セックスレスの原因として旦那が妻に魅力を感じなくなってしまったというものがあります。
そうなる原因の一つにはAV(アダルトビデオ)を含むポルノコンテンツがあるのではないかと個人的には思っています。
ネットを探せばあらゆるジャンルのエロ動画が簡単に見つかります。しかも競争の激化により年々と過激なものが増え、さらに出演している女優の外見的なレベルは高くなるばかりです。
旦那がそういったAVの刺激に慣れてしまうことで興奮の閾値が上がれば妻を見ても性的に興奮しにくくなってしまうものです。
さらに一緒にいる時間が長くなれば興奮しにくくなるものです。セックスに性的興奮のみを求めていればセックスレスになるのは自然な流れでしょう。
私がセックスレスの相談を受けている中でもそういったケースは多いように思えます。
旦那のAV視聴はセックスレスと関係あるのか？
旦那がAV等の刺激に接することがセックスレスの原因となるのかどうかについては個人的にも非常に気になっていたことでしたので、いくつか科学的な研究を調べてみたら意外な結果が分かりました。
Hな写真とパートナーへの魅力の低下
まず最初に紹介するのはポルノコンテンツへの接触がパートナーに対する性的魅力を下げてしまうという研究です。
少し古いのですが1989年にアリゾナ州立大学のダグラス・ケンリック教授が行ったものです。Hな写真を見ると男性はどうなるか？ということを調べています。
海外のセクソロジー分野では有名な実験でセックスレスの研究論文を読んでいると参考文献として引用されるていることも多いです。
実験ではHな写真がカップルの関係に悪影響を及ぼす可能性が示されています。
人気のヌードモデルの写真を見ることでパートナーに対する性的魅力の評価や愛情が下がるということが分かったのです。
ちなみに女性の場合はこの効果は起こりませんでした。つまり魅力的な男性のヌードを見てもパートナーへの評価は下がらないということです。
パートナーへの評価は変化しないという実験
しかし上記の実験は2017年に結果が覆されています。
ウェスタンオンタリオ大学のロンダ・バルザリーニ博士らのチームが同じ手順で実験を行ったのです。
こちらの実験ではHな写真を見てもパートナーに対する評価は下がりませんでした。
なぜ２つの実験で結果が異なるのでしょうか？
一つの理由として先に行われた実験はサンプルサイズが小さかったため、個々の違いが全体の数字へ大きな影響を与えてしまったことが挙げられます。
それよりも重要な理由としては1989年と2017年ではHな写真やAVを取得するための手間が圧倒的に違うことがあります。
簡単に女性の裸を見ることができる現在ではHな写真くらいでは刺激として弱すぎるという可能性が考えられます。
☑︎旦那が一人でオナニーしていてもOK！勃起の機会を減らす方が危険
最近の研究では「関係ない」という結論が多い
それほど数は多くないのですがAVなどのポルノコンテンツとセックスレスの関係を調べる研究はここ最近も行われています。
それらを見ると「AVを見たからといってセックスレスになったり、カップルの関係を悪くするとはいえない」という結論になっているものが多いです。
ポルノ依存症といえるほどにAVを見ている人の場合は生身の人間と関係を持つことに意味を見出せなくなったり、異性とのコミュニケーションを恐れるようになる人もいます。
しかし適度な視聴であれば影響を受けないどころかむしろ関係を良くするという研究さえあります。
旦那がAVを見ることと妻の魅力は関係ない
「セックスレスなのに旦那がAVを見て一人でしてるみたいです」と相談に来る妻は多いです。
そして「私が魅力的じゃないからでしょうか？」と不安になりがちです。
しかし旦那がAVを見ることと妻の魅力は関係ありません。妻の魅力ではなく旦那の認知の問題なのです。
すでに自分のものとなったメスと手に入っていないメスでは後者のほうに新鮮さを感じるのは当然です。
たとえあなたが人気AV女優と全く同じ外見を持っていたとしてもセックスレスになったのです。
AVの視聴頻度を減らしてセックスの頻度が増えた夫婦もいる
最近の実験結果と反するようですが私は中毒とまで行かなくともAVの視聴頻度とセックスレスはそれなりの相関があるのではないかと思っています。
セックスレスの相談を受けているとそう感じることが多々ありますし、男性側からAVの刺激に慣れ過ぎて妻では興奮しなくなってしまったという本音を聞くこともあります。
もちろんお互いにより良いセックスライフを求めてそういった刺激に接することが有益となることもあります。お互いが淡白すぎる場合などは有効な対策となるでしょう。
反対に旦那がAVを含めた性的に強い刺激を与える情報への接続をを減らすことがセックスレスの改善につながることもあると思っています。実際にそれで夫婦生活の頻度が増えた人たちもいます。
