食事中でも大事な話をしているときでも旦那がずっとスマホばかり見てきちんと意識を向けてくれないとイライラするものですね。
このように誰かと一緒にいるときでもスマホなどの端末ばかり気にしてきちんとコミュニケーションを取らない状態を「ファビング(phubbing)」といいます。
「phone」と「snubbing(冷遇)」の造語です。
最近の心理学研究でもファビングについて発表される論文が増えてきました。
それらの研究結果として多いのは人間関係にとても悪影響を与えるというものです。ファビングされた方は蔑ろにされた気分になりますから当然ですね。
ファビングをする人はスマホに依存している可能性が高いです。
旦那がスマホに依存しているとコミュニケーションがうまくいかなくなるだけではなくセックスレスにつながる可能性もあります。
今回はスマホが脳と性機能に与える悪影響について説明します。
スマホが脳に及ぼす悪影響
スマホが脳に悪影響を及ぼすことがここ数年で世間にも広く知られるようになってきました。
スマホへの依存は集中力や認知能力、記憶力の低下や気分の落ち込みをもたらします。
たとえ使用していなくても机の上やポケットにスマホがあるだけで影響は出ます。
テキサス大学のエイドリアン・ウォードが行った有名な実験があります。
この実験では参加者に数学やパズルの問題を解かせました。このとき参加者ごとにスマホを置く場所を以下の3パターンのどれかにランダムに割り当てました。
- 他の部屋
- ポケットかバッグの中
- 問題を解いている机の上
スマホを使わなくてもあるだけで成績が落ちる
参加者の成績はスマホを他の部屋に置いたグループが最も良くなりました。次いでポケットやバッグの中に入れたグループです。
机の上に置いたグループの成績が最も悪いという結果になりました。気になって集中できなかったのです。たとえスマホを使用しなくとも影響が出るということです。
この実験結果は2017年に発表されたものですがニュースにもなったので知っていた人もいるかもしれません。
ちなみに机の上に置いたグループは画面が見えないように下向きに置いたので通知が来ても分からない状態でした。
それでも影響を受けるくらいにスマホの依存性は強いのです。
スマホ依存は性機能や性欲を低下させる
スマホは性欲や性機能にも影響を与えることが分かっています。
ウィリアム・ジェームズ研究センターのルイ・ミゲル・コスタがスマホおよびSNS依存と性について調査しました。
この調査ではスマホの使用方法と性機能について得られた1,000人以上のデータを分析しました。
その結果、男性のスマホやSNSへの依存は勃起機能の低下、性欲の低下、セックスへの不満、オーガズムの困難さと相関していることが分かりました。
女性の場合はセックスへの不満、性的興奮の低下、濡れにくさ、性交痛、オーガズムの困難さなどと相関がありました。
SNSの刺激はセックスよりも興奮する
特にSNSへの依存は性生活への悪影響が大きいと考えられます。
強迫的なまでにSNSを気にすることでパートナーへの関心を低下させ、親密さの感覚を低下させるからです。
それによって性機能を乱すだけではなくセックスによってつながりたいという欲求まで低下させるのです。
またSNSから得られる刺激は慣れた相手とのセックスよりも強烈な興奮をもたらします。
ギャンブルでもそうですが不規則に与えられる報酬は人間を簡単に依存させます。毎回アタリが出ていたら人間は慣れてしまい報酬系が活性化しませんから依存はしません。
SNSのイイネやメッセージも不規則に他人から貰える報酬ですから依存しやすいのです。
「タイミングが読める妻とのセックス」と「不規則なSNSのイイネ」の戦いになってしまうと負けるのです。
そして夫婦生活の頻度も低下し、夜にやることがないのでさらにスマホを見る機会が増えるという悪循環が起こります。
スマホ依存を強制的に止める
心理学や脳科学ではスマホの使いすぎが人間に悪影響を与えることはもはや共通認識です。
これらの業界ではスマホを使う時間を減らすような工夫をしている人が多いです。
スマホを作っている会社の技術部門にいる人も自分の子供にスマホを持たせないなどともいわれます。それくらい影響が大きいのです。
あなたの旦那がスマホに依存しているようなら設定した時間まで開くことのできないタイムロッキングコンテナなどを使って強制的に使用時間を減らすなどの工夫が必要かもしれません。
スマホ依存の恐ろしさを知れば習慣を変えようと思うのではないでしょうか?
※スマホに限らずゲームのやりすぎも男性の性欲を低下させることが分かっています。
参考文献
・Adrian F. Ward, Kristen Duke, et al. (2017). Brain Drain: The Mere Presence of One’s Own Smartphone Reduces Available Cognitive Capacity.
・Rui Miguel Costa, Vanessa Fuzeiro, et al. (2022). Sexual function and problematic use of smartphones and social networking sites.