最高のセックスをするためにはどうすれば良いのでしょうか?
研究により8つの要素が特定されています。それを紹介したいと思います。
ここでいうセックスとは挿入のみを意味するものではありません。
夫婦や恋人間の幅広い性的コミュニケーションを含みます。
素晴らしい性体験をした人とセックスセラピストへの半構造化インタビュー
20年以上にわたり性生活について研究している、オタワ大学のペギー・J・クラインプラッツ博士という人がいます。
彼女らの研究チームが、半構造化インタビューによって、最高のセックスとはどのようなものかということを調査しました。
半構造化インタビューとは事前に質問項目を決めておくものの、イエスかノーで答えるのではなく、自由に回答してもらい、その内容を深く掘り下げていくという手法です。
対象となったのは40人の素晴らしい性体験をした経験のある人と、20人のセックスセラピスト達です。
1人あたり45分~2時間ほどインタビューに答えていますから、かなり詳細な情報が取得されています。
最高のセックスを構成する8要素
インタビューの内容を分析したところ、次の8つの要素が最高のセックスの構成要素であることが分かりました。
1.セックスの瞬間に没頭し集中すること
多くの人が最初に挙げたのはセックスそのものに集中することです。
その瞬間を大事にし、パートナーも同じ感覚を持つことが重要なのです。
例えとして「部屋で火事が起きても分からないレベルで没頭すると最高の性体験になる」という人もいます。
完全に入り込み、時間の感覚さえ分からなくなるようなフロー状態に近いともいえます。
2.深いつながりと同調
何年一緒にいるかに関係なく、強いつながりを感じることが重要です。
こういった感覚を得られることで、挿入がなかったり、身体的接触が少なくとも最高のセックスを感じられます。
また自己とパートナーの境界が曖昧になるほどの同調性も性体験の向上につながります。
この状態になるには相手から尊敬されているという感覚や自己受容が役立ちます。
3.性的でエロティックな親密さ
最高のセックスには性的でエロティックな親密さが欠かせません。
セックス中に相手から愛され、求められ、受け入れられているという感覚を持つとセックスがより良いものに感じられます。
そしてこのような体験が相手への尊敬や思いやりにつながります。
4.並外れたコミュニケーションと高い共感
セックス以外の場面でコミュニケーションと共感をすることも重要な要素です。
言葉やボディランゲージによってお互いの理解を深め、相手の気持ちに寄り添うことが性的満足度にも影響を与えます。
ベッドの外でもセックスについての話し合いをするカップルほどより良いセックスができるという研究もあります。
言わなくともどこに触れれば相手が気持ち良くなるか分かるレベルに達するくらいコミュニケーションをすることが理想なようです。
5.信頼性、透明性、自分を偽らないこと
自分がどうしたいかを偽らず正直にパートナーに伝えることも最高のセックスには必要です。
お互いが正直に希望を言い合い、それを否定せずに認め合うことで、行為中に自分を解放できるのです。
抑圧されていない状態でセックスすることはより強い快感にもつながります。
「自分はセックスを楽しむ権利がある」という感覚を持つことが、性的満足度を高めるという研究もあります。
6.超越、変容
多くの人にとって、超越的な体験や個人的な変容が素晴らしい性体験へとつながります。
具体的には至福、畏敬、恍惚といった感覚を持つことです。これは瞑想によって得られる高揚感にも似た感覚です。
こういった感覚を意識することで普段の自分以上のものになれる気分が得られることもあります。
それによってセックスがより崇高なものへとなるのです。
7.冒険心、リスクテイク、遊び心
最高のセックスは冒険や探求でもあります。
自分自身やパートナーのエロについて新しい発見ができると、セックスがより奥深いものとなります。マンネリの防止にもなります。
そのためには多少のリスクテイクも必要です。大人のオモチャを使うなど新しいことにチャレンジしても良いでしょう。
大人のオモチャをセックスでも使う男女には様々なメリットがあります。
遊び心も必要となります。セックス中は理性を捨てて馬鹿になりましょう。
8.脆弱性と自分自身の放棄
セックス中は何も持たずに裸の状態ですから非常に無防備です。
この状況で相手に弱みを曝け出し、自分のコントロールを放棄することも最高のセックスにつながります。
全てを曝け出せるという安心感があると内部の性的欲望を解放しやすくなります。
たとえ男性であっても「相手に身を委ねてしまって大丈夫なのだ」という感覚があったほうが良いです。
余談ですがSMプレイではマゾを希望する男性のほうが多いともいわれています。
☑︎性的マゾヒズムを持つ人の心理!目覚めたきっかけと行為中に感じていること
一部の人が支持した2つの要素
以上が最高のセックスに寄与するとされる8つの要素です。
この他に一部の人たちが支持していた2つの要素があります。
1つは強烈な身体的感覚とオーガズムです。興奮して気持ち良くなりたい欲求は誰でも持っていますから、それが最高のセックスの条件と考える人がいるのも自然なことです。
もう1つは欲求と魅力です。パートナーを素敵だと思い、ムラムラした感覚を持つことです。
ただしこれらは多くの人にとっては、必ずしも最高のセックスに必須のものではありませんでした。
そもそも気持ち良さや興奮を重視してセックスをしていると飽きるのも早いのでレスの原因となりかねません。
性欲低下を感じている45組のカップルへの応用
今回の調査で挙げられた8要素が本当に最高のセックスにつながるものなのでしょうか?
実はこの調査を行ったペギー・J・クラインプラッツ博士らは、これらの結果を実践に応用しています。
まず、性欲低下を感じている29歳から69歳までの45組のカップルを集めました。
そして専門のセラピストにより、8週間にわたり合計で16時間のセッションを行いました。その内容は8要素を基に構成されたものです。
その結果、セックスが有意に改善したのです。
具体的には性的興奮の強度、パートナーへの性的反応、セックスへの集中力、セックス後の気分、性機能などが改善しました。
特に性生活全体への満足度が大きく上昇しました。そしてこの効果は半年後も継続していました。
性機能が低下しても最高のセックスは出来る
最高のセックスに勃起時の硬さや、膣内の潤滑といった、生理学的な機能はそれほど関係ありませんでした。
それよりも心の持ちようの方が重要なのです。
ここで挙げた8要素を持っている人たちは性機能が低下しても、最高のセックスが出来ていると認識していました。
パフォーマンスやテクニックの向上を目指す前に、マインドを変化させることが肝要です。
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参考文献
・Peggy J. Kleinplatz, A. Dana Ménard, et al. (2009). The components of optimal sexuality: A portrait of “great sex”
・Peggy J. Kleinplatz, Maxime Charest, et al. (2020). Treatment of Low Sexual Desire or Frequency Using a Sexual Enhancement Group Couples Therapy Approach.