男性と比べて女性はセックスでイクことが少ないです。
こういった差を「オーガズム・ギャップ」などと言ったりします。
オーガズム・ギャップが生じる原因は生物学的なものと考えられがちですが、それを否定する研究もあります。
では何が女性をイキにくくしているのかというと、社会文化的なものが可能性として考えられます。
分かりやすくというと男性の性的快楽を優先する風潮です。
実際に男性は女性よりもパートナーのオーガズムに対する関心が低いという調査もあります。なのでセックスで頑張らないし、イカせようとしないのではないかということです。
とはいえイカせようとする男性もいます。
この差はどこにあるのでしょうか?
「聖母・娼婦二分法」とは
以前に「妻が好きすぎて抱けない夫はマドンナ・ホア・コンプレックスかもしれない」の記事でマドンナ・ホア・ダイコトミーについて触れました。
日本語にすると「聖母・娼婦二分法」といったところです。
要するに女性を「大切に愛すべき対象(聖母)」か「セックスするだけの対象(娼婦)」と分類して見る傾向のことです。
例えば、妻のことは聖母のように認識し、セフレのことは娼婦のように認識する男性はこのような視点を持っているといえます。
このような考え方を持っている男性は、女性に対して支配的であり、古いジェンダーシステムを支持しがちということが分かっています。
また、男性が性的に奔放なことは良いことだけど、女性が奔放なのはダメという「性的二重基準」も持っています。
そして、セックスの相手が妻でもセフレでもイカせようとする努力を怠りがちなのです。
自分がイクことを優先する
「聖母・娼婦二分法」を支持することは、女性の性的快楽を軽視することにつながります。
つまり、自分だけイクのは良くないので、相手もイカせようという気にならないのです。
サウサンプトン大学のヴェレナ・クライン博士らが、性的な価値観についての調査を行っています。
この調査では、「聖母・娼婦二分法」を持つ傾向と、性的快楽についてどう考えているかということを調べています。
ここから分かったこととして、まず、「聖母・娼婦二分法」を支持する男性は、相手がイッたかどうかについての関心は持っているということです。
しかし、自分と相手のどちらのオーガズムを優先すべきかと考えると、自分を優先するのです。
また女性の性的快楽を低く評価する傾向もありました。
大切な相手は快感を求めていない、遊びの相手は満足させなくて良い
「聖母・娼婦二分法」を支持する男性は、セックスで相手を喜ばせようという意識が低いということが分かりました。
ちなみにこれは相手が大切にすべき妻であろうと、遊びの関係のセフレであろうと同じです。
なぜこのような結果となるのでしょうか?
それは聖母と娼婦、それぞれに対する見方によって変わります。
聖母とみなす相手には貞淑さを見出します。つまり性的快楽をあまり求めてはいないはずと考えるため、セックスで頑張らないのです。
一方で娼婦とみなす相手は、遊びの相手なのだから満足させる必要はないと考えるためこちらも、頑張らず、雑なセックスになりがちということです。
あなたの夫や彼氏がセックスでイカせてくれないのは「聖母・娼婦二分法」で女性を見ているからかもしれません。
参考文献:Klein, V., Kosman, E. & Kahalon, R. Devaluation of Women’s Sexual Pleasure: Role of Relationship Context and Endorsement of the Madonna-Whore Dichotomy. Sex Roles 90, 67–81 (2024).