旦那に断られた時、「エラーマネジメント理論」が存在していないか考える

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旦那を夜の営みに誘ったとき、断れたら辛いものですね。

このままセックスレスになるのではないかとか、自分の魅力が失われたのではないかと不安になるかもしれません。

このように考えてしまうのは自然なことですが、必要以上に不安になってはいけません。

なぜなら不安が増大することで、本当にセックスレスになってしまうこともあるからです。

なぜ旦那に断られると辛いのか?

人間は社会的なつながりを求める本能的な欲求を持っています。

ですから、他者から拒絶されると精神的な健康に悪影響を受けることがあります。

社会的な拒絶の痛みを受けると、身体的な攻撃を受けたときと同じ脳内の領域が反応することが神経科学の研究でも分かっています。

また、屈辱感や自己評価の低下、社会的地位の喪失感にもつながることがあります。

特に恋人や配偶者からの拒絶は、関係の中で築かれた信頼と愛情の基盤が損なわれたような気分となるため、ダメージが大きくなります。

その中でも性的拒絶は最も痛みを伴うものとされています。

性的な拒絶は「結びつきを最も望んでいる場面での拒絶」と認識されるからです。

このような認識は、自己の性的魅力や愛される価値についての疑念を抱く原因ともなり、それが関係の全体的な満足度と心理的安定性を低下させる要因となります。

ですから、旦那に断られたことで、落ち込んだり、自信を失うのは当然のことではあります。

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エラーマネジメント理論

しかし、それでも異常なほど気にしてしまう女性がいます。

「旦那は私のことを女として見ることができなくなっているのだ、普段も無理してセックスしているのだ」と考えてしまうのです。

当方に相談に来ている方でもこのような女性が多いです。

なぜこのように考えてしまうのでしょうか?

それはエラーマネジメント理論で説明できます。

「安全なのに危険と勘違いする」ほうが安全

エラーマネジメント理論とは「危険なのに安全と勘違いする」よりも「安全なのに危険と勘違いする」ほうがリスクが低いため、人間はそう考えるバイアスを発展させてきたという理論です。

例えば見知らぬ人からお菓子をもらったとします。このときあなたは次の2パターンを想像すると思います。

  • 悪意を持って毒入りのお菓子を渡してきた
  • 単純な親切心からお菓子をくれた

このとき、「毒入りなのに安全と勘違い」するより「親切心でくれたお菓子を毒入りと勘違い」するほうが、命の安全は保たれます。

なので毒入りと勘違いする傾向が強いというのがエラーマネジメント理論の考え方です。

夫婦間の夜の営みの誘いでの「エラーマネジメント理論」

これと同じことが、夫婦間の夜の営みの誘いでも起こる人がいるのです。

例えば旦那を誘って断られたとしましょう。

このとき、旦那は単に疲れていただけなのに、妻は「すごく嫌がられた」と勘違いするのです。

「強い拒絶を弱い拒絶と勘違いする」より「弱い拒絶を強い拒絶と勘違いする」ほうが安全だからです。

強めに拒絶されているのに、それを無視してアプローチを続け、嫌がられて他の異性に乗り換えられるリスクを避けようとするのです。

性的拒絶を過大評価すると満足度が低下する

あなたがたがこのようなエラーマネジメント理論によるバイアスを持っているなら、セックスレスのリスクが高いといえます。

オークランド大学のキルスティン・ドブソンらが100組以上の夫婦を対象に、性的拒絶と関係満足度についての調査を行っています。

夫婦の双方に日記をつけてもらい性的活動と感情について記録してもらったのです。

そこから、性的拒絶を過大評価する人は、関係満足度と性的満足度が低くなりがちなことが判明しています。

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セックスレスにつながる

パートナーが軽く性的な誘いを断っただけでも、それを強い拒絶と感じてしまうことで、満足度が下がるのはかなり危険なことです。

旦那の中でセックスが義務になる

もしあなたがこのタイプだった場合、おそらくそれが雰囲気として出ていると思います。

そしてそれは旦那にも伝わっています。すると旦那は「断ると妻はすごく落ち込む」と考えて無理してでもセックスするようになります。

これは短期的な解決策とはなりますが、長期的には深刻なセックスレスの原因となります。

なぜなら旦那の中で「セックス=妻を落ち込ませないために行う義務」という認識が出来上がるからです。

それによって妻とのセックスが憂鬱なものとなり、解消するのが困難な強めのセックスレスとなってしまうのです。

自尊心の低下でブスになる

また、性的拒絶を過大評価することで、あなたの自尊心も低下します。

自尊心は表情や言動にも出ますから、あなたの女性としての魅力が落ちて、旦那からの評価も下がります。

また自尊心がセックスの質にも影響します。自分に自信のない人はセックスで開放的になれず楽しめません。

するとパートナー効果によって、旦那も楽しむことができませんから、「妻とのセックスはイマイチだな…」となってしまうということです。

「疲れてる」が本当の理由のとき

旦那が求めてこない理由として最も多いもの」の記事で、旦那が言う「疲れてる」は本当の理由ではないという説明をしました。

しかし、これはあくまでセックスレス状態のときの話です。

定期的にセックスをする習慣がある中での「疲れてる」は本当である可能性が高いです。

むしろ、言い訳をせずに簡単に断れるのは、それだけ絆が強いとさえいえるかもしれません。

それにも関わらず、あなたが強く拒絶されたと勘違いしてしまうと、本当にレスになってしまいますから、気をつけましょう。

エラーマネジメント理論によるバイアスが発生していないか、自分の心を見つめてみましょう。

参考文献:Dobson K, Kim J, Impett EA. (2022). Perceptual Accuracy for Sexual Rejection in Romantic Relationships.