セックスにおける満足度とは心も体も満たされることです。
しかし両方が完全に満たされる人というのは少ないものです。
イクことによって体は満たされても、心は満たされないという人もいますし、その逆の人もいます。
イッたからといって必ずしも体が満たされるとも限りません。
逆にイカなくとも心も体も満たされるという人もいます。このような人は心も体も感じやすいといえます。
そしてこの心も体も感じやすい人というのは日常生活から、感覚の向け方が違っていることが多いです。
注意の向け方が丁寧なのです。
マインドフルネスな感覚が心と体を感じやすくする
もう少し分かりやすく説明しましょう。
例えば森林公園を想像してみてください。森林公園の中には小路があってそこに彫刻などが置かれている場所もあります。
このような場所を歩くときに何も感じない人もいれば、今その瞬間に丁寧に注意を向け、ありのままを受け入れる人もいます。「マインドフルネスな状態」などと言います。
地面を踏みしめながら自分の体が動いている感覚や、枝や葉が揺れる音、風が肌に当たる感覚を受けているのです。
また、彫刻などのアート作品を見るときも細部の形状や質感にまで集中します。
日頃からこのような感覚を持っている人は心と体がリンクしやすくなるといわれています。
それがセックスでも活かされるため、満足感を得やすくなるのです。
性的な感じやすさというと性器の敏感さについて言及されることが多いですが、マインドフルネスな感覚を持っている人は、心と体全体が感じやすいのです。
☑︎女性が性欲を高めるために持つべき「認知再構成法」の考え方
セックス・セラピストによる研究
アメリカのセックス・セラピストでエミリー・ジャミア博士という人がいます。
博士が195人の男女を対象に個人の資質と性的満足度について調べた研究があります。
そこで使われた指標の一つに「Five Facet Mindfulness Questionnaire」があります。
日常の中でマインドフルネスな状態になる程度を調べる調査票です。
博士の分析の結果、マインドフルネスな状態と性的満足度には相関があることが分かりました。
日頃から今の瞬間に集中する人ほどセックスで満足しやすいのです。
他に、イマジネーション(独創的なアイデアを思いつくことや妄想すること)と好奇心も性的満足度に影響することが分かりました。
こういった資質は心と体を感じやすいものにしてくれるのです。
☑︎レズビアンはセックスレスになりやすい?「Lesbian Bed Death」の話
感じやすい心と体を手に入れるためにすること
今回の研究では性的満足度には安定性も必要なことが分かっています。
ここでいう安定性というのは愛着の観点からのものです。(参考:愛着障害(不安型・回避型)とセックスの問題)
相手に依存し過ぎる不安定タイプや、距離を置きすぎる回避タイプの場合だと、性的満足度は高まりにくいのです。
ですから、もしあなたが不安定な愛着スタイルを持っているのであれば、まずはその改善が先決となります。
安定した愛着スタイルを持っており、パートナーとの絆も強固なものであれば、日常生活の中で「今この瞬間」に注意を向ける習慣を身に着けてみましょう。
最も一般的な方法としては瞑想が挙げられます。
瞑想しながら周囲の音や肌に触れる空気の感覚に集中するのです。
それによって心も体も感じやすい状態へと近づくはずです。
性欲が落ちた女性にはマインドフルネス瞑想が効果的なことも分かっています。
また、マインドフルネスな状態が習慣になると、パートナーとの関係も良好なものにつながることが期待できます。
※AVの見過ぎは瞑想で改善できるという記事を書きました。なので逆効果になってしまうと思うかもしれません。しかし、AVを見たくて仕方ないという欲求と性的満足度は相関するものではありませんからそこは心配しなくても大丈夫だと思います。とはいえ瞑想にハマり過ぎると性欲が無くなってしまうリスクはあるかもしれません。
参考文献:Emily Jamea. (2020). The role of sensuality, imagination, and curiosity in high and optimal sexual satisfaction.