過去に「親子みたいな夫婦になると女性の性欲が低下する理由」の記事で家事を多く負担している妻は性欲が低くなるので平等に負担したほうが良いと書きました。
しかしこれはあくまでも妻目線でのことです。
旦那の性生活に家事はどんな影響を与えるのでしょうか?
家事をしすぎてセックスをする気がなくなったり、レスにつながることはないのでしょうか?
家事をすると男らしさが失われる
男女平等の世の中とはいえ、結婚生活は伝統的モデルに捉われているケースもあります。
「男は仕事で女は家事」と無意識のバイアスを持っている人もいます。
男性が「家事を手伝う」と言っても流せるのに、女性が言うと違和感を持ってしまうのはその表れでしょう。
このような伝統的価値観により男性は家事をすると男らしさが失われたような気になるのです。
男らしさの喪失がレスにつながることもあります。
妻から見ても旦那が家事をしている姿を見てオスとしての強さを感じなくなってしまう可能性も僅かにあります。
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旦那が家事をするとセックスの回数が減る
旦那が家事をしたからといって、必ずレスになるわけではありません。
しかし夫婦生活の頻度は減るという社会学者サビーノ・コーンリッヒらの調査があります。
アメリカの家庭に関する国勢調査から、家事と夫婦生活の頻度についてのデータを抽出し、分析したものです。
その結果、まず夫婦は平均で月に5~6回セックスをしていることが分かりました。
そして、旦那が食事の準備や皿洗い、掃除、洗濯などの家事をしていると、この回数が低下することも分かったのです。
旦那が全ての家事を行っている場合には平均と比べ約1.6回分も低下します。
旦那が家事の40%程度の負担をしていても、セックスの回数は減る傾向にありました。
家事をしない旦那は亭主関白タイプで、妻が嫌がっても無理にセックスをするから回数が多くなるのでは?と思うかもしれません。
しかし、その可能性は低いです。もしそうだとしたら旦那が家事をしない妻の性的満足度が下がるはずです。しかしそのような傾向は見られませんでした。
旦那は家事をしないほうが良いのか?
性生活のことを考えたら旦那が家事をしない方が良さそうに見えます。
しかしユタ大学のダニエル・カールソン博士らの調査ではさきほどと反対の結果が出ています。
こちらは「Marital and Relationship Survey」という結婚と夫婦関係に関する別の調査を対象にしたものです。
この調査では家事を平等に分担しているカップルのほうがセックスの回数が多い傾向にありました。
なぜこのような違いが出たのでしょうか?
実は先に紹介した調査の対象となったのは1992年~1994年までのデータでした。(※1)
そして後から紹介した調査の対象は2006年です。
つまり20年以上が経過し社会のジェンダー感も変化し、「家事をするなんて男らしくない」という価値観の旦那が減ったことが要因といえます。
家事を平等に負担している夫婦の割合も後の調査のほうが高かったです。
※1 先に紹介した調査をした研究者がわざと古いデータを選んだわけではありません。サンプルサイズはこちらのほうが大きいので、それを優先したようです。
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家事とセックスの関係は価値観に影響される
旦那が家事をすることでセックスの回数が減るかは価値観の問題ということです。
古いジェンダー感を持っていると男らしさが失われたと考えてしまい、やる気が起きにくくなってしまうのです。
ではあなたの旦那がこのようなタイプだったらどうすれば良いでしょう?
価値観を変えるのは難しいものです。
とはいえ家事を平等に負担しないと妻であるあなたの不満は溜まります。共働きなら余計にでしょう。
そんなときは家事の内容によって分担すると良いです。
実は先に紹介した調査では、旦那が家事をしてもセックスの頻度が減らないパターンがありました。
それは庭の手入れのような屋外作業や、車のメンテナンス、請求書の支払いといった、男らしいイメージのある家事をやっていたパターンです。
これらの家事は古いジェンダー感を持っていてもセックスの回数を減らさないのです。男性らしさの喪失を感じないからです。
つまり昔ながらの価値観で考えたときに「男っぽい」と思うような家事をやらせれば良いということです。
もしくは今の時代は家事をやる男のほうがカッコイイというイメージを植え付けるのでも良いかもしれません。
<参考文献>
Sabino Kornrich, Julie Brines, Katrina Leupp. (2013). Egalitarianism, Housework, and Sexual Frequency in Marriage.
Daniel L. Carlson, Amanda J. Miller. (2016). The Gendered Division of Housework and Couples’ Sexual Relationships: A Reexamination.