夫のことは嫌いではないし、どちらかといえば好きだけれど情熱的な気持ちが冷めるということもあります。
というより脳内ホルモンの影響を考えれば、恋愛感情のドキドキは同じ相手に対して2~3年ほどしか持ちませんから、落ち着くのは自然なことです。
とはいえ、全くといって良いほど異性として意識できなくなってしまうと、夫婦関係の悪化やセックスレスの原因となることもあります。
もしあなたが夫に対して冷めすぎている気がするなら「メイトバリュー」を再評価してみてください。
それによって気持ちや性欲に変化が起こることがあります。
メイトバリューとは
メイトバリューとは簡単に言うと配偶者としての総合的な価値です。
進化論や性淘汰の文脈で用いられることの多い言葉です。
外見、性格、貞操観念、遺伝子などを含んだ異性から望ましいと認識される形質の総和です。
私たちは恋愛において自分のレベルに合った相手を選ぶという社会交換理論によって選択を行うことが多いです。
素敵すぎる相手よりも手に入りそうな相手を選ぶのもこの社会交換理論です。
このとき比較しているのが自分と相手のメイトバリューと考えたら理解しやすいと思います。
関係維持への欲求、セックスしたい欲求、性欲の相互作用
人間はメイトバリューが高い相手との関係を維持したいと思います。
現実的な話ですがその方が生存できる可能性が高いからです。「この相手といれば食べられる」「強い子孫を残せる」という本能です。
関係を維持できるよう相手のために何かしようと思います。何かしてあげることで相手も感謝し関係にコミットしてくれます。
そのためにはセックスも必要となります。夫婦生活の頻度が高いと関係も良くなることが様々な研究で分かっています。
研究結果など聞かなくても多くの人は感覚的に分かっていると思います。
ですからメイトバリューの高い相手とセックスしようと思うのです。性欲も高まるということです
このようにメイトバリューの高い相手との関係維持への欲求、セックスしたい欲求、性欲は相互に作用します。
逆にメイトバリューが低いと思う相手にこういったことは起こりません。
つまり、夫への気持ちが冷めた女性は夫のメイトバリューを見直せば良いのです。
☑︎3年以上セックスレスの夫婦でも「アサーション」で復活できる
75組のカップルを6ヶ月にわたり追跡調査
メイトバリューが高いと感じることで気持ちが変化し、何かしてあげようというモチベーションや性欲が高まることはライマン大学の調査でも分かっています。
この調査では75組のカップルを6ヶ月にわたり追跡調査しました。(途中で別れたカップルもいました)
定期的にパートナーのメイトバリューをどう評価するか、関係維持のためのモチベーションはあるか、性欲はどれくらいか、といったことを定期的に確認しました。
その結果、パートナーのメイトバリューが高いと感じているときほど、相手との関係を維持したい欲求や性欲が高まることが分かりました。
夫への情熱的な気持ちを取り戻すための具体的な方法
夫への情熱的な気持ちが冷めたとき、どのようにメイトバリューを再評価すれば良いでしょうか?
それは夫の配偶者選択の市場における望ましい面に注目するのです。
具体的に次のようなことを想像してみることです。
- 仮に夫が独身だったとしたら他の女性からどんなアプローチをされるか?
- 仕事も一生懸命、家庭のこともやる夫のことを他の女性はどう思うか?
- 夫のキャリアの見通しはどれくらいか?
- 野心や目標に向かう姿勢はどうか?
ここに挙げたのは一例ですから該当しない夫もいると思います。
大切なことは他の男性にはない夫の面白さや誠実さといった魅力を具体的に想像し、他の女性にとってもそれは魅力的に映るものだということを再認識することです。
優しい性格で安心できる家庭を築いてくれるというのも非常に立派な価値です。
メイトバリューは異性としての色気だけを指すのではありません。一緒に家庭を築くうえでの望ましい特性の総和なのです。
☑︎やさしいセックス「Good-Enough Sex」を実践して情熱の火を維持する
客観的に評価することで冷めた気持ちが再燃する
セックスレスの相談やカウンセリングをしている中で、女性が夫との関係を少し遠い視点から見ることで新鮮な感覚を持てることがあります。
これも無意識にメイトバリューの再評価をしているからではないかと思います。
慣れには適度な他者性も有効です。当たり前になっている夫の存在を客観的に評価することで冷めた気持ちが戻るかもしれません。
参考文献:Gurit E Birnbaum, Yaniv Kanat-Maymon, et al. (2021). Sexual Desire Mediates the Relationship-Promoting Effects of Perceived Partner Mate Value.