多くの人はパワーバランス(力関係)が均衡していて、完全に平等な関係のカップルはうまくいくと思うかもしれません。
しかし、平等であろうとすることがストレスを生み出し関係を険悪なものにしてしまうことがあります。
お互いが満足しながらうまくいっているカップルには一つの特徴があります。
それはお互いが「自分が大切にしている事柄についての決定権がある」と思っていることです。自分のやり方を実現できている状態ともいえます。
完全に平等なカップルがうまくいくワケではない
夫婦でも恋人同士でもカップルは平等であるべきと多くの人が思っています。そういった社会的圧力もあります。
よほど古い価値観を持っている人でもなければ「女は男を立てるべき」などと言うことはないでしょう。
男性も女性もパートナーと平等であろうと努力します。家事や育児も平等に分担しているカップルが多いです。
また、何かを決めるときもお互いの意見を尊重し合います。
「前回は自分が決めさせてもらったから、今回は相手に決めてもらおう」と譲歩したりします。
しかし、このように全ての物事をきっちりと平等にしているカップルが必ずしもうまくいっているわけではありません。
それどころかかストレスが溜まって関係がギクシャクすることもあります。
☑︎夫婦生活の頻度は週に何回が最適なのか?(30,645人の調査)
うまくいくカップルの特徴
カップル間のパワーバランスが完全に均衡していることは、うまくいくための必須事項ではありません。
それよりも大切なことはお互いが「自分にとって大切なことは自分に決定権がある」と思えていることです。
これがうまくいくカップルの特徴ともいえます。
例えば、インテリアにこだわりのある女性と、家電にこだわりのある男性のカップルがいたとします。
このカップルが同棲するときに、テーブルやカーテンを女性が全て選んでもうまくいくということです。
その代わりに家電は男性が全て選べば良いのです。男性からすると、家電を全て選べる方が喜びは大きいからです。
完全に平等にしようとすると、インテリアを半分選べる代わりに家電も半分しか選べないことになってしまいますから、不満を持ちやすくなるのです。
自分のやり方を実現できていると実感していることが重要
自分にとって重要なことの決定権を持てているという認識の重要性はバンベルク大学の研究者らの調査でも分かっています。
この調査では平均8年の交際期間と1ヶ月以上の同棲期間を持つ181組のカップルを調査しました。
そこでカップル間のパワーバランスやそれをどう認識しているかということを調べました。
同時にカップルの関係の質についても確認しました。
そこから、幸福な関係を維持するためには、共同生活の中で両者が自分のやり方を実現できていると実感していることが重要なポイントとなることが分かっています。
特に男性においてこの傾向が強く出ました。
この調査では地位や学歴といった社会的な事柄のパワーバランスはカップルの満足度に影響を与えないことも分かっています。
一方が高収入高学歴でもう片方がそうでなかったとしても、それだけでカップルのバランスが崩れるということはないのです。
平等意識が強すぎるとうまくいかない
お互いに平等でいようという意識の強いカップルの場合、何かを決めるときにきっちりしすぎてしまうことがあります。
「前回は自分の意見を通してもらったので今回は譲歩しよう」といった考えを持つことは大切です。
しかしお互いが同じ数だけ意見を通すことができたとしても、自分にとって重要なことの決定権を譲ってしまうとそれがいつまでも心の中に残ることもあります。
そのモヤモヤが不満につながり関係が上手くいかなくなることもあるのです。
お互いが何を重要視しているのかということをすり合せることが必要なのです。
大切なのは同じ数だけ譲歩することではありません。相手が重要と考えていることを尊重することです。
参考文献:Körner, R., & Schütz, A. (2021). Power in romantic relationships: How positional and experienced power are associated with relationship quality. Journal of Social and Personal Relationships, 38(9), 2653-2677.