男女ともにセックスレスによってイライラすることはあります。
愛情を感じられず、存在を否定された気分になることもあるかもしれません。
肉体的にもオーガズムの機会が減ればストレス解消の機会が減るということでもあります。
セックスレスでイライラしているときはパートナーとの関係が大きなリスクに晒されているといえます。
このような時に大切なことがあります。
それは無言の圧力でセックスに誘わないことと、イライラの原因が本当にセックスレスなのかを見直すことです。
ここをしっかりしておかないと関係が終わってしまいます。
セックスレスでイライラするのは普通なこと
まず安心してほしいのですがセックスレスでイライラするのはおかしなことではありません。
冒頭でも説明しましたが心も体もイライラしやすくなるのは自然なことです。
裸で抱き合うだけでもオキシトシンという心を穏やかにしてくれるホルモンが分泌されますが、それがなくなるだけでもストレスを感じやすくなるものです。
ネット上にあるオナ禁(オナニーを禁止する運動)のコミュニティに投稿される内容は攻撃的かつ性差別的なものが多いことがデータ分析からも分かっていますが、これも射精やオーガズムがなくなったことで殺気立っていることが原因でしょう。
(もともと異性にモテずにイライラしやすい人がオナ禁にハマりやすいという理由もあるかもしれませんが)
ですから、あなたが常に怒りや焦燥感を覚えていたとしても、自分がおかしいと思う必要はありません。
誰彼構わずに関係を持っているでもない限りはセックスに依存していると考える必要もありません。
☑︎オナ禁の効果の科学的根拠とされる論文は撤回されていた!メンタルにも悪影響
我慢してセックスしている側のほうがストレスが大きい
とはいえパートナーを無理に誘うのは絶対にやめましょう。無言のプレッシャーを掛けるのもダメです。
なぜならセックスレスのイライラよりも、したくないのに嫌々にする方がストレスが大きいからです。
サウスウェスタン大学のアンナ・ハートマンらが、18歳から38歳までの男女を対象に行った、セックスの頻度とストレスに関する調査があります。
この調査では、自分がどれくらいセックスをしたいと思っているかと、実際にパートナーとどれくらいしているかを調べました。
また唾液を採取して、ストレスホルモンであるコルチゾールの濃度も測定しました。
この結果から、あまりセックスをしたいと思っていないけれど、する機会の多い人が最もコルチゾールが多いことが分かりました。
つまり、したいのを我慢している人よりも、したくないのを我慢している人の方が、ストレスが大きいということです。
セックスレスでイライラしているからといって、プレッシャーをかけて行為に及ぶと、相手はあなた以上にイライラしてしまう可能性があるのです。
本当にセックスレスがイライラの原因なのか?
今回の調査では、たくさんセックスしたいと思っているけれど実際の回数が少ない人のコルチゾールレベルは、したいと思っていて回数も多い人とそれほど変わらないことも分かっています。
つまり、セックスするようになったからといってイライラが解消するとは限らないということです。
実は他にもっと大きな要因があるのに、イライラしているのは全てセックスレスのせいだと勘違いしてしまっている可能性もあります。
セックスレスだからイライラしているのか、他の要因でイライラしている中でストレス解消法の一つであるセックスという選択肢がないだけなのか、ということを明確にしましょう。
あなたのイライラが消えることで、愛情深くなり、パートナーのしたい気持ちが高まることもあるのです。
怒りをぶつけるとセックスが面倒なことという認識になる
夫婦でも恋人でもどちらかが怒りをぶつけるのは、面倒なことをやらなかったときが多いです。家事をしない、連絡をしないなどなど…
セックスをしないことに対して怒りをぶつけるというのは、セックスをその面倒なことカテゴリに入れてしまうことです。
そうなってしまうと余計にセックスをしたいという気持ちが消え失せてしまいます。
セックスレスでイライラしてしまうのは仕方ないことですが、それをぶつけるのは逆効果なのです。
とはいえそう簡単に気持ちを静めるのは難しいものでしょう。
ですから、まずは「なんでしないの!?」という怒りより、「楽しいのにしないのは不思議」くらいのマインドに変えるくらいでも良いと思います。
「ニーズを満たしてあげたい」という気持ちがないとプラス効果は生じない
セックスそのもによって心も体も良い影響を受けます。
なので乗り気でなくとも嫌がっていないならプラスの効果になると考えるかもしれません。
確かにそういうこともありますが、それは相手の中に「ニーズを満たしてあげたい」という気持ちがある場合です。(参考:セックスが「めんどくさい」と感じたら共同体動機を引き出せ)
あなたがいつも怒りの感情を抱えていたら、そういった気持ちにはなりにくいでしょう。
セックスをしようとすることよりも、絆を深くしようとすることが大切です。
参考文献:Anna J. Hartmann and Erin E. Crockett. (2016). When sex isn’t the answer: Examining sexual compliance, restraint, and physiological stress.