産後に感じやすくなったのはなぜか?心とカラダの変化が原因

妊娠・出産とセックスに関する研究は数多く行われています。

それらの研究を見ると産後は女性の性機能は低下するという結果になっているものが多いです。

セックスで感じにくくなることもあります。そして出産前の水準に戻るまで数年かかるという人もいます。

その一方で、産後に感じやすくなったという女性もいます。なぜこのような違いが生じるのでしょうか?

産後は性機能が低下しがち

女性は妊娠と出産によって、子宮が大きくなったり、膣が広がったりといった身体的な変化が生じます。

そして産後に約6~8週間ほどかけてこれらの変化が元に戻っていきます。

このように妊娠前の状態へと戻っていく時期を産褥期(さんじょくき)といいます。

産後のセックスを再開する目安としてはこの産褥期を過ぎた後や、一ヶ月検診で異常無しと診断された後といわれることも多いです。

体が元に戻ったとはいえ、産前と産後では感じ方が変わる女性もいます。

相談に来る人の話を聞いている限りでは妊娠前の感覚と変わらない気がするという人が多いですが、感じにくくなっているという人もいます。

ポルト大学のイネス・M・タヴァレス博士の調査では、産後半年で約15%の女性に依然として性機能の低下が生じていることが分かっています。

【関連記事】中イキしやすい女性の唇の形が判明!クリトリスの位置とオーガズムの関係も

産後に感じやすくなる人

反対に産後のほうが感じやすくなったという女性もいます。

そしてその感覚が1年以上経過してもずっと続いているという女性もいます。

ここでいう感じやすさとは膣の感度や、中イキのしやすさを指すことが多いです。

産後に初めて中でイクことができるようになったという女性もいます。

なぜこのような現象が起こるのでしょうか?

明確な理由は分かりませんが、次のような身体的および精神的な要因があると思われます。

ホルモンバランスの変化

産後、女性のホルモンバランスは大きく変化します。

出産後、プロゲステロンやエストロゲンなどのホルモンレベルが変動します。

授乳中にはオキシトシンの分泌が増えます。

これらのホルモンが性的興奮や快感に影響を与えている可能性があります。

子宮のやわらかさ

出産のために子宮は柔らかくなるといわれています。

オーガズムには子宮の動きが関係していますから、収縮しやくなったり、敏感さに変化が出る可能性があります。

また出産による骨盤の開きなどによって感じやすいポイントに、男性器が当たりやすくなるということもあるかもしれません。

イケない女性に特有の性格があるらしい」で紹介した研究では、子供がいないことがイキにくさに関連しているという結果がありますが、こういったことが関係しているのかもしれません。

骨盤底筋の強化と神経の刺激の受けやすさ

1~2ヵ月で回復するといわれていますが、出産によって骨盤底筋が緩むことがあります。

そのため、ケーゲル体操などのトレーニングによって骨盤底筋を鍛える女性もいます。

骨盤底筋が強化されると、性交中の快感や感受性が増す可能性があります。性機能の改善につながるという研究もあります。

また、出産後に骨盤周辺の神経が刺激を受けやすくなることもあり、それが感じやすさにつながる可能性も考えられます。

妊娠中の夫のサポートが産後のセックスに影響する

産後は性的満足度も関係満足度も低下しがちということが様々な調査で分かっています。

しかし、満足度が高まる夫婦もいます。それは妊娠中に夫が妻を献身的に支えていたケースです。

ワルシャワ大学のマリウシュ・ジャウォースキー博士らの研究によると、妊娠中に夫からよくサポートしてもらえたと認識している妻は、産後のセックスの満足度が高まることが分かっています。

夫婦間の親密さや絆の強さはセックス中の感じやすさや満足度に影響しますから、これは自然な結果といえます。

もしあなたが、産後に身体的に変化した感覚がないのに、感じやすくなっているのなら、夫との絆が強まったことが原因かもしれません。

【関連記事】子育て中の夫婦生活を減らさないための考え方

<参考文献>
・Tavares, I.M., Rosen, N.O., Heiman, J.R. et al. Biopsychosocial Predictors of Couples’ Trajectories of Sexual Function and Sexual Distress Across the Transition to Parenthood. Arch Sex Behav 52, 1493–1511 (2023).
・A.-L. Gagné, A. Brassard, K. Bécotte, I. Lessard, M.-F. Lafontaine & K. Péloquin. (2021) Associations between romantic attachment and sexual satisfaction through intimacy and couple support among pregnant couples.

タイトルとURLをコピーしました