夫婦関係を良くするための方法は色々あります。海外では専門のトレーニングやセラピーもあります。
とはいえ、レスの場合などは夫婦でそういったものを受けると、ベッドに入ったときにセラピストの顔が浮かんでしまうなどのリスクもあります。
こういった事態は不妊治療がレスにつながる理由の一つともされています。
そんなとき、最も手軽に夫婦関係を改善できる方法は恋愛映画を一緒に見るということかもしれません。
それによって専門家のセラピーを受けたのと同じ効果が得られ、離婚率も下げられることが分かっています。
時間の経過とともに深い愛情に移行しなければならない
夫婦というのは一緒にいる時間が長くなるにつれ性的に興奮しにくくなっていくものです。
これは脳の仕組み上は自然なことといえます。同じ相手に対して一瞬でムラムラできる期間というのは限られているのです。
興奮が持続する期間には個人差がありますが数か月からどんなに長くとも3年といったところです。
それでもセックスをするためにはより深い愛情による結びつきに移行しなければなりません。(もちろんこの状態になってもレス状態が改善しないことはあります)
深い愛情を得るためにはお互いの気持ちをしっかりと理解する必要があります。
相手の気持ちが分かれば愛情は高まりますし、相手も「自分は受け入れられている」と認識しやすくなるからです。
精神的に結びつくことで自然と肉体的な結びつきも欲するようになるのです。
とはいえ、お互いの愛情を深めるために改まって話し合うというのも難しいです。深刻になりすぎて逆効果ということもあり得ます。
そこで気軽に夫婦関係を改善させる方法として定期的に一緒に映画を見るのです。
恋愛映画を一緒に見る夫婦は離婚率が低い
ロチェスター大学が夫婦を対象に行った面白い実験があります。
この実験では174組の夫婦をランダムに分けてそれぞれに以下の異なるトレーニングを受けさせました。
- 紛争解決トレーニング
- 思いやりと受容のトレーニング
- 恋愛映画を見て話し合う
- 何もしない
その結果3つのトレーニングはすべて3年後の離婚と別居の割合を半減させることが分かりました。
注目すべきは恋愛映画を見て話し合ったグループが他の2つのトレーニングと同じ効果をもたらしたことです。
専門的なトレーニングを受けなくとも夫婦で一緒に映画を見るだけで関係を良くする効果が表れたのです。
なぜ映画が夫婦関係を良好にするのか?
恋愛映画を見て話し合った内容というのは「登場人物が直面した問題はなにか?」「お互いに理解し合おうとしていたか?」などです。
人間はもともと対立を解決するための能力やスキルを持っていますが忘れてしまうことがあるのでリマインダーが必要です。
恋愛映画を見て話し合うということがそのリマインダーとしてはたらくのではないか?とのことです。
また映画内のシチュエーションが自分たちと類似しているか異なっているかを意識することで、自分たちの関係を客観視することにもつながるようです。
夫婦で鑑賞するべき映画のリスト
実験で用いられた映画のリストは以下の通りです。
日本でもよく知られたものとしては『As Good as It Gets(恋愛小説家)』『Gone with the Wind(風と共に去りぬ)』などがありますね。
実験では月に5本の映画を見ていましたが、月に1本でも効果は表れるそうです。
わざわざ映画館に行かなくともDVDやNetflixで見ればOKです。実験参加者はレンタルで視聴しました。
出会ったばかりの頃はドキドキした恋愛感情をモチベーションにお互いを理解しようとすることが多いです。
しかし、時間の経過とともにその感情は薄れますから、より深い愛情に移行しなければ、相手への配慮も薄れてしまいます。
セックスレスの解消のためだけではなく、関係そのものを良好にするためにも、ぜひ夫婦で恋愛映画を鑑賞してみてください。
※余談ですが付き合う前後の関係が浅いうちは一緒にラブコメディを見るのは良くないという研究もあります。ラブコメは恋愛がトントン拍子で進むため、自分たちがその通りに進まないと「何か違う」と感じやすくなるからです。
参考文献:Rogge, Ronald D,et al.(2013).Is skills training necessary for the primary prevention of marital distress and dissolution? A 3-year experimental study of three interventions.