スキンシップは夫婦間の親密さを深める重要なコミュニケーションです。しかし、それが「うざい」と感じてしまうこともあります。
妻からのスキンシップを煩わしく感じてしまう理由には心理的、感情的、そして生理的なものがあります。具体的には、スキンシップに対する欲求の強さや個々のアタッチメントスタイル、コミュニケーションの質などが関与しています。また、性別による違いも関係することがあります。
これらの要因はそれぞれが独立して影響を与えるだけでなく、相互に作用し合い、スキンシップに対する感じ方を左右します。個々の要因についてより詳しく見てみましょう。
スキンハンガー(触れ合いへの飢え)のギャップ
あなたの妻がうざいほどにスキンシップを求めてくるのなら、スキンハンガーが強いのかもしれません。
スキンハンガー(skin hunger)とは身体的接触に対する飢えです。スキンハンガーの強い人は身体的接触によって安心感や愛情を実感するのです。
反対に、身体的接触が不足すると不満やストレスが蓄積します。また孤独感や不安を感じやすくもなります。すると過剰なスキンシップを求めてしまうのです。
スキンシップへの飢えの強さは個人差がありますから、あなたがそれほど強くないのに、妻が強いという場合には、あなたがうざいと感じてしまうこともあるのです。
また、スキンハンガーの強い人でも、触れ合う頻度やタイミングが自身の望みと一致しない場合は強いストレスを感じるとも言われています。
スキンシップが嫌いではないはずなのに、うざいと感じてしまうのなら、あなた自身もスキンハンガーが強い可能性もあります。
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愛着スタイルの違い
私たちは生まれてすぐの頃から養育者との触れ合いの中で、特別な絆(愛着)を形成します。
そしてこれが大人になった後の対人コミュニケーションの基本の型となります。この型のことを愛着スタイルといいます。
養育者との間に健全な絆が形成された人は安定型の愛着スタイルを持ちますから、他者と適切な距離感で接することができます。
しかし、虐待やネグレクトによって健全な絆が形成されなかった人は、アンバランスな愛着スタイルを持つことになります。
具体的には、他者と距離を置きたがる「回避型」と、他者にべったりとくっついてしまう「不安型」の愛着スタイルがあります。
例えば、夫婦の片方が回避型で、もう片方が不安型の場合、スキンシップの頻度や質に対する認識のズレが生じやすくなります。
回避型は親密さを求める相手の行動を煩わしく感じます。それに対し不安型は相手がスキンシップを避けるせいで安心感を得られず、さらに触れようとします。このような悪循環がスキンシップに対する不満や抵抗感を増幅させることがあります。
スキンシップの好みに対する男女差
男性と女性では、スキンシップの好みやその意義に対する認識が異なることがあります。
ブリガムヤング大学の研究者らの調査によると、男性はキスやマッサージを愛情表現と感じ、これらを好むのに対し、女性はハグや手をつなぐことに価値を見出しやすいことが分かっています。
あなたがマッサージを愛情表現と考えて行っても、妻がそれをあまり重視しない場合、自分の努力が報われていないと感じるかもしれません。一方で、あなたの妻がハグや手をつなぐことで感情的なつながりを求めても、あなたがそれに興味を持たない場合、妻は孤独感や不満を感じる可能性があるのです。
もちろん性別ではなく、個々の好みのほうが大きいこともありますが、どちらにせよこれらの好みの違いを理解し合わないと不満が蓄積しやすくなり、結果的にスキンシップをうざいと感じる要因となってしまいます。
コミュニケーションの問題
コミュニケーションの問題がスキンシップをうざいと感じさせることもあります。
感情やニーズをオープンに話し合えない夫婦は双方の好意を一方的なものと感じやすくなります。
妻からスキンシップをされたときに、「自分の都合でばかり触ってきて…」という思考が浮かぶことはないでしょうか?
これは自分のニースをきちんと伝えられていないため、自分ばかりがいつも我慢しているという認識ができてしまっているからです。
最初の頃は妻からのスキンシップを嬉しいとさえ感じていたのに、最近になってうざいと感じているなら、夫婦間の相互理解が足りていないことが原因かもしれません。
スキンシップは夫婦間の関係を良くしてくれるもの
他にも日常のストレスや疲労感が原因で、スキンシップを煩わしく感じることもあります。
そのような状況でもパートナーに正直伝えることができないと、どんなときでもスキンシップがうざくなってしまうのです。
スキンシップは本来、愛情ホルモンなどの分泌により、パートナーとの関係を強固なものにしてくれるものなのです。
それをうざいと感じてしまうのは、夫婦間に何らかの齟齬が生じている可能性が高いといえるでしょう。
まずはオープンな対話によってお互いの思っていることを正直に伝えることから始めてみましょう。
参考文献:Gulledge, A. K., Gulledge, M. H., & Stahmannn, R. F. (2003). Romantic Physical Affection Types and Relationship Satisfaction.