旦那にムカつく時、どう対処するかが性機能にも影響する

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イライラしたときに性欲が高まるという人もいます。

夫婦喧嘩の後の仲直りセックスが興奮するなんて人も珍しくありません。

旦那と揉めたときに何も感じないほど冷めているより、感情が高ぶってムカつくというほうが、情熱はありますからセックスレスにもなり難いかもしれません。

とはいえ、旦那に対してムカついたときに、自分の感情をどのように調節するかは性機能にも影響することが分かっていますから、自分の心の扱い方には慎重になる必要があります。

特にムカついたときでも自分の感情を抑えてやり過ごそうとする人は注意してください。

仮にそのイライラで一時的に性欲が高まることがあったとしても、長い視点で見ると性機能の低下につながる可能性があります。

そこで今回は性機能と感情調節戦略について研究結果などを交えながら解説します。

当方は女性の相談者が多いので、女性向けの記事となりますが、男女ともに該当する内容です。

性機能と感情の相互作用

性機能と感情は相互に影響を及ぼし合う複雑な関係にあります。

性機能不全が感情に及ぼす影響

性機能不全に苦しむ人たちは自己評価が低下し、パートナーとの関係にも支障をきたすことが多く、その結果として精神的健康が損なわれることがあります。

女性の場合には性的満足感の欠如や性的な不安が精神的な苦痛を引き起こし、それが更に性機能に悪影響を与えるという悪循環に陥ることがあります。

男性においても勃起不全や性的欲求の低下が持続することで、うつ病や慢性的な不安感に繋がるケースが多々あります。

感情が性機能に及ぼす影響

一方で精神的健康が低下することが、性機能に直接的な影響を与えることも明らかになっています。

うつ病や不安障害を抱える人々は性への関心や欲求が減少し、結果として性機能が低下する傾向があります。

これにより、性的な満足感が得られなくなり、さらなる精神的苦痛を招くことになります。

このような状況は性的なパフォーマンスへのプレッシャーや自己否定感を強めることになり、性機能不全のリスクを高める原因ともなります。

これらの相互作用を理解し、適切に対処するためには感情をどのように調節するかが極めて重要な役割を果たすのです。

2つの感情調節戦略

私たちはムカついたり、悲しんだりしたときに、自分の感情を調節しバランスを取ろうとします。

このとき主に「感情の再評価」と「感情の抑制」という2パターンの感情調節戦略を使います。

感情の再評価

感情の再評価とは、ある出来事が自分にとってどのような意味を持つのかを再考し、ポジティブな側面を見出すことで、ネガティブな感情を減少させる戦略です。

たとえば、夫婦喧嘩を「相性が悪い」と捉える代わりに、「価値観のすり合わせのためのチャンス」と捉え直すことで、失望感や落胆を軽減し前向きな行動に繋げることができます。

感情の再評価はストレスや不安を和らげ、前向きな感情を生み出す効果があるとされています。

感情の抑制

一方、感情の抑制は感情が自然に湧き上がるのを感じたとき、それを外部に表出しないよう意識的に抑え込む戦略です。

感情の抑制は感情を内に秘めて他者に見せないようにすることで、その場の状況を冷静に保つために用いられることが多いです。

しかし、この戦略は長期的にさまざまな問題を引き起こす可能性があります。

感情を抑え込むことで表面上は平静を装うことができますが、マイナスの感情は内部に蓄積され、やがて精神的な負担やストレスとなって現れます。

さらに、感情を表現しないことが対人関係において誤解や摩擦を生むこともあり、長期的にはメンタルヘルスを損なうリスクがあります。

5,000人以上を対象とした研究から判明していること

ルクセンブルク大学などの研究者らが、感情の再評価と感情の抑制という2つの主要な戦略に焦点を当て、それらが性機能および精神的健康にどのように関連しているかを分析しています。

研究の手順

この研究では5,000人以上からオンライン調査を通じてデータを収集しています。

参加者は感情調節戦略、性機能、精神的健康に関する以下の質問票に回答しました。

  • 感情調節質問票(ERQ):感情の再評価と感情の抑制の2つの側面を測定。
  • 性機能質問票:女性には女性性機能指数(FSFI)、男性には国際勃起機能スコア(IIEF)を使用。
  • 精神的健康質問票:抑うつ症状を評価するPHQ-9および不安症状を評価するGAD-7を使用。

研究の結果

分析の結果、参加者が日常的によく使用している感情調節の戦略と、性機能・精神的健康には次のような関連があることが分かりました。

  • 感情の再評価を積極的に行い、感情の抑制をほとんど行わないグループ:最も良好な性機能と精神的健康のスコアを示した。
  • 感情の再評価をほとんど行わず、感情の抑制を多用するグループ:最も悪い性機能と精神的健康のスコアを示した。
  • 感情の再評価も感情の抑制も多用するグループ:性機能と精神的健康のスコアが中間的。
  • 感情の再評価も感情の抑制もほとんど行わないグループ:性機能はやや良好だが、精神的健康のスコアは低め。

性機能への具体的な影響

結果から分かる通り感情の再評価を積極的に行う人たちは、性機能において特に良好な結果を示しました。具体的には、性的欲求、興奮、満足度が高く、性機能が全体的に良好であることがわかりました。

これは、感情再評価がネガティブな感情を軽減し、性的な体験をよりポジティブなものに変える能力があるためです。

一方で、感情の抑制を積極的に行う人たちは、性的欲求が低く、性的満足度も低い傾向が見られました。

感情の抑制は、短期的にはストレスを軽減することができますが、長期的には性機能に悪影響を及ぼし、満足感を低下させる可能性が高いと考えられます。

精神的健康への具体的な影響

感情調節戦略は、精神的健康にも大きな影響を与えます。

研究結果から、感情の再評価を積極的に行う人たちはうつ病や不安症状が少なく、精神的に安定していることが示されました。

感情再評価を行うことで、ストレスや不安を効果的に管理し、ポジティブな感情を増幅させることができるためです。

逆に、感情の抑制を積極的に行う人たちはうつ病や不安症状が顕著であり、精神的健康が損なわれていることがわかりました。

感情の抑制は、一時的な安心感を得られることができても、その感情が内面に蓄積され、精神的な負担となることが多いのです。

旦那もガマンしていないか?

以上の結果からも分かるように、精神的なストレスが掛かったときは、感情を抑えるよりも、再評価するほうが、性機能においてもメンタルヘルスにおいても良い影響が出るということです。

旦那と喧嘩をしてムカついたときでも、それを無理に抑え込もうとせず、自分の感情を俯瞰して見ながら、捉え直しを行うことが大切です。

また、あなたの旦那の性機能が低下していたり、セックスに積極的でないようなら、日頃のストレスを抱え込んでいることが原因ということもあり得ます。

我慢させていることがないか見直してみることで夜の営みが改善されるヒントが見つかるかもしれません。

参考文献:Fischer VJ, Andersson G, Billieux J, Infanti A, Vogele C. (2024). The Role of Emotion Regulation Strategies for Sexual Function and Mental Health: A Cluster Analytical Approach.

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