

ポジティブな感情の重要性

ポジティブな感情とは、喜びや、安心感、自信など日常生活で経験する前向きな感情を指します。

このような感情が高いと日常生活での満足感や幸福感をより多く感じることができます。

一方でネガティブな感情は、悲しみや不安、怒りといった負の感情を指します。これらが強くなるとストレスや心身の不調を引き起こすことがあります。

ポジティブな感情とネガティブな感情は互いに影響し合いながらも、独立した要素として存在し、健康や生活の質に対して異なる影響を及ぼしています。

そしてそれは性欲や性機能にも影響します。

感情と性の関係についての研究

女性の感情と性に関して、ミシガン大学のデビッド・カルムバック博士らの研究があります。

この研究では171名の女性を対象に、日々の感情と性機能の関連性を探るための2週間の追跡調査を行っています。

参加者は毎日、自宅でウェブ上のアンケートを通じて、前日の感情と性機能について報告しました。

ポジティブな感情としては、幸福感、安心感、自信が評価され、ネガティブな感情としては、不安、悲しみ、怒りが評価されました。

性機能に関しては、性欲、主観的な性的興奮、膣の潤滑、オルガズム機能、性行為中の痛みなどが評価項目となりました。

これらのデータをもとに、ポジティブな感情と性機能の関係性を分析しました。

ポジティブな感情と性的欲求

まず、ポジティブな感情が女性の性的欲求に与える影響について見ていきましょう。

研究結果によると参加者が幸福感を強く感じた日は、性的欲求も高まることが確認されました。さらに翌日にもその効果が持続することが確認されました。

つまり、前日に幸福感が高いと翌日も強い性欲を感じるということです。

また、性行動が部分的に媒介していることも示唆されました。幸福感が高い日には翌日に性的活動が行われ、それがさらに翌日の性的欲求を増加させるという連鎖的な効果が見られたのです。

この結果はポジティブな感情が性的欲求を直接的に刺激するだけでなく、ポジティブな感情が女性の性行動にも影響を与え、その結果、性的欲求がさらに高まるという相互作用があることを示しています。

ネガティブな感情と性的機能

次に、ネガティブな感情が女性の性的機能に与える影響について見ていきます。

研究では特に恐怖感が性的興奮やオーガズムの達成、さらには膣潤滑に対して負の影響を持つことが確認されました。

例えば、恐怖感が強い日は、性的興奮やオーガズム機能が低下し、さらに性行為中に痛みを感じるリスクが高まるという結果が得られています。

これは、恐怖や不安が自律神経系に与える影響、特に生理的な興奮状態(心拍数の増加や筋肉の緊張など)が性的機能に及ぼす影響と関連していると考えられます。

性的機能と翌日の感情への影響

この研究では、性的機能が翌日の感情に与える影響についても検討されました。

結果によるとオーガズムの達成が翌日の悲しみの感情を軽減することが示されました。

また、性的欲求が強い日は、翌日により落ち着きやリラックス感を感じることが多いという結果も得られています。

これもまた、性的活動が心理的な安定感や幸福感に寄与する可能性を示唆しています。

女性のセクシャルウェルネスのために

ここまで見てきたように、ポジティブな感情は女性のセクシャルウェルネスに良い影響をもたらすことが分かりました。

このメカニズムは、いくつかの要因が考えられます。

まず、ポジティブな感情は全般的なストレスレベルを低下させ、リラックス状態を促進します。これにより、女性が性的な欲求を感じやすくなるのです。

また、ポジティブな感情が幸福感や自己肯定感を高めるため、自分自身の体に対する肯定的な感情が生まれ、それが性的な欲求を引き出す要因になると考えられます。

日常生活においてポジティブな感情を増やすにはストレスを軽減するためのリラクゼーション法や運動、日々の中で感謝や喜びを感じる瞬間を意識的に増やすことが有効です。

また、パートナーとの関係においても、前向きな感情を共有することで、性的な親密さや満足度が向上する可能性があります。

参考文献:Kalmbach DA, Pillai V. (2014). Daily affect and female sexual function.

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