興奮に必要な刺激の閾値は下げることができるのではないかと思っています。ヌードばかり見ていた人がそれを見なくなれば、水着の写真でも興奮できるようになるということです。
似たような話としては露出が増える夏よりも冬のほうが女性の肌を見る機会が減るので男性は興奮しやすくなるという研究もあります。
旦那がAVばかり見ているときの対処法
旦那にAVを見せない方が興奮の閾値が下がるといっても、それをお願いするのは難しいものです。
妻からAV視聴を非難されると余計にセックスレスが加速する可能性さえあります。
そこでどうすれば良いかというと夫婦で一緒に見るのです。一緒にAVを見ると夫婦の営みにプラスの効果が出ることがあるのです。
アダルトサイトに対する男女の認識の違い
ニューヨーク市立大学ブルックリン校の研究者たちがAV(が見られるウェブサイト)の利用とカップル関係についてオンライン上のアンケートを分析したものがあります。
女性は男性がAVを見ることに否定的
それによると女性は男性と比べてAVについて否定的な態度を持つ人が多いことが分かります。
自分の彼氏や旦那がAVを見ることに対して時間やお金の無駄づかい、浮気と同じと感じる傾向にありました。
また「自分では満足できない」と言われているような気になったり、セックスの頻度が減ってしまうという懸念を持っていました。
男性は女性がAVを見ることに肯定的
男性は女性と比べて肯定的な態度を持つ人が多いです。AVに興奮を覚えたという人も女性より有意に多いことが分かります。
また自分の彼女や妻がAVを見ることに対する嫌悪感を持つ人の割合も女性より低いです。
このようなAVに対する男女間のギャップが関係の悪化やセックスレスにつながるという研究もあります。
二人で一緒に見るならメリットがある
しかし今回の研究では性的興奮を高めるために二人でAVを閲覧した人たちは男女ともにプラスの影響を受けていました。
セックスの頻度や新しいことへのチャレンジが増えただけではなく、どのようなプレイをしたいかを話すのが楽になったという効果もありました。
同時にマイナスの影響も少ないことが分かりました。実際のセックスでの興奮が冷めたり、相手の体型を批判する可能性が優位に低かったのです。
アブノーマルなAV動画は危険
一人でAVを見ている男性の中には「本来は妻に向かうはずだった性的欲求まで使い果たした気分になる」という人もいました。
男性のAV視聴がセックスレスにつながるという研究論文でも同様のことが書かれていることがあります。
あなたの彼氏や旦那が一人でそういったコンテンツを見ていることが分かっているのなら一緒に見てみるとセックスレス解消のきっかけになるかもしれません。
とはいえあまりにアブノーマルなAV動画ばかり見ていると無意識にパートナーにもそういった行為を期待してしまい、それが実現されないときにマイナスの効果が出てしまう可能性もありますから注意しなければなりません。
旦那のAV鑑賞に対して絶対にやってはイケないこと
旦那がAVを見ているからといってそれを非難してはいけません。
なぜなら妻からAVを見ていることを非難された旦那は羞恥心が増加し、性的満足度が下がるからです。
それによって夫婦関係への満足度も下がることが米国リバティー大学の研究で判明しています。
基本的に男性は妻や彼女がいてもAVを見るものということを理解しておいてください。
かつてモントリオール大学のサイモン・ルイス・ライオネス教授が、ポルノを見たことある男性と見たことない男性を比較する実験を行おうとしたところ、ポルノを見たことのない男性が見つからずに実験が行えなかったという話もあります。
「AVは見るくせに私とはセックスしないの？」などと言ってはいけません。セックスとAVは別物なのです。
参考文献
・Influence of popular erotica on judgments of strangers and mates.
・Does exposure to erotica reduce attraction and love for romantic partners in men? Independent replications of Kenrick, Gutierres, and Goldberg (1989) study 2.
・Perceived Consequences of Casual Online Sexual Activities on Heterosexual Relationships: A U.S. Online Survey.
・The Moderating Influence of Moral Disapproval of Pornography on Couples’ Sexual and Relationship Satisfaction.
